表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/34

プロローグ

※【注意】本話には性的な軽口表現があります。性的暴力描写はありません。




猛毒体質の大魔法使いと、毒耐性持ちニセ聖女(※実は妖精)の

人違い×隠し事から始まるハイテンションファンタジー


10/23連載開始。11/3まで集中連載中。


平日→20:20の一回更新

10/24(金)と土日祝は8:20/20:20の二回更新


以降は週イチ更新予定です。




「――【銀煌(ぎんき)の聖女】エル・クレアード。今日からお前は、俺の婚約者だ」



 ……一瞬、意味がわからなかった。



 いや、状況ならわかってる。


 目の前の魔法使いが、魔法の力でわたしの手足を拘束してる。

 そうやって動きを封じたわたしの前で、彼は堂々と宣言したんだ。

 形のいいくちびるの端を吊り上げ、切れ長の目を細めて、わたしを見下ろしながら。

 「お前は俺の婚約者だ」、と――。



 ……って!

 いや、だから、なんでそうなるんだよっ!?



「――とはいえ、安心するがいい。婚約者とはいっても、俺は聖女に指一本、触れるつもりはない」


 あんぐりと口を開けるわたしを見やり、彼がどこか面白そうに口元をゆるめる。



「先ほども言ったように、俺のこの身体は魔物の猛毒を帯びているからな。

 近づくだけでも危険だというのに、もしも口づけや、それ以上のことをしたならば、いくら聖女といえども命はない。

 ……ようやく聖女を手に入れたというのに、俺自身の毒でうっかり殺してしまっては、目も当てられないからな」


 黒いローブの袖をゆったりと組みながら語ってた魔法使い、不意にニヤリと笑った。



「……しかし、残念だよ。

 せっかく大陸中に名の知れた【銀煌の聖女】を手に入れたのだ。

 ――もしも俺の身体の毒さえなければ、毎晩でもかわいがってやったものを」


「なっ……!」


「……おいおい、そんな顔をするな、冗談だよ」


 わたしの反応に魔法使い、やれやれ、と言わんばかりに肩をすくめて、


「俺の身体が帯びる魔物の毒は神にすら消せない。だから、万が一にもお前に手を出すことはない――つまり、そういう意味だ。勘違いをするな」


 悪びれもなくそう言ってくる。



 でも、そんな冗談、わたしはちっとも笑えなかった。

 ていうか、そもそもわたしにとってそれ、冗談としてなりたってない。



 だってわたし、()()()()()()()()()()()だからねっ!?



 毒があるから手を出さない、なんてこと、わざわざ言ってくるんだ。

 もしもわたしが妖精で、こいつが持ってる魔物の毒に耐性持ってるってバレたら、なにされるか分かったもんじゃない!



「――もっとも、お前が妖精だったら話は別だがな」


「っ!?」



 やばい、気づかれた!? わたしの心臓がひゅっと縮こまる。わたし、なんかバレるようなことやらかしたっけっ!? それとも、魔法使いって心が読めるのかっ!?



 ……でも、どうやら杞憂だったみたい。

 焦るわたしを尻目に魔法使いはふっと肩をすくめつつ、「なんてな」、って笑って、



「大陸最強の剣士にして、人類の希望たる【銀煌の聖女】が、まさか――

 魔物の血肉を啜って生きるような穢れた種族、妖精などであろう筈がない」



 いけしゃあしゃあと言ってのける。




 ……って、だーれが穢れた種族じゃ!

 わたしは思わずムカッとしてしまった。妖精は大陸で最強の、超カッコいい生物なんだから!




 て、いうか!

 そもそもの話、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()し!

 たまたま聖女さまと同じ髪と目の色してるだけの別人だし!




 ……ま、まあ、たしかにわたしがこれまで、聖女さまと似てるのをいいことに、いろいろうまく世渡りしてきたのは事実なんだけどっ……でもさ! それはそれじゃん!?


 ちょっと聖女さまのフリして小銭を稼いでたからって、こんな目に遭わされていいはずなくないっ!?

 理不尽だ! 横暴だ! 世の中、間違ってるっ! この世に正義は存在しないのか~っ!?



 ……はい。完全に自業自得だってことは自分でもよ~く、分かってる。


 でも、でもさあ!

 それにしたって、こんなのってないよ!



 ていうか、これって、かなりマズい状況なのでは…………?


 ……わたしはあらためて、現状を確認してみる。



 謎の激ヤバ魔法使いに聖女さまだと勘違いされて、魔法で拘束されて、一方的に婚約者宣言されて……。

 どうにか誤解を解くにしても、それで妖精だってバレちゃったらよけいにヤバそうだし、これって、どう考えたって詰んでいるのでは?



 ……逃げなきゃ! いろいろなことがバレる前に! 一刻もはやく! こいつから!



 でも、こんな激ヤバ魔法使いから、いったいどうやって逃げればいいんだ!?

 昔のわたしならともかく、いまのわたしは魔法、使えないし、こいつの魔法で拘束されちゃったら剣だって使えない!




 ……ああもう! わたしは思わず心の中で叫ぶ。




 いったいどうして、こんなことになっちゃったんだろうっ――!?


次話「聖女のフリをするわたし(前編)」、10/24 8:20更新


主人公、調子、こいてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ