表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

2.すげー剣ゲット!・・・?

side 反省してない男


「・・・剣・・・?いや、刀か?」


 うん、刀。

 しかも結構禍々しい感じの拵えがついてるやつ。鞘の形からも、サーベル系の曲刀だってことが判る。

 俺は当然その剣を抜いた。そりゃね、俺も剣士な訳ですよ。目の前に剣がポンとあって、見定めたくなるのって当然だと思うわけですよ。


 でも・・・わからん。


「真っ黒・・・つやも光沢もなし、黒刀、って奴か。珍しいな。」


 黒刀っていうものは、一般の刀より目利きがそもそも難しい。まず金属が何なのか、次にその金属の特性、そしてその錬性、そして切れ味に美術的価値と、見極める項目が多い。

 だってのに、流通量自体がそもそも皆無。世界中のどこに行っても黒刀なんてものは売ってないのだ。「教会」の指定で取引が禁じられてるから、っていうんだがその理由、俺知らないんだよねぇ。

 まあそんなわけで、黒刀ってのは目にする機会がない。俺自身、図鑑や上流階級が趣味で開いてる「秘宝館」っていう博物館(親父が招かれて連れてかれた)くらいでしか見たことない。こういったものは許可もらってるらしいけど、詳しい話は知らん。兄貴と違って俺カミサマ興味ないし。


 まあ、見てもわかんない品だってことは理解いただけたと思う。


「てっ!はっ!てりゃ!」


 わかんないんだから、とりあえず振ってみる。うん、いい刀だ。

 いい刀の定義って人によると思うけど、俺はなんといっても扱いやすさと剛性だと思う。盾の無い片手剣の流派を修めた俺としては、振り軽いことと受けても折れないことが求められる。切れ味は・・・その次くらいかね。

 そしてこれは、俺が触れたことのある中でも最高の刀だった。重心が絶妙なのと、残心時の手応えで剛性も伝わってくる。そして風切り音から察するに、切れ味も相当のものだ。


「・・・いいな、これ♪」


 やばい。

 テンション上がる。




「うぎゃーーーーーーー!!!!」




 何、今の?


 兄貴の声だった。


 悲鳴・・・だったよな。


「っち、何があった!?」


 あの兄貴は、大概冷静だ。俺がおちょくってもうろたえる程度で、決して醜態は見せない。兄貴の叫び声なんか、産まれてこのかた聞いたことが無かった。


 それだけで、非常事態が見て取れる。


「くそ、何とかここから出ねえと・・・。」


 出たところで何が出来る、とも思うだろうが、兄貴はケンカはからきし、親父もいい歳だ。万が一荒事のたぐいなら、そう長く戦えるわけが無い。お袋は・・・言うまでも無い。


「・・・こんのやろぉぁ!!!」


 俺は扉を全力でぶん殴った。頑丈な扉である。殴ったところでどうしようもないのは目に見えてるが、何もしないわけにはいかなかった。


 そして結果は、真っ二つ。


 真っ二つ?なんで?


 俺は恐る恐る右手を見た。


「・・・どーいう切れ味してんだ、この刀。」


 うん、刀、握りっぱなしだったよ。

 ってか非常識な刀だよね。握ったまま殴っただけで、俺別に振ってもいないよ?ちょっとしたブレで扉に当たった刀身が、木製とはいえ倉庫の扉クラスの頑丈な戸板真っ二つだよ?


「・・・ってそれどこじゃねえ、兄貴!」


俺はこの刀の鞘を急いで腰に差し、倉庫を飛び出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ