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愛されたかっただけなんだ

 私はリュシエンヌ・フロライン。御三家とも言われるうちの一つの公爵家の娘として生まれた。母は産後の肥立ちが悪くそのまま亡くなってしまった。だから私は母ではなく乳母に育てられた。お父様は、私の母が亡くなってからすぐに愛妾を正妻として迎えた。お父様は、政略結婚で私の母と結ばれたからきっと母が邪魔だったんだろう。そして、母そっくりな私を決して愛してはくれなかった。小さい頃の私は必死に私を見てもらおうと頑張っていた。何もかも完璧にしたらきっと私を見てくれるだろう、そう思っていた。だけど、そんな日は来るはずがなかった。


「よくできたな」

「さすが私たちの娘ね」

「ありがとう、パパ、ママ。リリア、もっと頑張るね」


 だって無条件に愛されるその椅子はすでに埋まっているのだから。



 お父様と義母の間に生まれた子供、リリアはとても可愛い子だった。私から見ても愛らしく感じるほど。でもその座が欲しくて欲しくて私は許されざることをした。



「リリア、リリア。なんでそこは私じゃなかったの」

「――お姉様?」



 キャアアーーー


 リリアの甲高い悲鳴が家に鳴り響いた。



 嫉妬に狂った私は、ついにリリアを傷つける道を選んだのだ。




 そこからは、とても簡単で。騎士に捉えられた私は公女殺害未遂の罪で捕まり牢に入れられた。大切な娘を殺そうとした私を両親は許しはしなかった。苦しめて殺せ、それはお父様から兵士に下された命令だった。私は国家反逆者が受けるような拷問を受けた。そのたびに、愛されたいと願わなければ良かった、そう思わされた。死刑が執り行われる日、私は最後にお父様に聞いた。


「どうしたら、あなたに愛してもらえたのでしょうか」

「お前がどうしたってわたしはお前を愛さない。そもそもわたしたちに愛されようと願ったことが罪なんだ」

「――そう、でしたか」



「早く殺せ」最後に聞いた父の言葉。最後まで私は、あなたに愛されなかった。愛されたかったのだけなのに、愛されたいと思ったことが罪だったのだ。






 あぁ、なんでこんな人たちの愛をもらうために頑張ってきたのだろうか。次生きられるのならば絶対にあなたたちに愛されることは願わない。そう思いながら私は首を落とされた。

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