【卯月グループ】
午前の授業が終わり、3人で弁当を持って校庭のベンチに向かった。
「あの先生、絶対僕のこと嫌いだよね。」
「まあ、そういうこともあるよ。」
「シュウは先生によく嫌われるからな。」
そう。シュウは良よく先生に嫌われる。
きっと、シュウがふわふわしていて可愛くて女子からモテる上にスポーツも勉強もできるからだと思う。←幼馴染バカ
授業中に外を見てボーッとしていることが多いのだが、急に当てられても焦ることなく解答を答えるあたり、先生は面白くないのだろう。
「それで?今日はどこを見てたんだ?」
「え?…校庭のスズメ。」
「だからだよ。」
僕たちはシュウにツッコミを入れつつご飯を食べた。
よく嫌われるシュウでもよく思ってくれている先生は少なからずいる。…たぶん。
「そういえば、今度の花火大会、2人で行くだろ?」
「「え?」」
「ん?」
「いや、3人で行こうよ。」
「…どうせ絹花ちゃんと一緒に行きたいんでしょ?」
「いや、うん。そうだけど…」
まだ絹花には誘ってもいないのだが、今日こそ誘ってみるつもりだ。
2人の恋を応援するためにも、僕は絹花と行くべきだと思う。
「何を思ってるか知らないけど、私たち、もともと3人で行くつもりだったよ。」
「でも、絹花ちゃんと行きたいんだったら、言ってみればいいよ。無理だったら3人で行こう。」
「うん。」
シュウは多分僕が何を思ってるかをわかっている。イブキは微塵も分かっていない。
「…そろそろチャイムなるだろうし、教室戻ろう。」
「あっ、私、先生にプリント提出してから行くね。」
「うん。じゃあ、リツと先に戻ってる。」
「じゃあね!」
イブキは僕たちに手を振って職員室の方に行ってしまった。
「…次の授業なんだっけ。」
「数学じゃなかったっけ。問題解いた?」
「え、なんかあったっけ。」
「教科書の問題、宿題だったよね。」
「…、」
「今日、シュウ当たると思うけど。」
「…リツ〜、ノート見せて?」
「え〜、僕ちょっとお手洗い行ってくるから。」
「リツ〜、僕を見捨てるの?」
「教科書もノートも机に入ってるから。そのまま出しておいて!」
「ありがと〜」
シュウが駆け足で教室へ向かう姿を見送りながら、宣言通りお手洗いに向かった。
白鳥絹花 しらとり きぬは