第六十七話 直江とヒナのお悩み相談
時は朝。
場所は直江の部屋――ベッドの上。
「お兄……朝!」
と、直江はそんなヒナの声により、目が覚める。
きっといつも通り、直江の事を起こしにきてくれたに違いない。
ゆさゆさ。
ゆさゆさゆさ。
と、揺さぶられる直江の身体。
直江はそろそろ起きようと、ゆっくり目を開ける。
すると最初に見えて来たのは。
「おはよう……お兄」
そんなヒナの顔だ。
ただ気になる事がいくつかある。
(うん……なんでヒナ、こんな頬が赤くなってるんだろう)
さらに言うなら、息が圧倒的に荒い。
きっと、深くは考えない方がいいに違いない。
直江はそんな事を考えた後。
身体を起こしながら、ヒナへと言う。
「今日も起こしてくれてありがとう。おはよう、ヒナ」
「ん……おはよう、お兄」
もじもじ。
もじもじもじ。
と、なんだか様子がおかしいヒナ。
朝方のヒナの様子がおかしいのは、ぶっちゃけ日常茶飯事。
だがしかし。
なんだか今日はいつもとは違うような。
そんな感じがするのだ。
故に、直江はヒナへと言う。
「ヒナ? 何かあったの? もし何か心配事とか、困ってる事があるなら、いつでも言ってね?」
「すごい……お兄、ヒナのこと何でもわかってる」
「まぁ兄妹だしね。ヒナだって、僕の様子が少しでもおかしかったら、すぐに気がつくでしょ?」
「当然……お兄の変化に気がつくのは、ヒナの務め。でも……お兄もヒナの変化に気がついてくれるの、なんだか嬉しい」
と、なにやらヤバい方向のもじもじをしてくるヒナ。
これはやばい。
直江はこの流れを知っている。
きっとヒナはこのままだと、確実に発情してやばい事になる。
今も確実に、直江でいかん妄想しているにちが――。
「ヒナの小さな変化に気がつくってことは……お兄に、ヒナの全部……わかられちゃってる……ヒナの全部……ヒナの、ヒナの大事なところも全部……」
と、案の定なヒナ。
これ以上の放置はまずい。
直江はヒナの意識を逸らすべく、彼女へと言う。
「ひ、ヒナ! それでどうしたの!? なんか困ってるの? 相談があるなら、いつでも聞くよ! 今だっていい! ヒナ、早く言って見て!」
「お、お兄? 急にどうしたの? ヒナの肩掴んで……そんなにヒナが心配なの?」
「そう! 僕はヒナが心配なんだよ! ヒナの精神状態とか、そういうの考えだすと冗談抜きで恐ろしく……ではなくて、心配で寝れないんだよ!」
「ヒナ、嬉しい。やっぱりヒナ……お兄のこと、大好き」
きゅっと抱き着いて来るヒナ。
彼女はそのまま、直江へと言ってくるのだった。
「今日の放課後、ヒナ……行きたいところある」