表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/60

考えても仕方ない

「レオン様がなぜ?」


 私は一人テラスで考え込んでいた。その悩みは先ほど言われた言葉の意味について。『今度は死なせない』そうレオン様は言った。それに時戻りをした、とも。かなりの確率でレオン様によって今に至っていることは確かだろう。時戻りの謎について誰がという点については解決したが、何故かが全くわからない。レオン様にとって私がそれほど重要な人間であったとも考えられないし。


「今考えても、仕方がない、かぁ」


 理由なんてそうやった本人しか知らないのだし私は考えるのをやめた。





 私はテラスの手すりに寄りかかりながら持ってきたグラスの中を飲み干した。考えるのを諦めようとしたけれど、やっぱり衝撃的すぎて頭の中ではレオン様の言葉がぐるぐる渦を巻いている。もう少し、ゆっくりしていたいところだけれど、あまり長い時間テラスに滞在しているときっとアルが心配してしまうだろう。 


「戻ろう。でもこのコート着たままだとやっぱり怪しまれるよね」


 会場に戻る前に私はコートを魔法で作り出した空間に収納した。これは時戻り前にレオン様が作って私に教えてくれた魔法だ。レオン様は本当にすごい方で今までなかった魔法を次々と生み出した。その中の一つが私が先ほど使った収納魔法だ。空間を操りそこに物を収納する、といったものなのだがかなりセンスを求められるものらしく片手で数えられるほどしかその魔法を使える人はいなかった。多くもの時間を費やし、習得した魔法。きっと褒めてくださると思って習得した魔法。やっぱり、お父様たちは誉めてはくださらなかったのだけど。あぁ、嫌な記憶を思い出した。パーティーなんだから楽しまなければね。


「リュシー」


 テラスを出るとすぐ横にアルがいた。なんだかすごい怒っているようだった。ど、どうしたのだろうか。


「アル、戻りました。なにかありましたか」


 とりあえず戻ったことを伝え、なぜアルが怒っているようなのか聞いてみた。少し間が空いたと思ったがアルは口を開いた。


「テラスで誰かに会いましたか?」

「ブルーゲンベルク公爵家のご子息に会いました」


 なんだろう。浮気調査されてるみたい。すごくいけないことをしたみたいだ。いや、実際いけないことはされたのか。婚約者がいるのに誰かと抱擁を交わしたのだから。でもそれ以上にやましいことはないのだからちゃんと話そう。


「私を誰かと見間違えたみたいで軽く抱きつかれました」

「は?」 


 あれ、やらかした。どうやら私は言葉選びを間違えてしまったみたいだ。アルは先ほどよりももっと怒った表情をしている。それに心なしか冷たい風が吹いているような?えっと、どうしようか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ