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夜襲 その4

「ふふふ、きれい。魔人が芥子けし粒のように吹き飛んで……」

 マイナは恍惚とした表情で目の前に展開する地獄絵図を楽しんでいた。


 彼女は30人程度の魔導兵を率いて逃げ惑う魔人たちに魔法砲撃を行っている。

 敵の数が圧倒的に多いため、味方に当たるとか、そんなことは考えず、無茶苦茶な砲撃である。

 

「しょ、小隊長どの……」

 魔導兵の一人が恐る恐るマイナに話しかける。

「確かに、かなりの戦果は上がっているようですが……、もしも、最前線で戦っているホーク少佐にでも当たったらどうするんですか?」

「そうねぇ……。それはそれでおめでたいですね……」

「は……!?」

「あのボンクラ少佐は大佐に二階級特進。ポストが空いてマイナも昇進できるかもです♪」

 嬉しそうに微笑む。


「でもどうせ当てるなら、師匠に当てて欲しいですね。あの人がいなくなったらマイナの昇進はより確実なんですから!」

 そういったマイナの後頭部に衝撃が走る。

「そういう事は少なくとも、私がいない場で言うものですよ。」

 ロシェはゴンゴンと自分の魔導杖でマイナの後頭部を連打する。

「た、大尉……、それ以上やったら小隊長が……」

 杖からは血が滴っている。

「大丈夫ですよ。治癒術ヒールをかけながら、殴ってますから。」

 ロシェはさわやかな笑顔で答えた。


「ふぁ…ハックション」

 ホークは自分より二回りは大きな魔人を相手につばぜり合いをしていた時だった。

 突然のくしゃみに力が抜け、刀が下がる。


 マズい、殺られる……!?血の気が引き、慌てて体をよじる。

 敵の刃が落ちて……落ちて……来ない。

 見上げると、魔人の上半身がきれいになくなっていた。

 魔導小隊の砲撃で魔人の上半身は吹き飛ばされたようだった。


「……これ、くしゃみしなかったら、俺もこうなってたんじゃないのか……?」

 ゾクゾクと寒気が上がってくるのは、雨で体が冷えただけではなさそうだ。


 魔族軍の右翼は完全に突破した。

 ホークの見据える先には中央の敵兵がいる。

 これまで戦った魔人たちの多くが歩兵であったが、中央にはちらほら騎兵の集団も見えた。


「ここからが正念場だな。」

 そう呟くと、刀を握る右手に力が入った。

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