表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

95/129

第九十五話 ダークネス冒険の始まり

 時はあれから数分後。

 場所は変わらずレストラン。


「うぅ……もうお腹いっぱいです」


 と、聞こえてくるのはクロの声だ。

 そんな声に対し、柚木と綾瀬が順に言う。


「身体が小さいと、食べる量も少ないんだな。あたしはまだまだ、食べ足りない!」


「大食いの柚木と比べるの間違っていると思うけど。たしかに、クロは小食すぎる気がするわね。だからきっと――」


「や、やめてくださいよ! なんで私の胸を見るんですか!? 訴えますよ!」


 わーわー。

 きゃーきゃー。


 と、騒いでいる女性陣。

 そんな中。


「くぅ……くぅ……」


 と、寝息を立てているのはヒナさんだ。

 彼女、食べ終わるや否や爆睡してしまった。


(さっきのクロ達の話になるけど、身体が小さいと本当に食べる量も少なそうだよね)


 なぜならば。

 ヒナもあんまり食べなかったからだ。


 もっとも。

 ヒナの場合は、半ば寝ながら食べていたからの可能性もあるが。

 などなど、直江がそんな事を考えていると。


「あら……直江ももう食べ終わったのかしら?」


 と、言ってくるのは綾瀬だ。

 彼女はこくこくっとミルクを飲んだのち、直江へと言葉を続けてくる。


「あんたは普通に食べる方だと思っていたけれど?」


「今日はヒナがこの調子だからあれでしたけど、それでも充分に食べましたよ」


「?」


「あれです。僕は食べるの早いんですよ。なんで、多分現状の柚木くらいは食べましたよ――結構お腹膨れてますし」


 もちろん、まだまだ食べられる。

 しかし、朝から満腹にするのは少し嫌なのだ。


(そうすると、色々動くの怠くなるし、お昼ごはんにも満腹度持ち越しちゃうし)


 せっかく旅行に来たのだ。

 色々動きたいし、昼食と夕食もしっかり食べたい。


「直江さん、直江さん!」


 と、聞こえてくるクロの声。

 見ればクロ、いつの間にやら席を立ち、直江の方へとやってきていた。

 そんな彼女は直江の袖をくいくい、彼へと言葉を続けてくる。


「もう食べ終わったんですよね!? もうデザートとかもいいんですよね!?」


「うん、僕は朝から甘いものはちょっと……」


「でしたら、直江さん! 一緒に冒険をしましょう!」


 キラキラ。

 と、瞳を輝かせているクロ。


 冒険がなんなのかは不明だ。

 しかし、なんにせよ直江としては構わない。


 腹ごなしに動きたい気分もある。

 それになにより。


(クロがこんだけ楽しそうにしてるんだから、断るのは無粋ってものだよね)


 だがしかし。

 直江はこうも思うのだ。


(せっかくみんなで朝食してるのに、クロと二人で抜けちゃっていいものかな)


 などなど。

 直江がそんな事を考えながら、綾瀬と柚木とヒナの方を見ていると。


「行ってきなさいな」


 と、聞こえてくる綾瀬の声。

 彼女は柚木とヒナの方を見たのち、直江へと言葉を続けてくる。


「柚木は今にもおかわり行きそうだし、ヒナは爆睡してる。わたしもこれからデザートに行くところだし……あんた暇でしょ?」


「いや、みんなと話せるんで暇では――」


「まぁ、とにかく。同じく暇なクロと一緒に、少しおでかけしてきなさい」


「…………」


「そんなにジッと見て、どうしたのよ?」


 正直驚いだ。

 まさか、綾瀬がこんな許容を見せてくるとは思わなかった。

直江のイメージでは、こうだ――。


『直江……わたしを置いてクロと抜け駆け? 許せない、許せない許せない許せない!』


 そして始まる戦慄時間。

 おそろしやおそろしや。


 さてさて。

 それに比べて、今の綾瀬はなんだ。

 若干物足りさと心配を感じてしまうレベル――。

 

「はぁ~ん、なるほど」


 と、直江の方を見ながら、にやにやしてくる綾瀬。

 彼女はそのまま、直江へと言ってくる。


「あんたの考えなんて、全部まるわかりよ。どうせ『どうして焼きもち焼いてくれないのか』って、そう心配しているわね?」


「……所々違いますけど、まぁそんなところです」


「まったく、そんなの簡単じゃない」


 と、髪をふぁさっと手で払った後。

 綾瀬は直江へと言葉を続けてくる。


「これこそ真実の愛の力――要するに、正妻の余裕ってやつよ」


「…………」


 なるほど。

 どうやら直江の正妻は、綾瀬だったようだ。


さて……いつも言ってることなのですが


面白かったら、この部分より更に下(広告の下あたり)から、マックス星5までの評価や感想できますので、してくれると参考になります。


また、続きを読みたいと思ったら、ブクマしてくれると励みになります。


ブクマとポイントはどちらも、作者が連載する活力になっています。

冗談抜きで、執筆するモチベーションに関わって来るレベルです。

すでにしてくれた方、本当にありがとうございます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] キャプ食いの波動を感じる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ