表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/129

第百八話 破壊神

 時はあれから数分後。

 現在、直江は柚木を探していた。


「輪投げするとか言ってなかった……普通に居ないんだけど」


 けれど、直江は特に焦ってはいなかった。

 なんせ、彼女は昔から適当だった。


 小さい頃一緒にいったお祭りの時など。

 りんご飴の屋台探したら、何故かステーキ串食べてた。

 そのレベルで気まぐれだ。


(そもそも、ずっと輪投げやるのも飽きるだろうしね)


 きっと、他のゲームを楽しんでいるに違いない。

 と、直江がそんな事を考えたその時。


「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「すげぇ!」


「なんだこいつ……やばくね!?」


 と、聞こえてくる男達の声。

 見れば、パンチングマシーンの傍。

 そこにガラの悪そうな男達が、群がっている。


「……うん」


 すごく嫌な予感がする。

 直江はゆっくりと、そちらの方へと近づいていく。

 すると。


 ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


 聞こえてくる破壊音。

 同時――。


「おい、マジかよこの女!」


「すげぇ……パンチマシーンで得点カンストとか」


「あぁ、見たことねえぇよ」


「っていうか、パンチングマシーン今さ、動かなかったか?」

 

 聞こえてくる男達の歓声。

 直江はこの時、確信した。


 そんな事を出来るのは、この世界に一人しかいない。


 などなど。

 直江はそんな事を考えた後、男達の方へと近づいていく。

 すると、男達の中心――パンチングマシーンの前に居たのは。


「はっ! どーよ? これがあたしの実力だ! よかったな、てめぇら――あたしにあのまま絡まなくてよぉ!」


 ご機嫌な様子の柚木さんだ。

 彼女はしゅっしゅっと、シャドーボクシングしている。

 そんな彼女は、周囲の男達へと言う。


「あたしは喧嘩も強いぜ? まぁ、あたしが最初にぶっ潰したてめぇらの仲間――あれを見ればわかると思うけどな……っと!」


 その場でシャドーボクシングの締めとばかりに、蹴りを放つ柚木。

 同時、周囲の不良からまとも歓声があがる。

 そして、その内の何名かが柚木へと言う。


「姉御! うちらの頭になってくれよ!」


「あんたほど強かったら、俺達のグループは最強だぜ!」


 まずい。

 このままでは柚木が、旅行先でも不良のリーダーになってしまう。

 と、直江は彼女を連れだすべく、彼女へと近づ――。


「残念だけど、てめぇらの頭になる気は……あ、直江!」


 と、直江に気がついた様子の柚木。

 彼女は彼の方へとかけてくると、そのまま言葉を続けてくるのだった。


「直江ぇ~! あたし、直江が居なくてとっても寂しかったぞ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ