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魔法少女とお約束な展開

 





 シュルルルルルッと何本もの触手がブラックナイトメアのしなやかな褐色肌に襲い掛かるっ!


「うわっ!来たぁ!気持ちわるっ!こっち来んなっ!オラァッ!!」


 慌ててロッドを振り回し迫り来る触手をぶっ叩く。


 しかし触手はヌルヌルしていて打撃があまり効いていないようで弾かれてもすぐに襲ってくるのだった。


「モル、ボル〜」


「ぎゃあああああっ!?脚に絡み付いてきた――――っ!?ひいいっ!なんかヌチョヌチョしてるうううっ!!しかも臭えっ!!」


「ブラックナイトメアっ!攻撃の手を休めちゃダメミュっ!!捕まるミュっ!」


 次々と日焼け跡が瑞々しい小麦色の身体にネトネト纏わりついて生臭い粘液を分泌する触手群をバシバシと攻撃して引っぺがし近寄らせまいと奮闘する。


 しかし、


「モル、ボルルルルルルルル〜〜〜〜ッッッ」


 触手の化け物の巨大なギザ歯の口から強烈な臭気を持つ黄色いガス状の煙が噴き出したっ!


「うっっっ!!?」


 一瞬で意識が遥か彼方へと傾き朦朧とした。


 甘酸っぱいような腐ったような青臭いようなあらゆる臭いが混ざった刺激臭によりブラックナイトメアの思考が停止しかけ、全身を虚脱感が包んだ。


 身体の力が抜けて抵抗が緩んだ隙をついて触手が彼女の肉体に幾重にも絡みついて四肢を拘束していく。


「あぁ〜っ!ブラックナイトメアっ!しっかりするんだミュっ!このままだとエロゲーみたいな展開になってしまうミュっ!快楽堕ち孕ませバットエンドミュっ!」


「くっ………っ!ふ、ざんけん、なぁっ!!」


 あまりの臭さに混濁する意識を無理矢理引き摺り起こし涙と鼻水と涎が垂れる顔を顰めて叫ぶ。


「化け物なんかにヤラれてたまるかヨォっ!クソがっ!3日くらい筋肉痛で寝たきりになっちまうが、しょうがねえっ!ダークエターナルハイブリットパワーアダルトチェンジャーッッッ!!!」


 ブラックナイトメアが震える手でロッドを掲げ叫ぶ。


 触手に拘束された身体が闇の光の眩しさに包まれる。


「モルボル〜ッ!?」


 輝き放つ黒い閃光が触手をボロボロに砕き、悍ましい毛玉の化け物が怯む。


 煌めき渦巻く暗黒の奔流の渦中から長くスラリとした褐色の艶めかしい脚先が現れ、括れた細い腰、メートル越えの豊かすぎる双乳がバルルルルンッと地球の重力に喧嘩を売るように体積と重量感を持て余し弾ませ、白銀の流れる髪が怒れる戦女神のごとく逆立つ。


 そこには二十歳前後の絶世の褐色日焼け長身美女が豊満な肉体を際どすぎる、むしろ完全アウトな隠す意味が最早無いのではないかと邪推されるショッキングピンクのマイクロビキニコスチュームを纏い、輝く闇を後光に悠然と佇んでいた。


 猥褻物陳列罪で即逮捕確実だ。


「フウウウウ………もうアッタマきたぜ、触手野郎。今からバランバランのメッタメタに切り刻んでやんよ。ダークフォームエターナルブリリアントソード」


 褐色超絶美女が持つ真紅の髑髏ロッドから赤黒い刀身の妖しく輝く刃が伸び上がる。


「ブラックナイトメア、いやブラッディミストレル。その形態は十分しか持たないミュ。イケそうミュ?」


「………1日一回十分だけのチート無双タイム。充分だ。サクッとキメてさっさと風呂に入るぜ。さっきから身体中臭くってヤバイからな」


 美女ブラッディミストレルが真紅の瞳を光らせニヤリと獰猛なメス獣染みた魅力ある笑みを浮かべる。


「モルボル〜ッ!」


 失われた触手をモコモコ再生させ触手の化け物が再び一斉に手足?を伸ばして襲いくる。


「遅えよ。魔女剣技ライジングスラッシュ」


 紅い剣尖の軌跡が幾重にも縦横無尽に閃いて無数の触手切り裂かれる。


「モ、モルボル〜〜〜ッッッ!!!」


「あばよ、化け物。魔女剣技奥義イリュージョンデッドリーロンド」


 ブラッディミストレルの身体が何体にも残像を描きながら触手の化け物をまるでダンスマカブルの艶やかなショーさながらに無尽蔵に四方から斬り結び、木っ端微塵に裁断された触手の化け物は細かな肉片となり空間に溶けて消えていった。


 夕闇に暮れた商店街から異様な雰囲気の波動は立ち消え元の平穏な空気に還る。



「はぁ〜〜〜〜。今日はスゲェ疲れた」


 紅い光を纏い長身の美女は美少女に姿を戻して溜め息を吐いた。


「よくやったミュ。もう敵の気配は感じないミュ。帰ってゆっくり休むミュ。明日もこの調子でバシバシ頼むミュ」


「………オレもう身体中バキバキで痛いんだけど?これからバイトなんだけど?ていうか明日絶対動けないんだけど?」


「気合いでどうにかするミュ。敵は待ってくれないミュ。魔法少女は過酷で孤独なヒーローなんだミュ」


「………ああ〜〜〜〜っ、何でオレはこんな仕事引き受けたんだ………絶対騙されたやん。詐欺で訴えてやるぞ、この毛玉が」


 魔法少女は翼を広げて夕陽が沈む茜色の空へと飛び立った。


 頑張れ、魔法少女ブラックナイトメア。


 街の平和はキミによって守られているのだ。


 あと、警察に補導されないように。












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