魔神 その2
魔神 その2
魔神は魔人の中でも特に魔力が高く、力を持った種族といわれている。
魔族の中でも身分が高く、いわゆる『貴族』として多くの魔人を率いている。
魔神6将はそんな強大な力を持つ魔神の中でも、特に力を持っている魔神であり、神魔戦争でもたびたびその絶対的な力を轟かせている。
「中でもゼップは『大公』の側近中の側近。
親衛隊を率いる最悪の魔神よ……」
よろめきながらもステラが立ち上がった。
ホークには目の前の光景がにわかには信じられなかった。
魔神クラスは大規模な魔族との戦闘でも滅多には出てこない。
魔神が現れるとき、必ず人間側の陣営には天使がいるからだ。
天使と魔神はほぼ互角の力を持ち、天使と魔神が戦う間、人間と魔人が戦う……それがホークの知る対魔族の戦闘だ。
しかし、こちら側に天使はおらず、目の前に魔神がいる。
「あるいは、このステラってのが天使か……?」
にしては弱すぎる、というのがホークの見方だった。
「ゼップ、彼女を大公には渡さない!」
ステラの周りに光の粒が舞った。
剣を構えると、猛烈なスピードで突進する。
「愚かな……」
一閃、ゼップが黒い光を放つ。
だが、そこにステラの姿はない。
黒い光が届く寸前、ステラは直角に上昇、滞空していた。
「空翔る星達よ、我が元に集い漆黒の闇を照らせ!」
ステラが呪文を唱えると胸元に握られた拳に光が集まる。
「シュテルン・シュネッペン!」
掲げた拳を拡げ、ゼップに向けて突き出すと、無数の光がゼップに降り注ぐ。
轟音と閃光で辺りが青白く照らされた。
ゼップのいた場所でいくつもの爆発が起こり、爆煙が辺りを包む。
「これなら……」
ステラが俄かに勝利に希望を持ったとき、彼女の右肩に黒い閃光が走った。
直後、彼女の右肩から赤い血が噴出す。
「さすがはエルヴィン公の娘、星空のステラの異名は伊達ではないようですね」
ステラの攻撃はことごとく弾かれたようだった。
ゼップの足元には魔法陣が描かれ、薄暗い結界をまとっている。
「くっ……」
ステラは肩を押さえ、苦悶の表情を浮かべる。
「少し格の違いを知っていただきましょうか……」
ゼップが左手を上げた瞬間、ステラは猛烈な衝撃波に襲われる。
「いや……やあぁぁああっ!」
メキメキと身体を砕かれるような衝撃に悶え、力なく地面へと落ちた。
「ステラさん!」
七海が慌てて掛け依るが、ステラは既にぼろきれのような有様だった。
「……申し訳ありません、私の力は及ばないようです。
奴らに囚われてはいけません、どうか、私をおいてお逃げください……」
そういい終わると、ステラは意識を失った。
「姫、騙されてはなりませんよ。その女こそ、姫の御身を危険にさらすもの。おとなしく私とともに来ていただきたいですな。」
ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながらゼップが近づいてくる。
「待ちな、そいつらから御代をまだいただいてねーんだ……」
ゆっくりとゼップの間にホークが立ちはだかる。
チッ、損な役回りだな……
ガタガタと震える刀身をゼップに向けホークは心の中で吐き捨てた。
2013.07.09 少々改稿しました