記憶喪失の女性を発見
初めましてマルマルです(^^)/
登場人物が多いと思いますが、
最後まで呼んで頂けると嬉しいです(^-^)v
〇小川家の居間
「どうゆう事だ!!」
ちょんまげで銀色の和服を着た小川家当主の和正が、手に持っていた湯飲みを畳に叩き付けた。
「殿。どうされました?」
お腹がでっぷり出ている軍師の悪徳が、息を切らして小走りで居間に入って来た。
「ワシが当主になってから、
国がどんどん悪るくなる一方ではないか」
大きな声で怒鳴った。
「確かにそうです」
「ワシが当主になる前は、兄弟の中で1番結果を出した。
民からも期待されていた。なのにこのざまは何だ!!」
「私の力不足で申し訳ありません」
平謝りする悪徳。
・・・
「こうなえれば、あの者を呼び戻せ」
「それは、難しいかと」
「なぜだ?」
・・・
「お忘れですか? 殿があの者にした仕打ちを」
「ムムムム」
苦い顔をする和正。
「ワシが説得するから、呼んで来い」
「ですが、どこにいるか解りませんよ」
「いいから早く探して、ワシの前に連れてくるのだ」
「解りました」
渋々命令を聞いて立ち去る悪徳。
・・・
「小川家を救うには、何としてもあの者の力が必要だ」
腕組みをして呟いた。
〇悪徳の屋敷
「旦那様。殿に何と言われたのですか?」
悪徳の部下が聞いてきた。
・・・
「フン。あのアホ殿があの者を探して来いとさ」
「それで、どうするつもりですか?」
「もちろん。探さない」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫。大丈夫。
何か言われたら、探している最中ですと言えばいい。
・・・
あの者が小川家に戻れば、ワシの地位が危うくなる」
「確かに」
・・・
「ただ、あの者に1つだけ感謝してる。
それは、隣国の金剛家に高級居酒屋を作ってくれた事だ」
「ですね。色々な情報を集める事が出来ますし、
人気店なので店も繁盛して、
収入も旦那様の懐にがっぽり入りますからね」
不敵な笑みを浮かべる部下。
「自分の事を優秀と勘違いしているアホ殿を操って、
色々な所にも店を出させて、
甘~~い蜜を吸ってやるぞ。 ハハハハ」
大笑いする悪徳。
屋根の上から、黒い頭巾を被った忍者が覗いていた。
〇小宮家の前
「勝っちゃん。私と結婚してくれるでしょ」
満面の笑みで言う勝彦の元上司マユ。
太った体型で、赤色の派手な着物を着ていた。
「いや、それはちょっと~」
嫌そうな顔をするほっそりした体型で、安い着物を着た勝彦が言った。
「じゃ~お金返してくれる?」
悪魔の様に微笑んだ。
「それも、ちょっと~」
「そぉ~残念ねぇ~。この家も無くなるのね~」
マユは、目の前にある大きな屋敷を見て言った。
「それだけは勘弁して下さい。
代々先祖が守ってきた家なんです」
必死な表情で訴えた。
「でもね~。もう待てないわ。あと3日で返してね」
「そ、そんな無茶な~」
困惑する勝彦。
「だ・か・ら、私と結婚すれば良いのよ」
可愛くウィンクをした。
「・・・・・・」
「じゃ~そういう事だから、よろしく‼
あ~~~3日後が楽しみ~(≧∇≦)b」
スキップをしながら帰っていった。
「はぁ~ 何でこんな事になってしまったんだ。
はぁ~」
ため息が止まらない勝彦だった。
小宮家は、金剛家に仕えていた名門の一族だった。
ところが、数年前から隣国の小川家が急激に力を付けた。
そして、攻められて金剛家は大敗。
小宮家の領地も沢山奪われてしまった。
しかも、側近だった部下の裏切りにより権力を失い、部下や使用人もいなくなり、莫大な借金を抱えてしまった。
その返済に土地や家宝などを売り払って返済し、残ったのが大きな屋敷1つだけだった。
今では3人の家族で、貧乏な生活をしていた。
長男の勝彦は生活費を稼ぐために、
給料が良い商人の所で働いていた。
ところが、女主人のユマが勝彦の事を気に入り、しつこく結婚を迫ってきたのだ。
・・・
しかも、ある物を買うためにお金を借りていたので、結婚を断りにくい状態だった。
〇川沿い
「はぁ~。心を静めたい時は釣りに限る」
釣りの道具を持って、テクテク川沿いを歩いていた。
「うん?
誰か倒れてるぞ!!」
釣り道具をほおり出して、川岸に倒れている黒い着物を着た女性の所に、走って行った。
「大丈夫ですか?大丈夫ですか?」
女性の体を揺らした。
すると、女性が目覚めた。
「ふぅ~。良かった」
安堵した様子の勝彦。
「あなたは誰?」
「ボクは小宮勝彦と言います。あなたは?」
「私は、私は・・・ 誰だろ?」
首を傾ける女性。
「もしかして、記憶を無くしたんじゃ?」
「そうみたい。全く思い出せないわ」
「そうか~。ひとまず医者に見て貰おう・・・
っと思ったけど、家にはお金が無かったんだ・・
どうしようかな~」
腕組みをして考える。
「だったら、あなたの家に泊めて」
「え?ボクの家に?」
「もちろん。タダじゃないわ。お金は払うから」
ニコリと微笑んだ。
「本当に?」
お金と聞いて飛び上がる様に喜ぶ勝彦。
「ええ。今からお金を稼ぎに行きましょ?」
「へ?」
思いもよらない提案に、ビックリする勝彦。
「良いから。良いから。人が多い町に案内して」
「はぁ~」
困惑する勝彦に対して、女性はニコニコ笑顔だった
〇森
「何? 話って?」
胸が大きくて美人でおしゃれな着物をきた女性が、小宮家の次男である翔太に話しかけた。
「タエ、俺と結婚しよう」
翔太は指輪を見せた。
「いや」
「な、なぜだ?」
想定してない答えに、動揺する翔太。
「決まっているでしょ。あなたが貧乏になったからよ」
「貧乏でも俺と別れないと言ったじゃないか」
怒った表情で言った。
「フフフ。あなたが坊ちゃんだった頃の話を信じたの?
私の事を好きにさせるために、ウソを言ったのよ」
不敵な笑みを浮かべるタエ。
「俺の事は好きじゃないのか?」
・・
「好きだったわよ。あなたと財産がセットでね。
でも。財産が無くなったら、嫌いになったの。
それに、私、佐竹家の次男と結婚するの」
「何!!!!!!」
目を大きくして驚いた。
「佐竹家と言えば、
俺達を裏切った元部下の所ではないか」
「ええ。そうよ。だってお金も権力も持っているし、
今1番勢いがある所よ」
「ふざけるな。考え直せタエ。
権力なんて一時的だけだ。
俺が小宮家を復活させるから、その結婚は止めろ!!」
「じゃーいつまで待ったら良いの?
・・・・・・・・
あなたの体では未来がないでしょ。
もう。待てないの。さようなら」
悲しそうな顔をして、タエは去って行った。
「ま、待てくれ~ ゴホゴホ」
タエを追いかけようとしたが、しゃがみ込んで胸を抑え苦しそうにセキをした。
大雨が突然降ってきた。
そして、地面の土を握り締めた。
「くそおおおおおおおお
絶対に金持ちになってやるーーーーーーーー」
雨に打たれながら、天に向って叫んだ。
〇町
勝彦と記憶喪失の女性は、一緒に町を歩いていた。
「へぇ~。ここが町なの?」
キョロキョロ物珍しそうに辺りを見ていた。
「そうだね。ここら辺で1番大きな町さ」
「ふ~ん。あれは?」
記憶喪失の女性が不意に立ち止った。
「どうした?」
「このお店は何?」
指を差して聞いた。
「あ~。これは人気の高級居酒屋【まつ】だけど」
「う~ん。何か見覚えがあるんだけど?」
顔をしかめて、じーっと見つめる記憶喪失の女性。
「もしかしたら、何か関連があるかもしれないね」
「それじゃ~。入ってみよう( ̄▽ ̄)♪♪」
「ダメダメ」
お店に入ろうとした記憶喪失の女性を必死に止める勝彦。
「何でよ? 記憶が蘇るかもしれないでしょ」
「ここは、お金持ちしか入れない所だからダメ。
入ろうとしても怖い男達がいるから入れないよ」
「え~~~」
口を尖らせた。
「さあさあ。行くぞ」
その場を動かないので、仕方なく着物の袖を引っ張って行った。
〇団子屋
「ぐううううう」
記憶喪失の女性からお腹の鳴る音がした。
「あれ? 今何か音がした?」
「さぁ~。知~~らな~~い」
ほっぺが赤くなり、顔を背けて口笛を吹いた。
「変だな~。確かに聞こえたんだが・・・
気のせいか?」
頭を傾げて、アゴに手を当てた。
「そ、そうよ。気のせいよ」
目が左右に高速で泳いでいた(°д°)!!
「ごががががががががががががががががががががが」
物凄い音でお腹の鳴る音がした。
とっさにお腹に手を当てて止めようとした。
「あれ~? ここから音がするんだけど?」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑って、女性のお腹に顔を近づけた。
「こ、このバカ」
顔を真っ赤にして、勝彦の頭を叩いた。
「痛!! 何するんだよ~」
「と、当然でしょ。人の嫌がる事をしないの」
「と言う事は、やっぱり」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑った。
「フン。もう~知らない。」
頬を膨らませて顔を背けた。
「ハハッハハハ。ごめん。ごめん。冗談だよ」
「許してあげる代わりに、
今直ぐ食べに行くわよ~( ̄▽ ̄)♪♪」
そう言うと猛ダッシュで、団子のお店に入って行った。
「ち、ちょっと。待ってくれ~」
勝彦は急いで走った。
「いらっしゃい。何にしますか?」
「お団子の串を10本頂戴」
満面の笑みで言った。
「はぁはぁはぁ。ちょっと待った。
さっきも言っただろ金が無いって」
走って来たので、肩で息をしていた。
「大丈夫。大丈夫」
「本当~~~~~~に大丈夫?」
疑いの目で見る勝彦。
「大丈夫だって、あなたも食べる?」
「解った。君を信じるよ。ボクは5本くれ」
「かしこまりました」
店主が中に入って言った。
「ハイ。注文の団子です」
店主がお皿の上に、団子の串15本を載せて持ってきた。
「あ~。美味しい~」
モグモグ食べながら、美味しそうに食べた。
「確かに。上手いな。何本でもいける」
勝彦もバクバク食べた。
二人ともあっと言う間に食べてしまった。
「ふぅ~。食べた食べた。お勘定を」
勝彦が言った。
「はい。1500円になります」
「じゃ~。払って」
「お金無いわよ」
「はい? だって、大丈夫と言ったじゃないか」
目を大きくして驚く勝彦(°д°)!!
「お客さん。本当に金無いんですか?」
怖い顔をする店主。
「無いわよ」
「だったら、役所に連れて行きましょうかね」
「ちょ、ちょと。待ってくれ~」
凄く困った顔をして慌てた。
「お金は無いけど、
売り上げをUPさせるアイディアはあるわよ」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑った。
「へ?」
口を空けて、ぽかーんとする勝彦。
「ど、どういう事ですか?」
店主は困惑した表情で聞いてきた。
「つまり、売り上げUPの方法を教えるから、
タダにしてって事。お店が儲かれば嬉しいでしょ?」
「それは、嬉しいですが、本当なんですか?」
疑いの目で見る店主。
「ええ。もし、役に立たない案だったら、
役所に行っても良いわよ。どうする?」
自信満々に答えた。
「う~ん。解りました。
とりあえず聞いてから決めます」
「決まりね。
売り上げUPする方法はズバリ(^〇^)!!
団子の作り方を教える教室を開くの」
「団子は誰でも作れるんじゃないの?」
「確かに誰でも作れるわ。
・・・・
でも、美味しい団子を作るには、
材料の比率や作り方などノウハウがいるわけ」
ウンウンと頷く店主。
「でも、需要はあるのかな~?」
勝彦が聞いた。
「あるわよ。子供や家族におやつを作りたい人。
自分で作って、団子を安く沢山食べたい人。
何より、このお店に来てくれるお客様は、
味を知っているから、宣伝すれば1番教室に来てくれるはずよ。
あとは、団子は甘い物が好きな女性に人気だから、
女性にプレゼント出きる団子の作り方を
男性に提案すれば、来てくれるんじゃない?」
「なるほど。良いアイディアですね」
手でポンと叩いて、感心する店主
「教える内容は、自宅で用意出来る材料を使って、
基本的な作り方を教えた後に、
生徒達にオリジナルの団子を作って貰うの。
その中から、美味しい物を試食品としてお店に出し、
お客様の評判が良かったら、メニューに加えるの。
生徒達にはアイディア料として、
お金を払うようにすれば喜ぶはずよ」
「素晴らしい!!
お店と生達が喜ぶ仕組みですね」
興奮した様子の店員。
「実は教室を開くメリットもあるの。
お店について率直な意見を聞けるのが良い点よ」
「例えば何です?」
目を輝かせる店主。
「味についての感想だけでなく、
他店の流行っている団子の情報も入手出きるわ。
また、お店の接客やサービスなどの感想を聞けば、
問題点を発見出来る。
それを改善すれば、お店の売上UPに繋がるわ。
それに、仲良くなれば常連になって、
お店の団子も沢山買ってくれるはずよ」
「なるほど。なるほど。そう言う意図があったですね。
助かります。直ぐに教室を開きましょう」
嬉しそうに答えた。
「え? じゃ~お金は払わなくて、いいんですか?」
「ええ。お代はいらないです」
「やった~( ̄▽ ̄)/
一時はどうなるかと思ったけど、これで一安心。
よし。帰ろう?」
勝彦はホットした表情で言った。
「まだよ」
「へ?」
思ってもいなかった返答に思わず、(°д°)ビックリした。
「おじさん。
まだ売上UPの方法があるって言ったらどうする?」
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑った。
「本当ですか? 是非教えて下さい」
「ただ、条件があるの?」
「条件?」
「この店のアドバイザーとして雇って欲しいの」
「ど、どういう事ですか?」
「毎月、顧問料として決まった金額を貰うの。
その代わり、お店が繁盛する提案をどんどんするわ」
「う~ん」
腕組みをして悩む店主。
「じゃ~。顧問料は10万円と言いた所だけど、
最初の月は5万円でどう?」
「う~~~~~~~ん」
どうしようか凄く悩んでいた。
「あ、そう。じゃ~他の団子屋に教えに行~こう。
行くわよ。ポチ」
「え? ああ」
勝彦と記憶喪失の女性はくるりと向いて、外に歩き出した。
「ちょ、ちょっと待って下さい。
雇います。雇いますから」
必死な顔で呼び止めた店主。
( ̄▽ ̄)ニヤリと笑う記憶喪失の女性。
そして、店主の方を振り返らずに喋り出した。
「どうしようかな~。
やっぱり5万円じゃ~安いわよね~」
勝彦の方を見て、ウィンクした。
「あ、ああ。そうだね」
思わず頷いてしまった。
「解りました。6万円でどうでしょ」
「それも、安いわ~」
「だったら、いくらならいいんですか?」
「そうね~。20万円でどうかしら?」
「20万円!!」
店主が思わず絶句した。
(いやいや。さすがに無理だろう~。強欲過ぎるよ)
勝彦は二人のやりとりを見て思った。
「それはさすがに・・・」
眉間にシワを寄せた。
「だったら、10万円でいいわ。
その代わり売上が倍になったら、
ボーナスを弾んでね(^▽^)♪♪」
くるりと振り返って、笑顔で言った。
「本当ですか? 助かります」
嬉しそうに答える
「まいどあり~( ̄▽ ̄)♪♪」
満面の笑みだった。
(ひょえ~(°д°)!!。もう10万円ゲットしたよ!!
この記憶喪失の女性は、一体何者?)
目を大きくして驚く勝彦だった(°д°)!!
「それでは、教えて貰えますか?」
「良いわよ。売上をUPする方法はね・・・」
店主に話始めた。
お気に入りや評価して頂けたら、今後の励みになるのでよろしくお願いします(≧∇≦)b