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シュラインシンドローム  作者: 倉本愛都
ラドゥーナシュライン
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送り戻し

こんにちは倉本愛都です。

今回から本編スタートです。

どうぞごゆっくりお読みください。

 星たちが綺麗に瞬く時刻、午後23時35分。

 大きな神殿への入り口をボーッと眺めてはため息をつく。

 何年も何年も待った。

 雷雨の日も、吹雪の日もこの、いつまでも変わらない神殿で。

 幼い頃自分を救ってくれた少年に会える、そう信じて。

 明日になれば来てくれるだろうか?

 いくらでも待とう。


 私が、実態のない灰となるまで。



 ※※※


 6月25日。

 今日はなんとも言えない猛暑日である。

 強い日差しが肌を照りあげ、そして汗が搾り取るように滲み出る。

首にかけている汗対策のタオルは使い物にならないくらいびっしょりと濡れていた。


「死にそうだわー女の人だったら化粧が滲んで顔がホラーになるくらい辛い暑さだわー」


 時刻は10時30分。

 いつもならこの時間は学校の教室で涼しい風を送る天使、クーラに快適な授業をさせてもらっているはずなのだが。


「春菊! みてみて! 輪ゴム見っけた! 」


 悔しいことに今日は高校のめんどくさい行事、オリエンテーリングの日なのだ。

なぜこんなだるいことを率先してやらねばならないのだろうか。

とてつもなくめんどくさそうな顔を輪ゴムを拾った彼に向けながらため息をつく。


「鳥山、輪ゴムは犬の小便とかかかってる場合があらるからさ、今すぐゴミ用ビニール袋に放り投げたほうがいいぞ」


 輪ゴム鳥山は慌てるようにビニール袋にそれを放り投げ、手を洗ってくると大声で宣言して走り去っていった。

輪ゴム鳥山、またつまらぬ名前をつけてしまった。

 産まれてオギャーと泣いてから18年。

これほど世のため人のために活動するのが嫌だと思ったことはない。

 周りを見渡せばゴミをぽい捨てしそうな学生諸君ばかり。

 これでは良いことをした気になどなれない。

 数分だけ空を眺めながら覚悟を決める。


「よし、サボるか!」


 見廻りの先生たちの目を盗み、近くにある自然公園へと立ち入る。

自然豊かなこの公園は、正規の道を歩くとカップルや社会から堕落したお兄さんなどの人目につきやすいのだが、一つだけ誰も知らないであろう秘密ルートがある。

 草木が生い茂る道を進むこと5分。

ここは本当に俺の住んでいる町にあるのかと毎回思うほどの湖と、模様が描かれた石の足場が現れる。


「やっぱ綺麗だ」


 湖と草木の幻想的な風景に心踊らせ、普段は大事な道なのかと思い立ち入らなかった石の足場を歩きだす。

 足場の終わりギリギリに立って周りを見る。


「まだ捨てたもんじゃねぇよ地球!」


 あまりにも綺麗なその風景にこの言葉以上の表現ができない。

 静かに風が吹き抜け髪を撫でる。

 まるで本当に誰かに撫でられているかのようで、なぜか懐かしいこの感覚。


 そうだ、この場所で前に誰かに出会ったような。

 その考えがふと、頭をよぎった瞬間だった。


 ―お帰りなさい、幎―


 彼女の声を聞いてしまった。

 俺を地の底へと堕とした、黒金の声を。

フラッシュバックした彼女の顔がニヤリと不気味に微笑む。

俺はその場で静かに気を失った。


最初の文面の女性は誰なのか!

気になりますね!

それはさておき次の更新は少し遅れます。

亀更新申し訳ないです。

気長にお待ちください!

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