第百二十八話 ハラハラ爆弾デート②
『直江、ペットショップが見たいわ』
と、綾瀬のそんな提案により。
現在、直江は商店街にあるペットショップへとやってきていた。
(それにしても、綾瀬もなんだかんだで可愛いところあるな)
綾瀬はどうしても、やばい所が目立つ。
そのため、こういう小動物には興味ないかと思ってしまう。
直江のイメージでは、綾瀬はやばい店に入り浸っているイメージがある。
例えば監禁系プレイのグッズが大量に売っている店とか。
などなど。
直江がそんな事を考えていると。
「ねぇ直江、これどうかしら?」
と、聞こえてくるのは綾瀬の声だ。
直江が声の聞こえた方を見ると、そこにいるのは当然綾瀬。
そんな彼女は片手に犬用の首輪を持ち、直江へと見せてきている。
直江はそんな彼女へと言う。
「どうって……綾瀬って犬飼ってないよね?」
「ええ、今は飼っていないわ」
と、返してくる綾瀬。
そんな彼女は直江へと、さらに言葉を返してくる。
「でもこれから飼う予定よ。とても大きくて、可愛らしい犬種をね」
「なるほどね。だから早めに首輪を選んでおきたいんだ?」
「さすが直江ね、その通りよ。それでどうかしら、あんたはこの首輪……どう思うかしら?」
「ハッキリした犬種が分からないから何とも言えないけど――」
言って、直江は綾瀬の持つ首輪をじっと見る。
その首輪はネームプレートが付いており、後から名前を刻めるものだ。
全体の色は赤。
これといった特徴もないが、落ち着いていて可愛らしく見える。
要するに。
「いいと思うよ。これならどんな犬種にも合うと思うし、ネームプレートも付いてるから、もしもの時にも少し安心だし」
「そう言ってもらえると嬉しいわ、直江」
と、直江の言葉に対しニッコリ笑顔を返してくる綾瀬。
彼女はいつの間にやらもっていた買い物かごに首輪を入れた後、さらに直江へと言葉を続けてくる。
「次は水飲み皿と、ごはんのお皿……あとそうね、おもちゃも直江に選ばせてあげるわ」
「いいの? そういうのって、ペットを飼う時の楽しみでもあると思うんだけど」
「問題ないわ。だって、直江の事だもの」
「僕の?」
「ほら、早く選びなさいな」
と、にこにこな綾瀬さん。
なんだかよくわからないが、とりあえず綾瀬がご機嫌で何よりだ。
などなど。
直江はそんな事を考えた後、店内を歩き始めるのだった。