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12.つるし上げ裁判

悪意的な話って難しいですね…

そういうのを逆に叩き潰すのは大好きですし書きやすいんだけどな…

そうか、だから某裁判ゲームが大ヒットしたのか!←え、今更?


では、久しぶりの本編をどうぞ。

side 容疑者M


「この二人を捕らえよ。罪状は偽証および宝具の損壊未遂だ。」

「な!?」


 俺の後ろでゼシカが驚いている。ま、当然だろうな、俺も驚いてはいる。じゃあなんで平然としてるのかって?そりゃもちろん付いて行けてないからだ、この超展開に。

 だってどいつもこいつも初動速いったらありゃしない。周りの騎士どもは即座に持ってた斧槍(ハルバート)構えてるし、評議員の連中は雛壇の一番上(気付かなかったけど広くなってたらしい)に避難してやがる。どーしてこういうやつらって逃げ足だけは速いのかね?

 で、この場を見回してみるとさっきから動いてないのは2人だけ。もちろん俺と、後はあの議員だ。


「堂々たるものだな、微動だにせんとは。」

「いやぁ、それほどでも。」


 頭を掻こうと手を上げると、即座に周りの騎士たちは斧槍を俺に向け直す。ゼシカのほうは…憔悴しきって脅威にはならないと判断したんだろうな、俺でもそうする。

 でもまあ、俺だって納得している訳じゃない。


「ってかどういうこと?納得いく説明が無いってんなら、多少は暴れる準備もあるぜ?」

「説明…ね、必要なのかね?」

「必要だから聞いてんだろ?」

「ふむ、自覚無しか。余計に性質が悪いようだな。あるいは事ここに及んでもまだとぼけているか…。」


 議員が一人で納得してるみたいだけど、思い当たる節は無い。ぎしょう…ってのがさっき言ってた嘘の話だとして、損壊みすいってのはたぶん壊そうとした、ってことだと思うけど、俺はどっちもしちゃいない。ってか肝心の議員が薄ら笑いを浮かべているのがなんか腹立つ。

 ちなみに「暴れる」発言に警戒したのか周りの騎士が半歩後ずさったみたいだけど、こいつら本当に騎士か?なんか期待はずれなんだが。


「まあいい説明してやろう。宝具というのは古代の法力で封印されたアイテムのことだ。その解法は失われている以上、抜刀するには封印の法力そのものが消滅するか、あるいは封印式の綻びから無理やりという方法しかないのだよ。法力は鑑定したところ消滅しておらぬし、綻びをつく方法をとれば歪みが出るはずだがそれも無い。つまり、君が抜刀したというのは嘘だ、そうだろう?」

「何…だと…?」

「そして、深緑の町(リネル)の襲撃自体は別の報告によって事実と確認されている。つまり君はスライムの酸液に耐えられる宝具の鞘で戦闘を行った。これは装飾を損壊させる行為だ。幸い実際には損壊していなかったようだがね。」

「ふざけんな!俺は実際にその剣抜いたし、その黒い刀身も見てる!第一俺がそんな鞘なんぞで戦ってたら、その装飾が壊れずにすんでるはずがねぇ!」

「抜けた形跡が無い。刀身の色は常識でこそ無いが秘匿もされていない。」

「装飾は!?」

「そもそも君は戦ったのかね?君は若すぎる、それほどの実力があるのかどうかも怪しいものだが?」


 今の一言にはさすがの俺も我慢ならない。俺が剣にどれだけ懸けてきたか知らない奴に言われて許せる言葉じゃ、ない。


「…試してもいいんだぜ?」

「ふん、蛮勇だな。第一今の君がどう暴れるというのだね?剣も持たない君が。」


 そうだ、俺は剣を控え室においてきている。丸腰だ。


 だけど、知ったこっちゃない。


 こいつを殴らずには、済まさない。




 そして飛び掛った後の記憶は、ない。




side マテウス out




side 地下牢の先客


 儂も地下牢に入ってそう長くはない。やんごとなき事情がある、とだけ言っておこうか。断じて罪を犯したつもりはない!そう、つもりはない、はずじゃ。


 しっかし入ってみるとこの地下牢の薄汚さには驚いた。そもそも光とりや換気のための窓がはるか上に小さくあるだけという位置条件のせいか薄暗く、めったに掃除の手が入らないのか埃っぽい。おまけに湿っぽいのは換気の都合だけではなく、地下水道の整備口がこの奥にあり、しかも防柵だけで扉すらないという配置条件のうえにそれが下水道なモノだから腐熱の風にのって湿気と悪臭が漂ってくるというおまけつきである。年季も入っているため黴臭さも半端ではなく、まともな睡眠は取れん。まだまだ現役のつもりの儂にも年波というのは来ているらしいので、結構きついものがあるな。


「しっかし、何で貴方様みたいなお方がこんな薄汚い牢に入ってるんです?」

「じゃからゆうとるじゃろに、やんごとなき事情があるんじゃ。それより看守なんじゃからたまには掃除せえよ。」

「無駄ですって。空気そのものが腐ってるんですから。」


 この会話ももう何回目かわからん。最初は看守の仕事に腐っていたこの若造じゃったが、儂の暇つぶしに会話の的にされたのが運のつき。騎士の心得のようなものを懇々と説いてやったら今じゃすっかり見違えた。今じゃそこらの騎士よりいい面構えをしておる。

 そうこうして時間をつぶしていたわけじゃが、上の階から伝令板をたたく音が聞こえた。


「あ、呼び出しみたいなんでいってきますね。」


 看守が呼び出されていったために暇になる。そもそもこの地下牢は儂以外の囚人がおらん。「教会」は通常の犯罪などに対しては権限がなくここに入る者は少ない。ましてこの衛生状態で長く生き延びるものもおらん。それも嘆かわしいが、今儂に重要なのは儂が暇になったということじゃ。

 しかし、今回に限ってはその心配もなかった。すぐに戻ってきおったからな。


「おう、なにかあったんか?」

「ええ、新入りですよ。しかも二人です。」

「そうか、出来れば隣に入れてくれ。暇つぶしによいじゃろ。」

「それはいいですけど、片方は大怪我してますよ。気絶もしてますし、しばらく起きないと思います。」


 むう、残念じゃ。

 しかし、怪我人ならまた別じゃ。幸い治癒法術の心得ならば多少はある。治してやらねば後味も悪いし、隣のほうが便利でいいじゃろう。その後は暇つぶしの相手に困らなくて済むしな。

 そう思って、隣を覗いてみた儂の目に映ったのは、意外な人物じゃった。




「ゼ、ゼシカ殿!?」




第2章 醜い泥沼 了

ってところで第2章終了です。何?中途半端?いえいえ、これが「引き」ですよ?←汗


次は章末の設定紹介なんで、あまり遅くはならないと思います。

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