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追放料理人とJKの異世界グルメ無双珍道中〜ネットスーパーは最強です〜  作者: 音無響一


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008 霜が降ってるように見えるから霜降り

「ひより、予想以上に時間がかかってしまった。今日はここらで野営にするぞ」


「やだ!」


「いや、そう言われてもなぁ。今から街に戻っても、もう門が閉まってるから街に入れないぞ」


「やだ!」


「今からの移動は危険なんだ。守れないかもしれんぞ?」


「やだ!」


「だから野営だ」


「やだ!」



なんでせっかく街に来れたのに野営しなきゃなんないのよ。

もー、ほんと最悪。








「そう言うな。我慢してくれ。金が貯まれば解決するからな。ひよりのおかげで帰ればかなりの金額になるはずだ」



今は我慢してもらうしかないからな。

先立つものがなければどうしようもない。


それに野営になったのもペースが落ちたせいだからな。



「私のおかげ?」


「そうだ、ひよりが優秀だからな」


「おやおや~ナッシュくん、ようやく私の有能さがわかったようだね!」


「あぁ、ひよりがいないとこうはならない」


「うふふふふ、もっと褒めていいんだよっ」


「頼りにしてるぞ」



はぁ、疲れるな。

こんなに人を褒めたことなんてないから、なんて言っていいかわからん。


戦闘向きではないが、それ以外での貢献度は計り知れないからな。


それにみーちゃんの存在も大きい。

水魔法のおかげで飲み水に困らないからな。









「ではでは~本日の夕飯タイムだよっ!拍手!」


「おー!」

『キューッ』


「ふふん、今日はたっぷり魔石が手に入りました!ですので~和牛いっちゃいましょう!」



高いけどいいよね。

魔石ほとんど無くなっちゃったけど。

それに和牛をこの岩塩で食べるのが美味しいのなんのって~早く食べたい!



「和牛?牛肉のことか?それなら前に食べたのと同じだろ?」


「ふっふーん、この前のは外国産の安い牛肉だったのです!ナッシュくんは和牛の美味しさを知らないからそんなこと言えるのです!」



高級和牛の素晴らしさをナッシュくんに教えちゃうぞ~。

魔石は惜しいけど、買っちゃいますよ~。









「じゃじゃーん!これがその霜降り和牛のサーロインだよっ」


「しもふり?それはなんだ?」


「細かいことは私も分かりません!」



分からんのか。

だがなんだこの肉は。

前回のと全く違う。

柔らかさもそうだが、この至る所にある脂。

まるで霜が降ったような……


そういうことか。

この脂が霜降り!

なんという肉なんだ。


食べる前から美味そうに見えるなんて……



「これは牛肉だし、しっかり焼かなくても食べられちゃうんだよっ」


「そんな馬鹿なことあるのか?生でいけるとでも?」


「生でもいけちゃうよ!苦手な人は焼く方が美味しいだろうけど、焼き加減は好みで変えるのが普通だよっ」


「焼き加減、だと?なんだそれは……」



焼き方に種類がある?

そんなこと聞いたことないぞ。

ひよりの国はしっかり焼いて食べる、それが常識じゃないのか。


くそっ、焼く前から俺の知らないことばかりで嫌になる。








「私はどうしようかな~レアかなミディアムかな?うーん、レアにしよう!」


「な、なんだそれは……」


「焼き加減のことだよっ!半生よりもっと生に近い感じの焼き方のこと!」


「焼き加減……少し時間をくれ……」



も~料理人なのに焼き加減もわからないの?

早く食べたいな~

待ってる間にピンクソルトとわさびも買っちゃおっ


パパに教えてもらった食べ方で気に入っちゃってるんだよね。


……そう、パパに。

思い出したら悲しくなっちゃう。

はぁ、早く帰りたいな。








「とにかくやってみるしかないか……ん?ひより、どうした?」


「な、なんでもない、よ……」



元気がないな。

ひよりの言う、れあってやつを食べたら元気になるだろ。

ここは料理人の腕の見せどころだな。


……そうか!

これを成功させれば、ひよりに感動の涙を流させることができるのか。


ここは気合を入れて集中しよう。

絶対にひよりの想像の上を行く焼き方をしてやらねば。








「焼き加減とはいったいなんなのだろうか……」



なんかブツブツ言い始めちゃったよ。

早く焼いてくれないかなぁ。

もうこっちは準備万端なのに。



『キュー!キュキュ、キュー!』


「なーに?みーちゃんが焼いてくれるの?」


『キュッ!』



任せなさいってことなの?

焚き火の前に置いて焼くだけだし、そんなに危なくないかな。

危なかったら私が助ければいいし、大丈夫だよね。








「この角度で……いや、こっちか?この距離と角度で適度に焼いて……」



全然わからない。

焼き加減とはなんなんだ。

れあとはどのくらい生の状態を言うのだろうか。

そもそも生で食べるなんて有り得るのか?



「ナッシュくん、まだ悩んでるの?みーちゃんも焼いてくれるんだって」


「はぁ?そんなこと出来るわけ……」



ってやってる。

串を持ちながら肉を焼いてるじゃないか。

みーちゃんはれあという焼き加減を知ってるとでもいうのか。



「あっ、みーちゃん、やっぱりミディアムレアにしようかな!できるー?」


『キュッキュキュ!』



任せなさいとでも言っているように聞こえるぞ。

これは負けてられん。


みでぃあむれあという、さらなる謎の言葉が出てきたが、俺も料理人だ。


悩んでしり込みしてる場合じゃない。








「ねぇねぇ、まーだー?」


「これで完成なはずだ……」


「なんか自信なさげだよー?みーちゃんもできたのかな?」


『キュッ!』


「できたのね!それじゃこの借りてきたお皿に乗せてね」



小皿にわさびを入れて~っと。

ピンクソルトは振りかければいいよね。








「それはなんだ?」


「これはわさびだよ!ちょっとツーンっとするけど、とっても美味しいんだからっ」


「今日はソースじゃないのか?」


「美味しいお肉はこのピンクソルトっていう岩塩で食べるのが美味しいんだよっ」



なんだあの色は。

あれで塩なのか?

あんなものまで存在するのか。

早く俺も食べてみたい。



「まずはナッシュくんのから食べようかなっ」


「そうしてみてくれ。みでぃあむれあという焼き加減になってるか確認してほしい」


「まずはピンクソルトだけで食べよっかな!じゃあいただきま~す」



ほう、ピンクソルトというのを少し振りかけて食べるんだな。

覚えておこう。







「どうだ?」


「うーん、お肉と岩塩も美味しいけど、焼き過ぎだね!」


「な……そ、そうなのか」


「私の好みの焼き方じゃないかな~」



くっ、焼き方で味がそんなに変わるとでも言うのか。

信じられん。







「それじゃあみーちゃんの焼いてくれたのを食べてみよ~」



あ、切れ味が全然ナッシュくんのと違う。

これこれ、これがミディアムレアの焼き加減だよ~。

みーちゃんってすごくない?

なんで料理までできちゃうの。



「ど、どうだ、みーちゃんの焼いたのはどうなん……」


「…………美味しい」



だめ、色んなことを思い出しちゃう。

パパ、ママ……







「そ、そんな、バカな……」



泣いている、ひよりが涙を……



「みーちゃんありがとう。これが私の好きな思い出の味だよ……」



負けた、のか。

俺はみーちゃんに負けたのか。


俺の焼いた肉よりも、料理人でも、ましてや人間でもないみーちゃんに負けたというのか。


ただ焼くだけ。

その調理工程にどれだけの差があるっていうんだ。



「ひより、すまない。食べ比べさせてくれ」



まずは俺のから。



「……なんだこの美味さは!」



噛んだ瞬間に口の中で溶けていくようになくなっていった。

こんな肉は食べたことがない。

それでいて濃厚な旨味。

肉の味を引き立たせるこのぴんくそるとという塩。

ありえない。

こんな美味い肉があっていいのか。


だがここで終わりじゃないんだ。

ひよりが泣いた意味を俺は確かめなければならない。



「これがみーちゃんの焼いた肉……」



─────泣いた。


これは泣く。

ただ焼くだけの工程でこれほどの差が出るものなのか。

外は程よく焼けていて、中は弾力のある柔らかさなのに先程よりもまろやかにとけていく。


完璧に俺の負けだ。

焼き加減がここまで奥が深いなんて思いもしなかった。



「次はわさびを使って食べよ!これが美味しいんだよ~。ちょこんと乗せて、岩塩を少々…………うーん、この鼻に抜けるわさびの味が最高だよ~」



この緑色の物を少々、とな。

泣いてる場合じゃない。

わさびとやらの味も確かめねばならん。



「……………………」



─────泣いた。


なんだこの刺激は。

ツーンと刺激が鼻に来る。

その刺激がたまらない。

わさびの風味と塩の味。

そして広がる肉の旨味。

全てが一体となってとけていく。


涙が、止まらないぜ。







「みーちゃん美味しいね~」


『キューーーッ!』



この子はナイフまで使えるのね。

なんて出来る子なの!


相変わらずナッシュくんは泣いてるし。

感動しやすい性格なのかな?


でも和牛だもん、その気持ちは分からないでもないわ。


ナッシュくんの焼いてくれたミディアムもとっても美味しい~。






「美味い、美味すぎる……」



あっという間に食べてしまったな。

和牛ってなんなんだ。

こんな肉は食べたことがないぞ。


ひよりのいた国に行きたくなるな。

そこに行けば俺の料理人としての知見も腕前もまだまだ伸びるんじゃないのか。


金が貯まったら行ってみるとしよう。


だが、だが俺は負けない。

もうみーちゃんにもひよりの国の技術にもだ。


今に見ていろ。

全てを吸収し、本当の世界一の料理人に俺はなる!





和牛すごい


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