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10.通例が生み出す憂鬱

まず、更新が滞った謝罪を。

実は自分の私用PCがついに寿命を迎え、家庭の共用PCから投稿してますT_T

ですので、今後もペースが鈍ると思われます。

ですが本作には思い入れがあるので完結まで頑張りたいと思っています(宣言)。

なので、今後ともお付き合いくださいますようよろしくお願いします

from 結局1日かかった報告書※抜粋


・宝具「抜けない剣」の第8回定期視察について


・封印の箱:耐用年数の経過により術式の無効化を確認。

・宝具の有無:無事。

・宝具の状態:無事。

・宝具周辺における問題事項:有。

 ・スライム種モンスターの大量襲撃事件発生。殲滅および問題の収束を確認。

・宝具本品における問題事項:有。

 ・宝具の抜刀例有り。抜刀状態は未確認。但し状況証拠により間違いなく抜刀されたものである。

・特記事項

 ・抜刀者本人を証人として招聘。情報照合の為図書館の従属入館証を申請予定。




side この程度の報告書に1日()かけた部隊副長


「・・・なあ、あの報告書なんだけどさ・・・。」

「言わないでくれ。書類仕事は不得手なんだ。」

「・・・ああ、そうする。」


 マテウスよ、その気遣いが、痛い。

 彼が昼食を摂りに帰ってきた時、報告書は完成していなかった。そして結局彼にはもう一度出かけてもらい午後いっぱい使って完成させたわけだが、彼が再び帰ってきてそれを見たときの第一声が、こうだ。


「・・・書き直し、手伝おうか?」


 尤も彼も書類の類は大苦手の部類のためか結局手直ししても大した物にはならなかったのだが、まさか自分で自分のことを馬鹿というマテウスに直されるというのは何か複雑なものがある。

 とはいえ、何とか完成させた報告書は懐にしっかりと収まっている。あとは窓口に提出して、審議院の連中が読んだ後証言台に立つのを待つばかりだ。


「図書館の入館証は?」

「証言台が終わってからだね。多分明日だ。」

「いちいちめんどくせえな・・・。」

「大組織なんてそんなものだよ。人数が増えれば増えるほど動作が遅くなるものさ。」

「ふーん。」


 結局その後は特に話題もなく、二人して押し黙ったまま本部へ歩くことになった。ふむ、書類仕事は苦手とはいえ、少しは研鑽しなくてはならないかな。こんな些細なことで気まずくなるなんて思いもしなかったしね。




「はー、でっけぇな。」

「世界規模宗教の総本山は伊達じゃないさ。それよりマテウス、来た事あるって言ってなかったかい?」


 さすがに本部の目の前まで来ればそんな空気も吹き飛ぶ。圧倒的巨大な建物は、城と呼んでも差し支えのない規模だからだ。大理石積みの外壁から彫刻飾り付きの屋根、門構えから扉の一つとっても、はたまた窓に至るまで、すべてが「荘厳」という言葉を表すために出来ているような、そんな建物だ。

 余談だがこれを見て「大きい」と表す人間は確かに多いのだが、割と多くの人間がその前に「綺麗」と言う。


「研修旅行のときはぶっちゃけ騎士団関連しかじっくり見てねーからなー。・・・なあ、この建物ってなんて名前なんだ?」

「それも知らないのかい?・・・まあいいか、この建物、名を「白磁の離宮」という。」

「りきゅう、って、確か城の離れのことだよな?ここにいるのは使用人(パシリ)か何かなのか?」

「ざっくり言うね君は・・・まあそうなんだけど。神のおわす天界を本殿とするという考え方で名付けられているんだ。使用人というのもあながち間違っちゃいない。『教会』の教団員はすべからく神に仕える使用人であるというのが基本だと思えばいいよ。」

「騎士も?」

「騎士も。というか一番その自負が強いのが騎士といってもいいかもしれないよ?何しろ他と比べても群を抜いて命がけだ、もちろん私もその一人さ。」


 これは嘘でもないが真実というわけでもない。私自身は確かに自負を持ってお仕えしているが、騎士という仕事を日銭を稼ぐ労働と捉えている節のある者も少なくはない。嘆く先輩騎士も多いが、切実な者にとってはやはり切実なのだ。


「ふーん、まいいか。早いとこ報告書出しちまおうぜ。」

「そうだね、ひょっとしたら夕方にでも図書館に入れるかもしれない、行こう。」


side ゼシカ out




side 面倒臭がり


 今、俺は控室にいる。

 報告書は特に問題もなく受け取ってもらえた。今頃きっと審議院だかっていうえらい人たちが報告書を読んでいるところなんだろう。まあその報告書の内容がアレだっていうのは、聞かれるまで気にしないことにしよう、うん。


「しっかし時間かかるね。」

「内容が内容だからね。こういう宝具の視察なんて、そもそも問題が起こったことなんてほとんどないんだ。あったとしても管理状態の劣化とかそういうものだったりして、今回みたいのはほぼ初めてのケースのはずだ。」

「けどそれなら尚更遅えだろよ。報告書なんて内容が無いようなもんだったろに。直接呼んだ方が早いと思うんだけどなあ。」

「・・・甚だ頷きたくないがその通りだな。」


 まったく暇だぜ、焦れちまってボケも切れ味がない。

 思うんだが評議院とかって連中、そもそも証言聞く気あるのか?こんなに時間かけて議論してたら俺の証言なんて入る余地残らんだろうに。

 ・・・なんか、やな予感してきやがった。


「なあ、一つ聞いていいか?」

「何だい?」

「いつもの証言って、どんな感じなんだ?」

「うーん、そうだね・・・この間の報告だと・・・。」


~ゼシカの回想~


ゼシカ「評議院諸卿に措かれましては御足労頂き有難う御座います。」

評議院「うむ、早速報告のほどよろしく頼む。」

ゼ「ではまず、~~~~~~~~。」

評「・・・・・・・・・。」

ゼ「~~~~といった次第でございます。」

評「ふむ、では聞こう、~~~~~?」

ゼ「~~~~~~~~~。」

評「ふむ、わかった。では下がってよいぞ。」

ゼ「はっ!」


~回想終了~


「って感じだけど…。」

「おかしいぜ、それ。」


 うん、おかしい。ゼシカいわく、この形で崩れる事はほとんどないらしい。つまり、

1.口上を述べる。

2.報告。

3.質問。

4.退室。

ってことだよな。


「おかしいって?」


 おいおい気づいてくれよ副長殿?細かいところはあるだろうとはいえ、ホントにこうならこの流れ、そもそも意味ないぜ?

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