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メダルのナイト  作者: たて ばてん
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第1話 騎士と書いてナイトと読む

初めての投稿作品です。

お手柔らかにお願いします。

 部屋の食料が、なくなってきたからコンビニまで買いに出た。

 帰り道、人気がなくなっていくにつれ自身の足音が響く。


 夜中だったせいか家の通りは真っ暗で、しかも街灯は切れかかっているせいかチカチカと点滅していた。

 そんな中、道中で光っているのが見えた。


 10円でも落ちてるのかと思い、しゃがんで見たら銀色のメダルだ。

何かのゲームメダルなのかと思ったが、持ってみるとずっしりと重い。


 雫の模様が簡単に書かれていた、大きめのメダル。


「硬貨ってふうに見えないな、なんかのアニメとかのメダルかな?周りなんか……模様というより文字か?よくできてるな。…………どこの国の文字だろ。見たところ英語?読めないな」


 警察に届け出た方がいいと思ったが、もう暗いからと門の塀の上にコインを乗せて、家のドアを開けた……。


 ─────────そして目の前には満点の星空と、自分を取り囲む木々、草や苔の匂いが鼻をくすぐったとても綺麗だ。


「……………………………どこだここ?」


 鳳翔(ほうしょう) 騎士(ないと)17歳、男子高校生2年生。


 休日買い物から帰ったら、綺麗な星空に出迎えられた。


「………………どうして?……え?……は?」


 突如金属が落ちたような音がする。

 拾ってみると塀の上に置いたはずのメダルだった。


 「まさか、これのせい?いやいや、漫画じゃないんだしありえない。ありえない」


 あたりを見渡してみると、後ろに古そうな建物が。ネットの画像で見たことのある遺跡みたいな柱や、建物一つが建っていた。

 今僕は、遺跡の入り口前に立っている状態だ。

 こんな現状ありえない、夢を見ているのだろうかと、頭を振って考えていると……ふと、女の唸り声が小さく聞こえる。


「うぅ〜……ぅ」


 幽霊の文字が頭に浮かんだナイトは、声にならない叫びをあげるも大きく風が吹いたことでかき消された。


 いやいや落ち着け、ひょっとしたら普通に誰かいるだけかもしれない。


「だれかいらっしゃいますか〜?」

 声を、出してみるも返事がない。


「────誰?」


 女の人の声が聞こえた。

 幽霊じゃなく、はっきりと聞こえたことに一度は安堵し、声のする方へ探ると自分と同年代くらいの少女が、倒れていた。

 すぐさま駆け寄って、彼女の上体を起こし支えた。


「ちょ!大丈夫ですか?」


 えぇっとこういう時は……。意識があるか確認して?


「聞こえますか?」


 少女は首を少し縦に動かした。

 意識はある!


「自分の名前言えますか?」


 うろ覚えだが、こんな感じでよかったっけ?


「こ……ココア」


 少女はそういうと、ぐったりとしてしまった。


 ……え?死んだ?


 口元に手を当てると、息をしていることを確認できた。

 最悪なことにならなかったことに安心したのも束の間。



 グァルルルルゥゥゥゥアアアァァァア─────!!!



 背筋が凍った。

 突然大きな獣の唸り声が響いく。

 恐怖に駆られながらあたりを見渡すと、木々から鳥たちが一斉に羽ばたき始め、闇の中からこちらを睨みつけている目がたくさん光っていた。


 さっき騒いだせいか、獣か何か寄ってきたのかもしれない……。

 隠れる場所は遺跡の中しかない。


 一旦そこで身を隠そうと思いココアという少女を担ぎ、影を睨みながらゆっくりと後ずさる。

 何か武器になるものはないかと横目で探るが、何故か枯れ枝一本もなかった。

 入ってみて気づいたが、遺跡だと思われた建物には階段もなく、装飾もなく、石積みされた一部屋で完結していた。

 要するに武器はなく、相手が入ってくると逃げ場がなくなる。


 詰んだと言うやつか。

 腰が抜けて立たなくなった僕は、恐怖に駆られながらも、入り口でこちらをみる目をひたすら睨みつけるしかない。

 それ以外でナイトは、どうすればいいかわからなかったから。


 ─────ねえ?ちょっと!こっち向きなさい!」


「うわあぁぁぁ!」

「いやああああぁぁぁぁぁ!」


 狭い遺跡の部屋に男女の悲鳴が響く。

 声のした方に目を向けようとすると目の痛みとともに、かすかに桃色が見えたが、痛みで目を押さえているためすぐに視野は真っ暗になった。

 外が一瞬明るく見えたということは、いつの間にか僕は寝てしまったらしい。


「目ガァァ──!ぃじゃなくて。ココアさん?は大丈夫ですか?」

「私は大丈夫よ。それより、あなたの方が大丈夫じゃなさそうよ。目を押さえて大丈夫なの?」

「僕は大丈夫……です。それよりココアさんは、なんであそこに倒れてたんですか?」

「え?あっと。村の行事のために薬草が足りなくて取りに来たの。そしたら急に具合が悪くなって……」


 村?薬草?ここって民族的な場所ってことなのかな?大変だな。いやそもそも──


「ごめんなさい。あのココアさん?聞いていいですか?」

「なに?」

「ここどこですか?」

「え?どこって森よ?」

「そうではなく日本ですか?」

「2本?何が2本なの?」


「……アジア、ユーラシア大陸、ヨーロッパとか聞いたことは?東京、中国、アメリカとかも?」

「あじ?そんな大陸聞いたことないわ。よっぱ?」


「冗談じゃなくて?」


「本当よ!からかっているの?さっきも私を無視して!」 

 「ふんっ!」と、頬を膨らめてそっぽを向くココアさん。

 その脇でナイトは、思いっきり自分の頬を叩いた。


「なに!?」

「夢じゃない」

「大丈夫?なんなのさっきから?」


 突然のナイトの奇行にココアは困惑した。


「そういえばココアさんは、体調はもう平気なんですか?」

「急に正気に戻った?私は休んだからもう平気よ」

「でも、尋常じゃない苦しみに見えたけど「平気って言ってるでしょ!」」


 ココアはナイトの話を強引に話を終わらせる。


「そんなことより、あなた名前は?私だけ知られているのは納得いかないのだけど」

「はい。えぇっと…笑わないでくれますか?騎士(ないと)、騎士と書いてナイトと読みます」


「ナイト、文字で騎士ってかくのよね?何で読み方が違うのかわかんないけど、かっこいい名前じゃない。笑う要素あるの?」

「えっかっこ…?地元だと笑われるどころじゃないんだけどハハ……」


「よくわからないけど。私は、村に戻るけど。ナイトは帰れそう?この辺村はうちだけだと思ったけど」

「あぁえっと。いつの間にか森に来ていたから。その前の事は……よくわかんなくて」

「それって記憶喪失ってこと?」

「え?そうなるのでしょうか?」


 彼女は断片的な部分を聞いてるだけだからそう思ったのか、ナイトは正直こんな状況どうしたらいいかわからない様子だ。

今僕は己が置かれている状況の異常さで頭がパンクしそうだ。

 しかしナイトは、こんな状態で彼女と別れるのはまずいと考え込んでいると


「うちの村に来る?」

「えぇ!?」


 急な提案に、ナイトは壊れたラッパみたいな声を出す。




「───良いんだろうか」


「何が?」

「なんでもないです」


 一緒に村を出た後、困ってるとは言え初対面の男にあまり警戒せず、ココアさんの提案でしばらく彼女の村の滞在を許してもらった。


 展開の早っさに睡眠が足りない頭では着いていけてない。


 村長のサジさんに「いつの間にか森にいた」とだけ話すと。

 そういう魔物に襲われたのかもしれないと、しばらく村にいてくれて構わないと言ってもらった。

 流石にサジさんは年老いてるせいで白髪っぽかったが、髪の先が少し赤かった。


 ピンクじゃないのか……。

 薄々思っていたが、この状況って流行り物で言う異世界なんとかってやつなのだろうか?

 判断するには早いかな?


 ちなみにココアさんは勝手に村の外に出ていたことで、サジ村長からしらかれるとしてつれてかれた。


 待ってる間、これからお世話になる村の人に挨拶して回った。

 村の家の作りは簡素で、歴史の教科書で見るような感じだった。しばらく歩いて回ると、村の柵に括り付けられた大きな木の飾りの中央に丸い金属の部品に目についた。


 見たことがある気がしたから、よく見ようと近づくと


「こら!」


 後ろを振り返るも見当たらず足にガンッ!と音と共に痛みが生じる。視線を下にずらせば、痛みの原因であろう人物、赤毛の少年が木の棒を振り上げてきた。


 僕はすぐさま片足で後ろに飛び避けた。


「お前!それに近づいてどうするきだ!」


「気になったから見ようとしただけだよ。ごめんね悪気はなかったから」


「まあまあ」と両手を上げて降参のポーズを見せるが、少年は気が立っているようで、ひたすらナイトの足元を殴りかかってくる。しかし──


「余所者がっ」

「やめなさい!」


 棒は足には当たらず、少年は襟を掴まれ後ろに引っ張られていた。


「母ちゃん邪魔すんな!」

「大丈夫かい?あんた怪我はなかった?」


 母親らしき方は、片手で少年を持ち上げるパワフルな女性だ。


「大丈夫です。こっちこそ村の大事なものだとは知らず申し訳ありませんでした」

「いやいや、うちのバカ息子がごめんなさいね」

「母ちゃん余所者がメタルを盗もうとしたんだよ!騙されちゃダメだ!」


 ゴン!っとゲンコツが少年の頭に落ちた。


「メダルがそう簡単に取れるわけないでしょ!馬鹿だねぇ。これはねぇ、教会のお偉いさん方が魔法を使って取れないようにしてくださったんだから」

「魔法?魔法があるんですか?でも……メダルと何か関係があるんですか?」


「お前、そんなことも知らないの?」


 少年にもう一度ゲンコツが落ちた。いいからお前は父ちゃんの仕事手伝ってこいと母親にその場から追い出され、少年は走り去っていった。


「あんた、記憶喪失なんだって?」


 忘れてた。そう言えばそういうことになってたなぁ。


「はい、名前と森にいたことしかわからなくて。僕の名前は騎士と言います。騎士と書いてナイトと読みます」


「?良い名前じゃない。文字と読み方が違うってことかしら?珍しいわね?私はダイヤンよ、よろしくね。なるほど、記憶がないから魔法のことも知らないんだね?魔法ってのはこの『スキルメダル』を使う力のことをそう呼んでいるよ」


 装飾のメダルの模様に見覚えがあり、ポケットに入れていた家の前で拾ったメダルを取り出し見比べてみる。

 ナイトの手元にあるメダルは雫柄、村のメダルはサイズも大きくて盾が彫られていて、両方のメダルには同じ似た文字が彫られていた。


「あんた!メダル持ちだったんだね」


「あっいや!これは───」

「魔法の使い方はそのメダルを持っていれば力が使えるって聞いたわ。残念だけど私はメダル持ちじゃないから使い方わからないけど」

「魔法……」


 あるんだ…魔法。


「ギルドとかなら知ってる人とかいるかもしれないけど、村からはかなり遠いしねぇ」


 ギルド?そこに行けば何かわかるかもしれないのか。もし仮にここが異世界であるならば、そもそもなんだってメダルが俺の家の前に落ちてたんだ?


 考え込んでいるところに、ココアの声が聞こえてきた。


「ごめんごめん遅くなって。じいさんと話はつけてきたわ」

「叱られてきたんだろ?あんたそろそろ懲りなさい」


「うぅ……ぅ」


 ダイヤンに呆れられているのをみるにどうやら常習犯らしい。


「ナイト、じいさんが部屋貸してくれるって」

「ありがとうココアさん」


 ほら行くよとナイトの腕を引っ張っているココアは、なぜ嬉しそうな顔をしているのか。


 余所者の僕にはわからなかった─────

閲覧ありがとうございます。

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