第十三話 僕達私達の日常です(真)~欲望の解放者~
時は深夜一時近く。
場所は直江家前。
「おかしい……」
ここにきて、直江はとあることに気がついていた。
それは。
(こんな時間になったのに、家族から心配の連絡が来ないのは変だよね)
と、直江はそんなことを考えながら、スマホを取り出す。
すると、目に留まるのは一通のメール。
差出人は――。
『直江、どうして勝手に帰ったの? お菓子も用意したし、ご両親に連絡しておいたのに――直江は今日、わたしの家に泊まりますって』
綾瀬だ。
ナルホド、アリガタイカギリダネ。
まぁ、なんにせよだ。
気を取り直して、セーフティゾーンへ帰還と行こうじゃないか。
と、直江はそんな事を考えたのち、自宅へと入っていくのだった。
…………。
………………。
……………………。
家族を起こさないよう。
ゆっくりドアを開け、階段を登ること数分。
直江はついにセーフティゾーンこと、自分の部屋の前へとたどり着いた。
「しまった……お風呂とかどうしよう。この時間帯に入ったら、さすがにみんなを起こしちゃうよね?」
仕方ない。
洗面所で頭を洗い、ボディシートで身体を拭くという応急処置で我慢しよう。
明日の朝一で風呂に入れば、問題はおそらくないに違いない。
「ん、あれ?」
と、そこで直江は異変に気がつく。
それは。
(おかしい。僕の部屋から明かりが漏れてる……ひょっとして、朝学校行くときに電気を消し忘れたのかな?)
いやでも、そうであったとしてもおかしい。
さすがに、家族の誰かが気がついて消してくれるはずだ。
特に――。
と、直江はそんな事を考えたのち。
隣の部屋へと目を向ける。
そこにあるのは。
『ヒナの部屋』
妹の部屋だ。
さすがにこの立地で、妹が気がつかないわけがない。
「…………」
嫌な予感がする。
きっと、綾瀬の件があったからに違いない。
(ま、まさか……扉を開けたら、綾瀬が待ってるとか……)
いやいやいや。
ありえないありえない。
さすがの綾瀬も、そんな犯罪みたいことはしないにちが――。
百二十日目
欲しい直江が欲しい彼が他の女に毒されない様にしてあげなければならない監禁……それは犯罪だしかし直江を助けることは正義だからきっと犯罪にはらないいつか実行しよう直江があたしの愛をわかってくれたその時に首輪のプレゼントと共に
「…………」
いや、大丈夫!
きっと、直江が気にしすぎているだけだ。
現実的に考えて、直江宅に侵入するのはハードルが高すぎ――。
ガタッ!
突如、部屋の中から聞こえてくるそんな音。
間違いない……誰かが部屋の中に居る。
ダメだ、やはりおかしい。
時間は深夜だ――家族がいるわけもない。
(でも、こうして考えていても始まらない)
と、直江は部屋の扉をゆっくりと開ける。
そして、隙間から室内を覗き込むのだった。