名もない話
『ねぇ、いっしょにいてもいいの?ここにいてもいいの?』
心の中で私はつぶやいた。
私は今部活中だ。ちなみに吹奏楽部である。楽器はサックス
私はおんなじ楽器で今目の前にいるこいつが好きだ。
「……聞いてんのか!!」
「っはい!!」
「きいてねぇだろ……」
いけない、違う事考えてた。
よく告白しなよと言われるが私はしない。
……少なくとも、今は。
コンクールがあった。
私のミスのせいで、
全国に行けなかった。
先輩や友達は「大丈夫だよ、悪くないよあんたは」
と、声をかけてくれる。
でも、私のせいだ。
私は知っている。私の好きなあいつは
先輩と一緒に全国いくのが夢だって事
でも、それをつぶしてしまった。
だから告白はしない。
今はひたすら練習して、せめて来年
全国に連れて行ってあげたい。
「練習しよっか…」
「ん、おう」
「そこ!!どっかでれんしゅうしてきて!!」
「はい…」
またおこられた。
ちらり、とあいつを目で見る。
歯を食いしばっていた。
「ごめんな」
「えっ?」
移動中にそんなことをあいつは言ってきた。
「俺がうまいことささえられれば言われなかったのに」
悔しそうなあいつの顔。
『いていいのかなここに』
ふと思ってしまった。
そして口に出してしまった。
「私みたいなやついなきゃよかったんだよね」
そうするとあいつはむきになって
「ちがう!そんなことない!」
「おまえにはお前のよさがある」
「……っ」
「ここにいていいのかな?あたし」
「あたりまえだ」
そしてまた、私たちの日常が始まった。
「ぜっったい私が全国連れてくから」
つぶやいてみた。
『そしたら…告白できる…かな…」