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ある女錬金術師の試み  作者:
episode 9
22/58

うわさと本音 2

「……本当にもう! もう少し私たちを頼ってくれたっていいじゃない!」

 リサは唇をとがらせて、不満げに言った。

「だよね、なんでああやって一人で抱え込むんだろう?

 それとも言えない事情ってのがよほどのことなのかな?」

 やや諦めたようにクリスは言って、作業に戻った。

「大変そうだし、力になってやりたいけど、マリーの方があれじゃあなぁ。

 だからといって、ムリヤリ根掘り葉掘り聞くのもちょっとなぁ」

 わだかまりが残るのか、ぼやくようにクリスはつぶやく。

 それを耳にしたリサは眉をつりあげた。

「じゃあ私たちは何もできないっていうの!

 クリスも意外と薄情なのね、マリーに何度も助けてもらっておいて」

「そうは言ってないだろ!

 マリーは言えない事情があるって言ってただろ。

 色々聞きだそうとするのもマリーを苦しめることになるってことだよ、僕はこれ以上マリーの負担を増やすような真似はしたくない」

 いつもは穏やかなリサが噛みついてきたことに戸惑いながらも、やや憤慨ぎみにクリスは言った。

 リサは言葉につまり、次いで肩を落とした。

「もう。

 友達が苦しんでるって言うのに、何も出来ないで見守るしか出来ないなんて、なんだか自分が情けなくなっちゃうわ。

 こうなったら、教授の方を問い詰めてやる」

「おいおい」

 クリスは驚いてリサを見た。

 目が据わっている。クリスはそんなリサを見て閉口した。止めた方がいいのは分かっているのだが、ああなってしまったらリサはとまらない。止めようとしたらひどい目にあった。

 その記憶がよみがえり、クリスは小さく身震いした。

「じゃ、ちょっと言ってくるわね」

「ほどほどにね」

「多分無理」

 リサは怖いくらいの笑顔で言うと、研究室を出て行った。

 恐らく陰でこっそり教授とマリーの話が終わるのを待ち、それから突撃するつもりなのだろう。

 面倒なことにならなければいいんだけど、と思いながら、恐らくあり得ないなと確信しつつ、クリスはまた作業に戻った。



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