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その名はクリス! その1

なんで私がこんな目に!


真紅の絨毯が敷き詰められ、天蓋のある豪華な寝台が据えられた部屋の中で少女はぐるぐる歩き回っていた。

唯一の出入り口として、白い大きな扉があった。扉には様々な草木の文様が透かし彫りにされ、金箔で縁取りされている、これまた豪華な逸品だった。しかし外から打ち付けられているかのようにピクリともしない。


「何が、姫よ。意味わかんない!!」

少女はベッドに突っ伏した。フカフカのシーツに華奢な身体が埋もれる。

「もぉーーーーーっ!!」

そのまま足をバタつかせて、暴れる。だが、静かな部屋にシーツ越しにくぐもった声が響くだけだった。


「大体、ここが何処かもわかんないし……」

気づいた時にはこの部屋に閉じ込められていた。

いつの間にか純白のドレスにに着替えさせられ、周りからは姫、姫、と呼ばれていい気になっていた。

だが、実際に与えられているのは、わずか10歩で端まで行けるこの空間での自由だけだ。


「おまけに、何も覚えてない……」

くるりと仰向けになると、天蓋の周りをカーテン上に覆う赤い布が目に入った。視界がやけに滲んだ。

「落ち着くの、落ち着くのよ、クリス……」

少女はゆっくりと目を瞑り、心を落ち着かせる。

何度同じ作業をしたろうか。何日が過ぎたのだろうか、窓から入る外の光だけが、時の流れを残酷に感じさせる。


「私の名前は……月宮来栖(くるす)


彼女は自分の名前が嫌いだった。本名は来栖(くるす)で、名字からわかるように日本人だ。

すらっと背が高く、しなやかに長く伸びた手脚は日本人離れしていた。

髪はブロンドで、透き通る様に青い瞳をしている。それもそのはずで母親が北欧系、父親が日本人のハーフだ。


名前以上のことはほとんど覚えていない……。


彼女は流石に焦りを覚え始めた。


もう、一週間は経っているのに、何で誰も助けてくれないの?

こんなわけのわからない世界はもうイヤっ!

あんな浮かれて馬鹿みたい……。


ーー

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