空襲 その3
彼女(七海)を手に入れれば、世界が変わる。
司祭はその言葉を残し、ホークが囚われている部屋を出た。
「もう少し頭を冷やして考えることです。」
去り際に、一言だけ加えて。
あとに残されたのは血の気の多い聖職者と僧兵が数名である。
バシャッ――
勢いよく上から水をかけられる。
「これで少しは冷えるだろう?」
下卑た笑みを浮かべながら、目の前に立つ男が言う。
「さぁ、小娘の居場所を吐くんだ。」
男がしゃがみこみ、ホークの目を見据えると、ホークは無言で目を逸らした。
逸らした先に窓が見えた。その窓は大きく間口が切られており、外がくっきりと見える。
その風景から、囚われているのが建物の4-5階部分であることが分かる。
――何だ?
窓から空に大きな黒い影が無数に飛んでいるのが見えた。
「おい、あれは何だ?」
バシャッ――
ホークが問いかけるが、男は答えず、さらに水を書けた。
ずぶ濡れになりながらも窓の方に視線を送る。
その窓に黒い影が横切った。
「お、おい、水なんかかけている場合じゃ――」
バシャッ――
「お、おい、いい加減に……」
窓の風景が突然白くなる。窓の中心には黒い点が見えた。
「――!?
や、ヤバい!おい、早くこいつを外してくれ!!」
ホークは窓の奥に何を見たのか、突然暴れだす。
後ろ手に縛られた縄を切ろうともがくが、きつく結ばれたそれは外すことができない。
「無駄だ、その手に乗るか。よそ見などせず、答えろ。
小娘は――」
刹那、轟音と共に窓から巨大な腕が伸び男を掴む。
それは叫ぶ暇さえ与えず、人間だったものを肉塊に変えた。




