第4話 帰り道
ようやく第4話完成しました!
一緒に帰ることになった宏隆と西田さん。
二人の関係は発展するのか……?
「あーそれで早く来てたんですね、今日は」
「西田さんまで今日はって言うか」
「あはは、すみません。でも、いつも中村さんって遅れてくるので有名でしたし」
「有名なのか、お恥ずかしい……」
大学を出た俺と西田さんはいろんな話をしながら歩いていた。西田さんが笑顔で話してくれるため、俺も自然と笑顔で話ができた。
「中村さんと田仲さん、でしたっけ? お二人ってすごく仲が良いですよね」
「ああ、直哉のことね。うーん、そんなに仲良くないよ」
話題は俺と直哉の話に。直哉とは大学入ってから、ずっと一緒にいる。まあ、仲は良いの……かな?
「え、すごく仲良しに見えますけど。さっきのやり取りとかも楽しそうだったじゃないですか」
「あれは直哉が楽しんでただけ」
さっきのやり取り……忘れかけてたけど、思い出した。絶対、許さん。そんな話をしているうちに西田さんが電車に乗る駅へと着いてしまった。
「もう駅に着いちゃいましたね。何だかあっという間でした」
改札の前で西田さんは立ち止まり、俺に言う。
「そうだな、何か昨日よりも時間があっという間に感じた」
「私もです」
昨日と同じ、大学から駅までなので距離は変わっていない。けども体感時間は確実に昨日より短かった。
「あの……」
「何?」
「良かったら、どこかここら辺でおでかけしませんか? ほら、時間もまだ早いですし」
思わぬ展開に俺は一瞬時が止まったように感じた。これって……デートの誘い? いやいや、待てよ。そうじゃない。時間あるからだよ、うん。いや、でも時間あるからって俺を誘うかな?
「……どうかしました? もしかして嫌でした?」
俺が返答に困っていると西田さんが不安そうな顔で俺を見ていた。急いで首を横に振り、
「そんなことないよ。行こう。俺も今日は用事無いし」
俺は何で返答に困ってるんだ。答えは一つだろ。
「わあ、ありがとうございます!」
さっきまでの不安な顔はあっという間に飛んでいき、笑顔に変わる。西田さんって感情が結構わかりやすいな。
「じゃあ、行こうか」
「はい!」
思わぬ形で俺は西田さんとデート?をすることになった。
まずやってきたのはショッピングモール。買い物がしたいらしい。ただ、俺の心は買い物どころではなかった。何せ、デート……というか女の子と出かけること自体かなり久しぶりなのだ。緊張しないわけがない。
「あ、あそこです」
西田さんはある店を指差して入口の方へと向かっていく。俺もついていくとそこは部屋に飾るような小物がたくさん置いてあった。店の中は平日にも関わらず、多くの客で賑わっている。
「西田さんってよくこういうお店に来るの?」
「はい。私、部屋にいろいろ飾るの好きなんですよ。大きいものだとスペース取っちゃうのでこういうものが良くて」
そう言いながら西田さんは次々と商品を手に取り、見ていく。可愛いものやお洒落なものなど品揃いは豊富で人気の店だということもわかる。
「じゃあ、そろそろ行きましょうか」
お気に入りのものがあったみたいで、お会計を済ました西田さんが笑顔でやってきて言う。俺は頷き、店を後にした。その後も俺たちはいろいろな店を回っていく。
「これ、良くないですか?」
「良いかもね。西田さん、似合うと思うよ」
「ほんとですか!? じゃあ……買っちゃおうかなあ~」
楽しい時間というのは不思議とあっという間に過ぎていく。講義の時間なんてあんなに長く感じるのに。
「もう、すっかり真っ暗になっちゃいましたね」
「そうだな。そろそろ帰ろうか」
「そう……ですね」
時間は午後7時を回っていた。まだまだこの楽しい時間が続けば良いのだが……。西田さんも同じようなことを思ってくれているのだろうか、どこか少し寂しそうな顔をしている。
「着いちゃいましたね……」
「ああ……」
重たい足取りのまま、改札口の前へ到着。俺は一気に現実に戻されるような気持になった。ああ……楽しい時間が終わってしまう……。
「今日は楽しかったです! 急だったのにありがとうございました!」
西田さんが深々と頭を下げる。そんなに下げなくていいのに、と俺は思いつつ
「俺も楽しかったよ。ありがとう」
西田さんと同じように深々と頭を下げる。お互い深々と頭を下げている状況。端から見たら何事かと思うだろう。どれくらい頭を下げていただろうか、ようやく西田さんが頭を上げ、俺も頭を上げる。
「じゃあ、帰りますね。本当にありがとうございました! また明日です!」
「うん、また明日!」
俺の言葉を聞いて西田さんは改札口の方へと振り返る。そんな西田さんを俺は
「西田さん!!」
呼び止めた。俺は1つ決めていたことがあった。言わなくちゃいけないことがある。
「へっ? 何ですか?」
予想していなかったのだろう、西田さんの声が裏返る。
「敬語……使わなくていいよ。俺たち同じ学年だし」
「あっ……」
ずっと気になっていた西田さんの敬語。思わぬ形でこの時間になってしまったが、必ず言おうと決めていた。
「ありがとうございます!」
「ほら、敬語使わない!」
「えへへ、すみません」
言ったそばから敬語の西田さん。俺が指摘すると西田さんは照れくさそうに笑った。
「慣れるまでちょっと待っててください。明日からでいいですか?」
「仕方ないなー。いいよ、明日からで」
「ありがとうございます!」
こうして明日から敬語を使わない約束をした。その後も楽しく話をし、結局俺たちが帰ったのは午後9時過ぎだった。
読んでくださってありがとうございました!
デート?したり、敬語が無くなりそうだったり、良い感じになってきてますね。
そろそろ波乱でも……(悪い顔)
第5話もよろしくお願いします!