表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

60/129

第六十話 魔境②

「な、直江さん! た、助けて――助けてください!」


 と、直江に飛びついて来るのはクロだ。

 彼女はガクガクと震えながら、彼へと言葉を続けてくる。


「お、恐ろしいです……恐ろしい物を見てしまいました……う、うぅ」


「えっと、大丈夫? 僕がいない間に、何かあった?」


「お、おかしいです……あの人達はおかしいです」


 と、ぷるぷるガクガク。

 怯えた様子のクロ。


 いったい、クロはどうしたというのか。

 直江はそれをハッキリさせるために、リビングへと一歩を踏み出す。

 すると。


 …………。

 ………………。

 ……………………。


「あら、直江。おかえりなさい」


「お兄、おかえり……お客さん誰だった?」


 と、ソファーに座りながら言ってくるのは、綾瀬とヒナだ。

 直江はそれを見たのち、未だ彼へ引っ付いているクロへと言う。


「えっと……特に変わった様子はないけど?」


「ほ、本当です! さっきまで、この二人はやばかったんです! 信じてください……直江さん!」


「二人が何かしていたってこと?」


「していましたよ! それはもうやばいことを!」


 と、ジタバタ言ってくるクロ。

 彼女はそのまま、直江へと言葉を続けてくる。


「この二人――さっき、どこからか取り出したカメラをテレビに接続……直江さんの全裸入浴シーンを鑑賞し始めたんですよ!」


「…………」


「えぇ、えぇそうでしょう! 直江さんもショックですよね!? 私もですよ! 部長はともかく、まさかヒナさんまで……っ、これじゃあ変態じゃないですか!」


 なるほど。

 直江は全て理解した。


 簡潔に言うとこういうことに違いない。

 クロは綾瀬とヒナの闇に触れてしまった。


 やばいやばい。

 と、クロの精神崩壊するのも当然だ。

 などと、直江が考えていると。


「クロ……何言ってるの?」


 と、聞こえてくるのはヒナの声だ。

 ヒナはクロへとジトっと言葉を続ける。


「ヒナ、そんなことしてない……変な妄想を一人で言い散らすクロ……変態」


「なっ!? そ、そんな事言っても無駄ですよ! 私は確かに――」


「確か――とは、どういうことかしら?」


 と、二人の会話に入って来るのは綾瀬。

 彼女は不敵な様子の笑みを浮かべ、クロへと言葉を続ける。


「わたしもそんな事をしていた覚えはないわね。ということは、ヒナの言う通り――全部クロの変態妄想ということよね?」


「う、うぅう~~~~~!」


 と、直江の裾をくいくいしてくるクロ。

 可哀想に、彼女――変態二人にフルボッコだ。


 だがしかし。

 直江はクロを信じる。

 なぜならば、彼は知っているからだ。


 ヒナの変態性を。

 そして、綾瀬の狂気を。


 などなど。

 直江がそんな事を考えていると。


「なんだよ~! あたしも混ぜてくれよ~!」


 ずずいっと。

 柚木がリビングへと入って来るのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ