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※編集中※ ララノフの冒険者  作者: 紫水シズ
第二章〜ヴァル〜
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ヴァル湖の地下洞窟

 村の宿屋を出て林の中を数分ほど歩いたところ、四人は岩肌に空いた小さな洞窟の前に立っていた。上の方からは滝があるのか、水の音が森の木々の隙間を縫って響いている。そんな人気のない場所で一人の少女が声を荒げていた。


「聞いてない!!」


「ちゃんと説明したぞ!」


「アキは寝てたからね〜」


 激昂しているのはアキ。ここへ来る前、ルイはこの場所や狙う魔物についての情報を三人に話していたのだが、ただ一人アキだけはその時居眠りをしていてその話を移動の合間に聞かされたのだが……。


「スライムだけは絶対に嫌!嫌だからね!!」


「どうしてそんなに嫌なの?」


「だって、ぶよぶよしてて気持ち悪いしくっついてくるし!!服を溶かすんだよ!?」


「ふ、服を……」


 つい想像を膨らませ顔を赤らめるトキ。そんなトキの心の内を見透かすようにアキは冷めた視線をトキに向ける。


「トキくん、今何考えてたの……」


「いや……何も……」


「服を溶かすスライムなんて聞いたことないし、きっと大丈夫だよ。それに倒せる魔物は他にいないんだし仕方ないよ」


 グンタの言葉を聞いてもまだ納得はしていないようだが、それしか方法がないことはアキも重々承知しているはずだ。そしてどうすることもできないし自分が聞いていなかったのもいけなかったと諦めたようだ。


「わかった……でもそのかわり私は後衛しかしないから!!」


 ようやくアキが折れてほっと胸をなでおろす三人。四人は洞窟へと足を踏み入れる。洞窟内は薄暗くひんやりとした空気で満ちていて、音をたてれば反響して奥の方まで響き渡る。足元はところどころに水が流れていて川のような音や水滴が落ちる音、水溜りを踏む音で満ちている。湖の地下にある洞窟らしいのでこの水も湖の水なのだろう。奥からはかすかに風が吹いているのは奥に外へと続く道がまだあるからだろう。ルイは松明を取り出し火をつけて先頭を歩き出した。


「思ったより魔物もいなくて安全そうだが結構冷えるな……」


 周りを照らすと岩肌も湿ってかなり苔むしている。奥へ進むほどにカビ臭さも漂ってくる。すると突然、先頭を歩いていたルイが足を止めた。


「? どうしたの?」


「何か来る……!」


 ルイの声に全員が神経を尖らせる。アキは、スライムを恐れて前にいるトキの後ろにべったりくっついている。ルイは気を張りつつも少しずつ奥へと歩みを進める。すると奥の方から黒い影が水場を歩く音を立てて近づいてきた。


「止まれ……!」


 ルイの声に全員が歩みを止める。臨戦態勢になった四人に影が少しずつ近づく。すると影は四人の前でぴたりと止まった。ルイが恐る恐る影を照らすと、そこには一人の少女がいた。


「あらルイ。また会ったわね」


 影の正体は以前森で出会った学徒の少女、ミラであった。全員がほっと胸を撫で下ろした。アキはヘロヘロになり地面に座りこんだ。


「なんだ、お前かよ……」


「なんだとは何よ!」


 微妙な反応をするルイたちにムッとした表情をするミラ。彼女の大人びた容姿と美しさとは反対に可愛らしい仕草だが、それらが相まってその不満顔にも心を奪われるものは少なくないだろう。


「なんでもねえよ。つうかお前こんなとこで何してんだよ」


「それはルイたちとおんなじだと思うけど?」


「魔物狩りか……二人はどうした?」


「ヒズナとリアなら一緒よ。洞窟の奥の方にいると──」


 ──きゃあああ!!!


 ミラが言い終わるのを待たずして、洞窟の奥から悲鳴が響いた。全員が悲鳴の舌先へ視線を向け緊迫した雰囲気を漂わせる。


「何だ!」


「リアとヒズナだわ!」


 二人の悲鳴は空洞を反響し五人の体を震わせた。ミラとルイは声のした先へすぐに駆け出す。グンタも遅れて走り出すが、アキは驚きすぎてプチパニック状態だ。それに気づいたのかアキを落ち着かせるトキを待ちながらも視線を先へと走らせる。そしてアキが落ち着きを取り戻したことを確認すると、三人はミラとルイの後を追った。

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