第二十二話 テンプレートな出会いはお好きですか?④
『計画通り』
たしかに、柚木の口はそう動いた。
声には出していなかったが、見間違えてなどいない。
やはり、柚木の行動は全て計算。
直江に好かれるために、全て作られているのだ。
これは先ほども考えたことだが。
(いや、嬉しいよ……嬉しいけどさ)
怖い。
これまでの直江との付き合い――今に至るまでの全て。
それを仮想人格で過ごしている柚木が怖い。
「直江~、どうしたんだよ~? なんで、そんなに唸ってるんだ?」
と、言ってくる柚木。
彼女は直江の背をさすりながら、言葉を続けてくる。
「ひょっとして、お腹が空いたのか? それなら安心だ、直江! えっと……ちょっと待ってくれな……えっと、ほら!」
「これ、は?」
「お弁当だ! 最近直江、学食でパンばっかり食べてるからさ、あたしが久しぶりに作ってみた!」
と、わくわくとした様子の柚木。
きっと、直江のこの言葉を待っているに違いない。
「これ……いいの? 嬉しいけど、大変だったんじゃ」
「全然大変じゃない! あ……そうだ! 昨日の夜な! 実はこの弁当の材料を買いに行ってたんだ! でも、全然大変じゃない! 直江のためなら、あたしは頑張れるからな!」
と、言ってくる柚木。
直江の耳がイカれだのだろうか。
柚木今。
『あ……そうだ!』
って言った。
まさに今思いついたから、そういうことにしようとする発言。
柚木、ここに来ていい加減だ。
(まぁどんなに人格を作っていても、結局は柚木だもんね……優しいけど、どことなく抜けていていい加減――そんなに身構えなくてもいいか)
こうして、普通に話せていることだし。
若干、黒い所が目に映る様になってしまったが。
直江はそんな事を考えたのち、柚木へと言うのだった。
「ありがとう。今度、なにかお礼をするよ」
さて……いつも言ってることなのですが
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