歯車回しのハムスター【一頁完結型童話調・T書庫シリーズ】
__幕間
ここに一冊の本がある。タイトルは掠れてしまっている。
それは、私たちにとっては物語であるかも謎らしい。
しかし、コレが残されているという事は彼等は確かに存在していたのは確かだ。
そういう世界らしいからね。ココは。
さて、短いが少しばかり話に付き合って貰おうか。
弟よ。ココの書庫は蔵書がいっぱいで私はとてもわくわくしている。
どうせ少ししたら存在が曖昧になって私たちは消えてしまうらしいからね。
ちょっと位、盗み見たところで罰は当たらないだろう。
それではDr.Tの読み語りの始まり始まり。
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くるくる、からから、がちゃがちゃと一歩一歩、歩き続ける。
歩みを止めず前に進む。歯車ががたんがたんと回り続ける。
くるくる、からから、がちゃがちゃと一歩一歩、変わらずに。
時間をかけて廻し続ける。回し車がからからと回り続ける。
くるくる、からから、がちゃがちゃと一歩一歩、回し続ける。
歯車の如く、回し車を、他の事を気にする余裕もなく。
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気付けば、足は重くなっていた。しかし、僕は歩みを止めない。
くるくるくるくる、回し続ける。
からからからから、廻り続ける。
がちゃがちゃと聞こえていた音は既に聞こえていない。
気付けば、皆、歩みを止めてる。1人でも、ゆける所まで。
くるくるくるくる、回し続ける。一歩一歩、歩みを止めずに。
からからからから、巡り続ける。一歩一歩、足を止めずに。
がちゃりがちゃりと音が聞こえる。また、新しい人が来たみたい。
気付けば、皆、歩みを止めてる。皆で歩けば楽しいのにな。
後ろを向かずに前に進める。世界の歯車はそれで回る。
たった一人の世界でも僕の世界は廻ってる。
歩いた分だけ世界を巡る。僕の世界はこんなにも広い。
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くるくる、からから、ぐるぐると回し車を廻すように歯車は回る。
歩いた分だけ世界は広がる。僕の世界はこんなにも楽しい。
くるくる、からから、がちゃがちゃと皆も一緒に世界を巡る。
走った分だけ世界は動く。僕たちの世界はこんなにも大きい。
くるくる、からりと世界は止まる。歩みを止めれば世界は消える。
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見えてた景色は色を失う。歯車が外れ自分も落ちる。
所詮、世界の歯車一つ、自分が落ちても誰かが廻す。
新しい歯車を廻しているのは僕だった。
__終幕
どうやら、この僕は人力発電的な事をさせられていたのか?回し車からからーって回したら発電する奴。
回し車と言ったらハムスター。井の中の蛙……ならぬ回し車のハムスターか。
人力発電ハムスター……いや歯車回しのハムスターとかどうだろうか。
何?本当にハムスターなのかだって?どうだろう。ハムスターだと歩くというより走るな気もするな。
歩みを止めても彼は歩き続ける。きっと一つの世界の歯車から解放された彼は歩き続け、色々な世界を自分の目で見ていくのでしょう。
今の彼はNo.___、Enjoyではハングドマンを担当しています。前回の糸を紡ぐ王はフォーチュン担当の物語なのでロックオンとカタナの担当の物語でした。
静と動をコンセプトに知り合いとゲームの周回でエリハム云々の話から回し車を中心に世界を広げてみました。
予想よりもコンパクト(文字数)に収まってしまった。次回の小噺何だろな。
それでは皆様また次回。