011 告白
「今日は何するの?」
「一緒にデラルのところに来て欲しい」
「うん、やだ」
「そうか、来てくれるか」
「うん、めんどくさい」
「助かるよ。ひよりが居ないと説明ができないからな」
「だ、か、ら、行かないよっ」
「え、いやなのか?なんでだ?」
なんでも何もないでしょ。
知らないおじさんに好き好んで会いたいJKなんているわけないじゃん。
「頼むひより。お前がいないとダメなんだ!」
「は?は?はい?」
いきなり?いきなり告白?
急展開過ぎてついていけないんだけど!
「ひよりがいないと……」
「う、うん……」
「デラルとの約束を破ることになるじゃないか!」
「…………ふぇ?」
『キューッ!』
「いたっ!」
みーちゃんナイスツッコミだよ。
ジャンプして頭を叩いてツッコミもできるペンギンは地球も異世界も含めてみーちゃんだけだよ。
天才すぎる。
私のドキドキ返してよ。
あんな真っ直ぐ見つめられて告白されたら誰だってドキドキしちゃう。
告白じゃなかったけど……
「なんで叩くんだみーちゃん」
『キュキュ!』
「ナッシュくんが悪いからだってさっ」
「俺が悪いのか?」
『キュ!』
よくわからんが、俺が悪いのか……
それは置いといて、とにかく来てもらわないとな。
「ひよりの言っていた網が手に入るかもしれないんだ。どんなものなのかひよりから説明してほしいんだ」
「うーん、仕方ないなぁ。今回だけだよっ」
「ありがとうひより!」
なんとか説得できたな。
みーちゃんに叩かれた理由はわからんが、よしとしておこう。
「その代わり、今日も美味しいの作ってよねっ」
もう!笑顔も反則だよ!
ほんっとイケメンってズルい。
「……ああ、今日こそは」
「それで、いつ行くの?」
「もう行っても大丈夫だ。今から行こう」
みーちゃんと部屋にいても暇になっちゃうからついて行くのはアリだよね。
あの笑顔に絆されたわけじゃないんだからねっ。
「頼もう」
「お、ナッシュ、いいところに来た。昨日お前が言っていた網の試作品が出来上がったところだ」
「仕事が早いな。名工の名は伊達じゃないってことか」
「ガハハ、そう褒めるな。こんなもんでどうだ?」
いい感じじゃないか?
ひよりにも確認してもらおう。
「どうだひより。イメージしてたのはこういうものか?」
「うーん、こんなんじゃお肉焼けないよ」
「もっと網目を細かくしないとなのか」
「この嬢ちゃんがナッシュの言っていたひよりって子か」
ずんぐりむっくりしてるし、髭もじゃだしマッチョだし。
この人ってもしかして……
「ドワーフ!?」
「おっ?嬢ちゃんはドワーフを見るのは初めてか?」
やっぱりドワーフじゃん!
異世界確定じゃん!
ってもう確定してたけど、再認識しちゃったよ。
「うん初めて!うわぁー立派なお髭~腕も太すぎだよ~私の腰より太くない?すごいすごーいっ」
「ガハハ、すごいだろ~嬢ちゃんは見る目があるな!」
楽しそうだな。
ひよりは髭と筋肉が好きなのか?
髭をあんなに生やすのは無理だぞ。
筋肉も……これは冒険者活動も本気を出さないとな。
────はっ!
なんで俺はひよりの好みに合わそうとしているんだ。
料理人にごつい筋肉は不要だろ。
「嬢ちゃんは肉を焼く網が欲しいってことだろ?これじゃあダメなのか?」
「こんな網目が荒かったら、大きいステーキしか焼けないよー?」
「はぁ?嬢ちゃんはどんな網でどんな肉を焼きたいって言うんだ?」
「こんな網だよっ」
「な、なんだ?嬢ちゃん、今どこから出したんだ?それにこの細かい網目……どこでこれを?」
あっ、やっちゃった。
楽しくて勢いで出しちゃったよ。
ど、どうしよう……
「あれほど言ったのに……それに網をもう持ってるってどういうことだ?聞いてないぞ?」
「あ、あはは、ノリで~つい、ごめんねナッシュくん」
「ついノリで作って簡単にバラすんじゃないっての……」
「なんだ?嬢ちゃんのスキルは秘密なのか?」
この人は信用できるだろうし、話してもいいかもな。
もう見られてるわけだし。
「ははーん、そういう事か。嬢ちゃんはニホン?ってとこから来たと。色んな国を回ってきたが、本当に聞いたことがないな」
そりゃそうだよ。
この世界じゃないもん。
説明しても分からないよね。
でも話した方がいいのかなぁ。
「うーん、詳しく話した方がいい?」
「なんだ?まだ何か秘密なことがあるってのか?」
「なに?まだ言ってないことがあるのか?」
めっちゃ食いつくじゃん!
分かってくれるかなぁ。
とにかく話してみるしかないよね。
「私はね、この世界じゃない世界、別世界って言えばいいのかなぁ。この世界には存在しないところから来たんだよ!」
ほら、意味不明って顔してるじゃん。
スキルとか魔法とかドワーフとか魔物とか、ぜーんぶ私のいた世界にはないんだもん。
新しいことがわかる度にこの世界が異世界なんだなって再認識させられてるよ。
こんなこと言っても信じられないんだろうけど。
「ってことはだ。嬢ちゃんは異世界人ってことなんだな?人種は人族なのか?」
「私のいた世界は人族以外は虫とか動物しかいないよ!魔物もいなかったからねっ」
そんなことがあるのか?
だが俺の知らないことを知っていたり、食べたことのない食材や塩やソースが多すぎる。
じゃあひよりのいた国に行くことは無理なんじゃないのか?
出会った時に帰り方が分からないって言ってたのはそういうことか。
見たことない髪色、見たことない服装、戦う術もないのに海岸にいた理由、それが転移ってことなのか。
「本当のこと……なのか?」
「うん、本当だよ。黙っててごめんね?言ったとしても信じてくれないと思ってたから」
「それじゃあひよりは元いた国、じゃなくて世界には帰れない、のか?」
「…………う、ん。帰り方が分からないんだもん」
「そうか」
そうだったのか。
心細かったんだろうな。
それなのにそんな雰囲気を微塵も見せないほど元気で明るくて……
俺はひよりの何を見ていたんだろうか。
料理にこだわりすぎるあまりにひよりのことを見ていなかったな。
今も明るく話していたが、帰れない事実を突きつけられて今にも泣きそうじゃないか。
何が料理で感動させるだ。
まずはひよりを安心させないとだな。
俺にできるか分からないが……
「ひよ────」
「嬢ちゃん!行くとこがないなら面倒見るのは任せておけ!一人で帰る場所もないのは辛いんじゃないか?」
いや、それは俺のセリフ……
「えー髭もじゃデラルさんと一緒に住むのか~娘にしてくれるの?」
「ガハハ、ワシに娘か!それはいい。よし、ワシの娘になればいい!」
今日会ったばかりなのにトントン拍子で話が進みすぎだ。
それに最初は行きたくないとすら言ってたろうが。
おかしくないか?
「どうしようかな~」
「ちょっと待て!ひよりの面倒は俺が見る!」
「ふぇ?!」
ちょ、え?また告白!?
いきなりすぎるよナッシュくん!
「すまないひより!お前がそんな心細かったなんて知らず……俺が、俺が……」
「……う、うん」
「帰れる方法を一緒に探してやる!」
「…………そっち?」
『キューーーッ!』
「いったい!」
朝に続いてナイスだよみーちゃん。
もう1回くらいやっちゃっていいよ。
ほんと、ナッシュくんはナッシュくんだよねっ。
「ガハハ!よく言ったと褒めてやりてーが、女の口説き方は師匠から教わってねーみたいだな!」
「いつつ、そんなの教わってませんよ……」
「本当にデラルさんの娘になっちゃおうかな~」
「だ、ダメだ!ひよりは俺と一緒にいるんだ!」
「ふーんっだ。仕方ないから一緒にいてあげるっ」
「ありがとうひより!」
もうっ!本当にその笑顔は反則だよっ!
私が寂しくないのはナッシュくんのおかげなのは教えてあげないもんっ。
「話を戻すが、嬢ちゃんの世界じゃ、この網が普通なのか?」
「そうだよ~なんでも機械で作れちゃうのっ」
「機械……ゴーレムみたいなもんか?想像がつかねーな」
この世界にはそういうのないんだ。
それじゃあ分からないよね。
「それに、こんなに軽い網で肉なんて焼けるのか?熱ですぐに溶けちまいそうだ」
「あっちの世界では溶けなかったから、大丈夫だと思うよっ!触った感じの材質が同じような感じだもん」
「はー、信じられんな。試してみてもいいか?」
「じゃあどうせなら、焼肉しちゃう?」
「なんだそりゃあ?」
「ふふーん、まぁまぁ、見てなさいって~」
まだまだ魔石はあるし、焼肉用のお肉、たくさん買っちゃうぞっ




