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改札口  作者: ヒロ
2/5

第2話 教室にて

第2話です!

久しぶりの更新となりました。お待たせしました……。


教室でぶつかった女の子のことが気になる宏隆。

そんな時、宏隆は課題を忘れたことに気づき……。

 教室を出た俺はボーッと何となくさっきぶつかった女の子のことを考えていた。


「はあ……」


 何か自分でもわからないが、心に引っ掛かるものがあった。考えていても答えは出ないのだが……。


「あっ……忘れた」


 大学を出て数分。俺は明日までの課題を忘れてきたことに気が付いた。うーん、1日くらい遅れても……いや、ダメだ。


「仕方ない、取りに帰るか……」


 俺はそう呟いて大学へと引き返すことにした。










 大学へと引き返した俺は教室へと向かう。教室の入り口に日までと貼り紙があり、そこに課題があった。


「あったよ。もう、めんどくさいなあ」


 思わず愚痴が漏れる。単位に余裕があれば遅れて出すという選択肢もあるのだが……何せ俺にはそんな余裕はない。


「あれ?」


 課題を鞄に入れながら教室の中を見ると、誰かが忘れていったのか机の上に1冊のノートがあった。


「誰かの忘れ物かな」


 ガラガラっと教室のドアを開けて中に入る。置いてあるノートを見てみると、表紙に『2年 西田(にしだ) 汐莉(しおり)』と書かれていた。


「西田汐莉……?」


 手に取ってみたが、名前に見覚えがない。おそらくここで講義を受けた人だろうけども……。そんなことを考えていると、ガラガラという音がして教室のドアが開いた。そこには1人の女の子が立っていた。


「あ……さっきの」


 その女の子は俺に気づくなり、小さく呟いた。そこにいたのは先ほど教室を出ようとした時にぶつかった女の子だった。女の子はゆっくりと俺の方へ近づき、


「そのノート、私の……」


 俺が手にしていたノートを見て女の子はそう言った。ああ、この子が西田汐莉さんか。


「あ、そうなんだ。はい」


 そう言って俺はノートを渡す。西田さんは恥ずかしそうにノートを受け取る。何故かわからないがノートを渡すだけなのに俺も緊張している。大学入ってから女の子と接する機会なんてほぼ無かったし、何より教室に二人きりというのが俺の緊張感を増幅させる。


「ノートありがとうございます。助かりました!」


 西田さんはニコニコしながら俺に言う。俺、特に何もしてないけど、なんて心で思いながらも礼をする。


「あと……先ほどは本当にすみませんでした。私、慌てて……」


 思い出したかのように西田さんは言う。そんな気にする必要ないのに。


「大丈夫だよ。俺の方こそ、ごめん」

「えっと……すみません」


 大丈夫だと言っているのに西田さんは謝ってる。そんな姿が面白く、俺は思わず笑ってしまった。


「何で笑ってるんですか……?」


 西田さんは不思議そうに俺を見る。まあ、急に笑い出したらそうなるわな。


「いや、何か面白くてね」

「……?」


 相変わらず困惑している西田さん。それがまた面白かった。


「あー気にしないで。何か西田さんって面白いね」

「それって……どういう意味ですか」


 そう言って首を傾げる西田さん。それから俺と西田さんは1時間ほど話をした。


「うわ、もうこんな時間なんですね」

「ほんとだ。いつの間に」


 気づいた時にはもう20時を回っていた。こんな時間まで大学にいたのは初めてかもしれない。


「じゃあ、そろそろ帰りますね」


 帰る準備をしながら西田さんは言う。俺も帰ろうと準備を始めた。


「あ……そういえば」


 西田さんは帰る準備を一度やめて俺を見て言う。


「どうかしたの?」

「名前聞いてませんでしたね。こんなにお話ししてたのに」


 そう言えば名乗ってないな。話すことに夢中で名前言ってなかった。西田さんも忘れてたみたいだ。


「ああ、言ってなかったか。俺は中村(なかむら) 宏隆(ひろたか)

「ありがとうございます。私はもうわかると思いますが、西田汐莉です。よろしくお願いしますね」


 こうしてようやく自己紹介が終わった俺たちは時間が遅いということもあり、一緒に帰ることにした。偶然にも帰る方面が同じだった。










 帰り道、一緒に歩きながら話をしていた。


「あーそれはダメですよ! ちゃんと単位を取らないと!」

「わかってはいるんだけどなーまあいいかって思っちゃうんだよ」

「絶対ダメです!」


 単位の話や趣味の話などをしながら盛り上がった。いつも直哉としかほとんど話さない俺にとって西田さんと話すのは新鮮ですごく楽しかった。


「じゃあ、私は電車に乗って帰ります」


 駅の改札前、西田さんはそう言って定期券を出す。電車で15分ほどの場所に住んでいるらしい。


「わかった。じゃあ、また明日」


 自然と俺は『また明日』という言葉を使っていた。


「はい。また明日です。今日はありがとうございました」


 西田さんは深々と礼をして改札を通り、駅のホームへと向かっていった。一度振り返り、笑顔で手を振ってくれた。俺も手を振り返す。こうして楽しい一日は終わりを告げた。そして、この日がきっかけとなり、俺の大学生活が大きく変わるとはこの時思ってもいなかった。

読んでくださってありがとうございました!

2話目にしてようやく宏隆のフルネームが(笑)

それにしても宏隆と西田さんはいい感じですねー。

さあ、これからどうなっていくんでしょうか?

第3話もよろしくお願いします!

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