出会い
※この話はフィクションです。
※実際の個人・団体名とは一切関係ありません。
暗い中、目の前の大きな水槽には、ライトに照らされたクラゲたちがひかり輝いていた。
それはまるで、海に浮かぶ月のように...
それは、いつの日か見た遠い記憶。
3月も半ばまで来たある日、
新年度から社会人1年目を迎える鳴瀬 悠人は、新たな住まいとなるアパート『雑賀荘』の一室、202号室に荷物を運び入れていた。
「すいませーん、この冷蔵庫はどちらに置きますか?」
『あぁ、それはこちらにお願いします。』
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『これでラストっと。』
彼が最後の荷物を運びながら階段を上っているときだった。
「こんにちはー!」
元気な声が階段の上からかかった。
声につられるように見上げると、降りてきたのは中学生くらいの女の子だった。
『こんにちはー...えっ!』
(急いでたから顔がはっきりと見えなかったけど、今の子って、七姉ちゃん!?...いやいやいやいや、七姉ちゃんは俺より年上だったわけだからそれはないよな。それにしても・・・・・。)
悠人は最後の荷物であるカラーボックスを運びながら、15年以上前のことを思い出していた。