第百一話 みんなで商店街に行ってみる②
「はやく卓球……いこ?」
と、クロの口を塞ぎながら言ってくるヒナ。
直江はそんな彼女へと言う。
「いや、でもヒナはそもそも、射的がやりたいんでしょ?」
「いい……お兄と遊ぶ方が楽しい」
「う、うーん」
正直、そう言ってもらえるのは嬉しい。
しかし――。
(ヒナ、射的を見ただけであんなに喜んでたのに、本当にいいのかな)
それを言うならば、綾瀬と柚木もだ。
軽率に『卓球をやる』と言ったのは、失敗だったに違いない。
などなど、直江は一人そんな事を考える。
そして、あらかた考えをまとめた後にクロへと言う。
「一緒に卓球やるのは変わらないけど、時間を決めないかな?」
「もご……もごっ、ぷはっ――もう、いい加減に離してくださいよ!」
と、ヒナの拘束を強制パージするクロ。
彼女は「ふぅ」と一息ついたのち、直江へと言葉を続けてくる。
「時間ですか? 別にそれは構いませんよ。もとから卓球の台を借りるのは、時間制みたいですし。それに、何時間もやるのは私の体力が――」
「あ、あはは……実を言うと、体力にかんしていうなら、僕もあんまり自信ないかな」
「おぉ! さすが直江さんです! 私は好きですよ――体力ないインドア系男子! そっちの方が、いろいろと趣味が合いそうですので!」
「…………」
はたしてこれ、褒められているのか。
非常に悩みどころだ。
さてさて、なにはともあれ。
直江は続いて、他三人へと声をかける。
「それで、最初に僕は卓球するけどさ。それが終わったら、順にみんなが居る場所回ろうと思うんだけど……どうかな?」
「わーい! じゃあ、一緒に輪投げしよーぜー!」
と、真っ先に反応してくるのは柚木だ。
さらに、そんな彼女に続けて――。
「ヒナ……お兄と一緒に射的、する(むふぅ)」
「こんなとこまで来て、わたしと一緒にアーケードゲームとか――直江、あんた相当アレね……まぁ、嬉しいけど(ぼそぼそ)」
と、言ってくるヒナと綾瀬。
なにはともあれ。
こうして、今日の方針が決まったのだった。
手術から、ようやく少し回復してきました。
あと、入院前に書いた新作を連載スタートしたので。
興味あるからは、作者ページから呼んでみてください。