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魔法少女は忙しない

 




「大変だミュっ!アビスの扉が開いてイマジンたちが現れたミュっ!」


 小さな白くて丸い毛玉が空中を飛びながら、叫ぶ。


「はあっ?昼間に始末したばかりだぞ?」


 金髪坊主頭に刈り込みを入れた、いかついガタイの革ジャンにジーンズのヤンキーの男が駐車場の縁石に腰掛け缶コーヒーを飲みながらスマホ片手にタバコの煙を吐く。


「イマジンたちはいつでもどこにでも現れるミュ!リュウゾー!出番だミュ!変身して闘うミュっ!」


「オレこれからバイトのシフト入ってるから、パスな」


 ヤンキーの男がスマホを操作しながら面倒そうに言うと、白い毛玉が彼の周りを高速でグルグル回る。


「なにトチ狂ってる事ほざいてるミュっ!イマジンを倒すのがリュウゾーの使命なんだミュっ!早くしないと沢山の被害が出て人が死ぬミュっ!」


「あーっ!ミューミューうっせいなっ!チッ、しゃーねーな、ちゃっちゃと片付けてバイト行くか」


 ヤンキーの男がタバコの吸い殻をコーヒーの缶に捨てて重い腰を上げた。


「さあっ、早く変身するミュっ!時間は待ってくれないミュっ!」


「わかってるつーの、えーと……マジカルミラクルロジカルダークミューテーションメイクアップッ!!」


 ヤンキーの男が謎の呪文を叫ぶと身体が光り魔方陣が出現し黒い球体が包み込んで辺りに旋風を巻き起こす。


 そして球体にヒビが入り、パリーンッとガラスが割れる様に砕け散り、中から白髪ロングストレートの中学生くらいの褐色美少女が現れる。


 頭に黒い三角帽子のウィッチハットを被り、背中に黒いマントをなびかせる。


 両腕に黒のロンググローブを、両脚に黒のハイソックスに黒のロングブーツを装着する。


 小麦色に焼けた褐色の艶やかな肌の華奢な肢体に白いワンピース水着の跡を残して、紅いV字型のスリングショットの紐の様に細い面責が極端に少ない衣装を身につけている。


 その手には黒い長柄のロッドが握られ先端に鮮血の様に赤い水晶のドクロがはめ込まれ妖しく光りを放つ。


 閉じられていた双眸が開き、紅い輝きを帯びた瞳が露わになる。


「変身完了だミュっ!さあ、イマジンを倒しに行くミュっ!!魔法少女ブラックナイトメアっ!!!」


 白い毛玉が褐色美少女の周囲を旋回しながら叫ぶ。


「……相変わらず変態みたいなカッコだな。オレ完全に痴女じゃん。絶対ポリに捕まるわ。どうにかなんねーの?」


 ブラックナイトメアと呼ばれた褐色魔法少女に変身したヤンキーの男が溜め息をつく。


「格好なんてどうでもいいミュっ!警察なんて蹴散らせばいいんだミュっ!そんなことよりさっさとイマジン倒しに行くミュっ!ブラックナイトメアっ!!」


「はいはいっ、わかったわかった。すぐ片付けるさ。よっとっ!」

 

 褐色魔法少女がマントをバサリとひるがえすとコウモリの翼のように変形しはためき、少女の身体が空中へと浮遊する。


 そして白い毛玉が彼女の三角帽子のつばに乗ると少女が空高く舞い上がり、夕日が沈もうする茜色の空の彼方へと飛翔していった。




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