第七十八話 直江は柚木の好感度上げてみる
時はG粉々事件から十数分後。
場所は体育館裏。
「はぁ……やっと見つけた」
直江、控えめに言ってもかなり走りまくった。
学校の屋上から別校舎の屋上まで、柚木を探しまくった。
(まぁ、柚木を見つけるためだし、別に苦ではなかったけどさ)
などなど、直江はそんな事を考えながら、柚木の方へと歩いて行く。
さてさて。
現在、その柚木さんはというと。
体育館の壁に背を付け、体育座りでどんよりモードになっている。
(僕に本性バレたのがショックだったんだろうけど、僕からすると大した問題じゃないんだけどな)
柚木はどんな柚木でも、直江にとっては柚木なのだから。
直江はそんな事を考えたのち、柚木の隣へと座る。
そして、彼は彼女へと言う。
「どうして逃げたの?」
「直江に嫌われたからだ……」
「いつ僕が、柚木のこと嫌いって言ったの?」
「言われてない……でも、嫌われたんだ」
どんより。
と、露骨にオーラを放つ柚木。
直江はそんな柚木の頭を撫でながら、彼女へと言う。
「っていうか、そもそもの話なんだけど――僕さ、柚木のこと知ってたんだよね」
「……何を?」
「いやだから、柚木が猫かぶってるの」
「…………」
「あと公園で時々、夜に不良たちとたむろってるよね?」
「…………」
あれ、おかしい。
柚木さん、何も言わなくなってしまった。
直江としては、よかれと思って真実を話した。
しかし、これはひょっとして逆効果だったのでは。
と、直江がそんな事を考えたその時。
「はぁ!? なんだよそれ!」
ばっと、直江の方を見てくる柚木。
彼女はそのまま、直江へと言葉を続けてくる。
「い、いつからだよ! あたしが猫被ってたの、いつから知ってたんだよ!」
「いつだったかな……」
「あぁもう! なんでハッキリしないんだよ、おまえは!」
「あはは……ごめん、ごめん」
「むぅ~~~~! まぁ、いいよ――ったく」
と、すっかり元気になった様子の柚木。
彼女、結構メンタルの回復力強いのかもしれない。
などなど、直江がそんな事を考えていると。
「でも直江、わざわざさ……あたしのこと、慰めにきてくれたんだな」
と、言ってくる柚木。
彼女は直江へと、やや恥ずかしそうに言葉を続けてくる。
「あたしさ、直江のそういうところ……やっぱり好きだ」
「うん、ありがとう」
「だからさ、ちょっと記憶を失ってみようぜ~!」
「うん――え?」
見れば、立ち上がり拳を振りかぶっている柚木。
やばい、やられる。
「っ!」
…………。
………………。
……………………。
「?」
おかしい。
いつまでたっても、衝撃が襲って来ない。
まさか、衝撃を感じる前に直江、死んだ説。
などなど。
そんな事を考えた。
まさにその時。
きゅっ。
と、まるで包み込まれるような感覚。
気がつけば、直江は柚木に抱きしめられていた。
「えっと……柚木、さん?」
「なんか、安心したから」
と、言ってくる柚木。
彼女はそのまま言葉を続けてくるのだった。
「もうちょっとこのままで居させてくれ……直江」
さて……いつも言ってることなのですが
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