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聖都へ その1

 聖都に行く。チェスカが旅団司令部から戻るなり、七海に告げた。

「あなたの身の安全が第一よ……」

 チェスカは七海がまた襲撃を受けることが考えられるため、魔族との国境に位置する防衛線ではなく、最も安全な聖都に行く必要があると説明した。


「急にそう言われても……心の準備が……。第一、聖都ってなんなんですか?」

「聖都はこの世界・・・の中心――聖王国の首都よ」

 七海の問いにチェスカが答える。

「……この世界……」

 七海は意味ありげに強調された言葉を復唱していた。

「そう――、あなたの世界とは違う――」

 そう言われ、ハッと顔を上げる。チェスカはやさしく微笑んでいるだけだった。

「ごめんなさい、七海ちゃん。鎌をかけるような真似をしまって……。あなたが転生者だということは薄々感じていたの……。」


 ……どうしよう……

 私が魔王だってバレてるのかな……

 魔族は人間の敵……ってことは、私はこの人たちの敵になっちゃうのかな……


 不安に駆られ、俯く七海にチェスカは申し訳なさそうに続けた。

「七海ちゃん……あなたが魔族に狙われるということは、魔族にとってあなたは不都合な存在だと私達は考えているわ。」

 だから、魔族への対抗措置として保護すると説明された。


「分かりました……よろしくお願いします。」

 七海は不安であってもそう答える以外にないことが分かった。チェスカは自分が魔王ではないかと疑っている。だから、魔族に奪い返される危険のあるここから遠ざけたいのだろう。だが、魔王である事が発覚したら自分はどうなるのだろうか。


「心配ない。シグナスもついていく。」

 不安そうな七海を慰めるようにシグナスが声をかけた。

 シグナスが七海を思いやる姿を見てチェスカは驚いているようだった。

「な、珍しいだろ?こいつらいつの間にか仲良くなっちまってさ」

 ホークはチェスカに二人が打ち解けたことを説明する。チェスカは嬉しいのか、悲しいのか判別のつかない複雑な表情でそれを聞いていた。

「シグナスにお友達ができたのは――そう、とてもよい事ね。シグナスにも七海ちゃんの護衛をお願いするわ。」

 チェスカは精一杯の笑顔をシグナスに向ける。

「おう、チェスカ姉、任せとけ~」

 意気揚々、といった感じでシグナスは敬礼のまね事をして答えた。

 




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