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手紙と騒動

「リュシエンヌ様、お手紙が届いております。ブルーゲンベルク公爵子息様からですね」


 お昼も過ぎた頃、ルリが手紙を持ってきてくれた。手紙を出すにしても昨日の今日で来るなんて早いなと思いながらも、手紙を受け取り、開封した。「魔法について色々教えるので今度会いたい」とのことだった。まぁ手紙にいきなり時戻りのことを書くわけがないのだ。なぜなら一度は必ず、執事に手紙は開封されてから私たちに渡される。それをわかっているからそう書いたのだろう。


「リュシエンヌ様。ご子息様とお知り合いだったのですね」

「昨日のパーティーで会ったの。そこで魔法の教えを乞うたの。その返事をくださっただけ。空いている日を確認してくれる?」

「はいかしこまりました。……そうですね明後日がちょうど空いておりますが、早すぎるでしょうかね」


 明後日か。まぁ多分レオン様なら大丈夫だろう。いざとなったら魔法で瞬間移動してくるだろう。


「それでいいか。返事を書きたいからしばらく一人にしてくれる?」


 ルリは一礼して部屋を出て行った。えっとなんて書こうかな。まぁでも、魔法の授業について感謝の言葉と、明後日がいいということを書けばいいか。あ、そうだ。アルも話を一緒に聞いていいかも聞かなくては。


「このくらいでいいかな」


 あ、それとアルにも連絡しなきゃね。明後日になりそうってことを。でも王子だからそんなに急だと予定が合わないかもしれない。とりあえず連絡だけしてみよう。私はそれぞれに一枚ずつ手紙を書き終えた。


「ルリ、ブルーゲンベルク公爵家と王家に手紙をお願いしてもいい?」

「王家にもですか?」

「そう。魔法の授業についてアルも興味があるみたいだったからお願いしちゃったの」

「そうでしたか。わかりました、では出してきますね」


 さて、私は何をしようか。ちょっと考えた時にパッと思い出したことがあった。


「そうだ、公爵夫人に一応お祝いをしなきゃ」


 全くもって忘れていた。これから血が半分繋がった妹が生まれてくるというのに。そうと決まれば、行動に移さなければ。


 




「私を祝いに来たの?」


 公爵夫人の部屋に入り開口一番、そう言われた。嫌な顔をしながら。その顔をしたいのはこっちなんだけど。そう思いながら私は挨拶をした。


「ご機嫌よう、公爵夫人。この度はご懐妊おめでとうございます。やっとあなたの娘が生まれるのですね」

「えぇ、そうよ。あなたっていう鬱陶しい存在ではなく愛おしい子が生まれるの。あなたのような汚らわしい子じゃなくてね」

「そうですか。一応ですが私はあなたの大好きな閣下の血も流れています。だから、汚らわしいって言葉は閣下に対して言っているようなものですけどね」


 公爵夫人が私のことをすごく睨んでくる。でも、間違ったことを私は言っていない。

 

「セルジュとは違う男とつくったかもしれないじゃない」


 は?この女は私の母の不貞を疑っているの?正気かしら。不貞をしているのはあなたと、閣下の方なのに。


「世間一般的にはあなたたちの関係が不貞ですからね」


 その一言を言うといきなり公爵夫人は立ち上がり、私の頬を叩いた。パシンと乾いた音が部屋に鳴り響いた。はぁ、この人はすぐに叩くのだから。


「あなたはこの間のことを忘れたのですか?この状態で私が騒いでしまえば罰が下るのはあなたの方なのですよ?そのことをわかっておられないのでしょうか」

「うるさい!さっさと私とお腹の子の前から消えて!あなたは邪魔なの!」


 正気を失ったのか、公爵夫人は周りに当たり散らしている。テーブルに公爵夫人が近づいたかと思えば次の瞬間高い大きな音がしたと同時に私の足に痛みが走った。




 

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