旅立ち
トキとアキは、ルイ、グンタの二人とパーティを組む事になり、ギルド会館にてパーティ登録を済ませた。そして四人は、旅の支度のために一旦解散し、トキとアキは支度を済ませたあと師であるゼトに会うためギルド会館前で彼を待っていた。
「ゼトおじさんなかなか来ないねー」
ギルド前の柵に腰掛け、アキは退屈そう足を揺らしてぼやいていた。
「この時期に冒険者が用事で村に来たって言ってたから、きっとおじさんにもお仕事があるんだよ」
「う~、暇だよ~」
「よう、少年少女!またせたな!」
アキがだんだんと駄々をこね始めてきたころ、ちょうどアキがお待ちかねのゼトがやってきた。
「遅ぉおいっ!!ずっと待ってたんだから!」
「わりいわりい。ちょっと仕事が長引いてだな……」
頬ふくらませ指差すアキにゼトはペコペコと頭を下げて謝っていた。トキの言うようになにかしらの仕事で遅れてしまったようだが、普段は強く頼りになるゼトも少女に叱られる様には全く威厳が感じられなかった。
「それとすまないんだが、俺は次の用ができてすぐにこの村を出ることになった」
「え、おじさんもう行っちゃうの?」
「すまねえな。お詫びってわけでもねえが、冒険者見習いになったお前らに特訓を頑張った褒美と激励の意も込めてプレゼントだ」
そう言うゼトはゼトは担いでいた大きな袋から二人に冒険用の小さなリュックを渡した。
「こんなんじゃ私の気分はおさまりません!」
一瞬嬉しそうな表情をしたアキだったが、物に釣られてたまるかと言わんばかりに頬を膨らませた。
「まあそう言うなって。渡したいものはこいつだけじゃない」
そう言ってアキにほれとリュックを持たせる。受け取るとなんだか見た目以上に大きく、重量感があった。
「……中に何か入ってる?」
「見てのお楽しみだ。こっちはトキの分だ」
さっきの物に釣られないという意思はどこへやらといった具合に満面の笑みでその中身を確認するアキ。トキも嬉しそうにリュックを受け取ると、その重さを確認する。ゼトは広げた大きな袋の口を閉じるとそれを豪快に担ぎ直した。
「んじゃ俺はもう行く」
「おじさん、また会える?」
「そうだな。お前らがちゃんと冒険を続けていれば、いつかまた逢えるかもな」
「私、絶対ゼトおじさんよりすごい冒険者になるからね!」
寂しそうに尋ねるトキと決意を顕にし拳を握り意気込むアキ。頼もしい二人の弟子を見てにやりと笑い二人の頭に手を置く。
「そいつは楽しみだ。俺も抜かれねえようにしねえとな。お前らは強くなる。俺が保証してやる。案外本当に俺なんか簡単に抜いていくかもな。」
しばしの別れに二人の弟子がその目に涙を浮かべていたのを見ると、最後に「お前らの活躍を聞けるのを、楽しみにしてるぜ。またな」と言ってゼトは村をあとにした。二人はゼトの期待に答えるためにも、もっと強くなり、いずれは師を超えるような冒険者になることを誓い、そのためにもまず最初の試練をクリアし、師のもとまで己の名を響かせようと決意した。そしてちょうど時を見計らったようにルイとグンタが支度を済ませ戻ってきた。
「待たせたな」
「お待たせ二人とも」
「よし、それじゃあ行こっか!」
「おうよ!」
「「うん」」
アキの呼びかけにルイが声を上げ、その後にグンタとトキが息を合わせてそれに応えた。多くの新しい冒険者たちが外の世界へと旅立つ一日だった。




