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光の輪の下で

作者: ごはん

春のやわらかな日差しの中、大阪万博の会場には大勢の人が集まっていました。

父と母、そして小学生の娘・ゆいは、少しはしゃぎ気味に手をつないでゲートをくぐります。


「わぁ、すごい人! でも楽しそう!」

「ゆい、迷子にならんように、ちゃんと手ぇ握っときや」


母の言葉に、ゆいは笑ってぎゅっと父の手を握りました。


会場のシンボル「大屋根リング」に差し掛かると、そこは光と音楽に包まれた広場。世界中の国々の展示が並び、人々の声や笑いが重なってひとつの大きな音楽のように響いていました。


ゆいは走り出して、未来のロボット展示の前で足を止めます。

「お父さん! しゃべるロボットだよ!」

「ほんまや。英語も中国語もできるんやなぁ。…父さんより頭ええかも」


冗談を言う父に、母とゆいは声をあげて笑いました。


お昼には各国の料理が集まるフードエリアへ。

イタリアのピザ、日本のたこ焼き、インドのカレー…大きなテーブルで分け合って食べると、不思議と「世界旅行」をしている気分になれました。


午後になると、空に光が差し込むようにイルミネーションが始まります。巨大な光の輪が夕暮れに浮かび上がり、人々の歓声が広がりました。


ゆいは母の手を取りながら、ぽつりと言いました。

「いろんな国の人がいっぱいで、でもみんな笑ってるね。なんか、世界が一つみたい」


父はその言葉に目を細めました。

「そうやな。こうして楽しめるんは、ゆいと母さんと一緒やからや」


三人で肩を寄せ合いながら見上げた光の輪。

それは、世界を結ぶ大きな橋のようであり、同時に家族を包む小さな灯りのようでもありました。

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