第十四話 僕達私達の日常です(真)~欲望の解放者~②
銀髪ツインテール。
中学生二年生にしては、いろいろ発育がいい義妹。
ヒナ。
人見知りだが、直江にはとても懐いてくれる。
この前だって。
『お兄……ゲーム、したい』
『お兄……一緒にでかけよ』
『お兄、忙しいの? わかった……じゃあヒナ、お兄の用事が終わるまで待ってる……お兄と出掛けないと、おもしろくないから』
『ヒナはお兄が好き……勉強教えてくれたり、優しくしてくれるから』
とかとか。
とかとかとか。
そんなやりとりがあった。
つまり、直江とヒナは良好な関係を保てている。
……そう、思っていた。
今この瞬間までは――こうして、直江の部屋を覗き込むまでは。
扉の先にあった光景。
それはこうだ。
「ヒナ……お兄が、好き……」
と、直江のベッドから聞こえてくるのは、義妹ことヒナの声。
直江の枕を抱きしめるように、言葉を続る。
「お兄……いい、よ?」
うん、なにが?
「ヒナ……お兄となら、結婚しても」
ヒナはご満悦といった様子だ
いったい、直江は今何を見ているのだろうか。
ヒナはいったい、何を——
…………。
………………。
……………………。
(はっ!?)
あまりにも事態が衝撃的すぎて、直江は意識を失っていたようだ。
気がつくと、ヒナはベッドの上からいなくなっていた。
彼女が今いるのは――。
「はぁ……お兄、かっこいい」
と、直江の勉強机から聞こえてくるヒナの声。
どうやら彼女は、そこにある家族写真――それに写る直江を見ているに違いない。
そんな彼女は、もじもじした様子で、言葉を続ける。
「お兄と結婚したい……お兄と変態プ○イしたい……それで……お兄と赤ちゃん……えへへ」
もぞもぞ。
もじもじ。
うん、これは間違いないね。
ヒナはあれだね。
(へ、変態だぁあああああああああああああああああああああああっ!)
いったいいつから、ヒナはこうなったのか。
いやそれよりも問題なのはこれ……。
(ヒナの奴まさか……まさか)
ヒナは直江をそういう目で見ている?
この瞬間、直江は気がついたのだった。
ヒナは直江に懐いているのではない。
彼女にとっての彼は――。
恋愛対象であり。
オ○ズなのだと。