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交換された部分で、快感を知るまでの話  作者: 魔杖


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第七章:排出―自分の身体を守ること

※Pixiv、ハーメルン、ノクターンに投稿しています。

◆排尿と排血


 朝。

 郁は、トイレの個室に座っていた。

 窓の外では、まだ薄曇りの空が広がっている。

 排尿は、もう慣れていた。

 音も、感覚も、最初の頃よりずっと自然になった。

 でも──今日は、少し違った。

 下着を下ろした瞬間、わずかな粘りが残っていた。

 昨日の夜、“空にした”はずなのに。

 それでも、身体の奥には、まだ何かが残っているような感覚があった。


「……これって、普通なのかな」


 郁は、そっと息を吐いた。

 排尿と排出。

 そして、排血。

 それぞれの“出口”が、少しずつ違うことは、鳥飼の説明で理解していた。

 でも、実際に感じると、混乱する。


「尿は、すぐに出る。

 でも、精液は、出たあとも残る。

 血は、もっと長く続く……」


 その整理は、頭の中ではできている。

 でも、身体の中では、まだ“違和感”として残っていた。

 郁は、トイレットペーパーをそっと手に取った。

 拭き取ると、わずかに白濁が残っていた。

 それは、昨日の名残だった。


「……ちゃんと洗ったはずなのに」


 羞恥ではない。

 でも、どこか“整っていない”感覚があった。

 郁は、そっと立ち上がり、下着を整えた。

 その動作は、もう慣れている。

 でも、今日は──少しだけ、慎重だった。



◆汚れと清潔


 昼休み。

 郁は、研究室の洗面台に立っていた。

 手には、薄手のハンドタオル。

 その端に、わずかな白濁が残っていた。


「……昨日の夜、ちゃんと洗ったはずなのに」


 郁は、そっと水を流しながら、タオルの端を指先でなぞった。

 粘りは、もうほとんどない。

 でも、臭いが、少しだけ残っている気がした。


「……洗剤、使った方がいいかも」


 そう思って、棚の下からボディソープを取り出す。

 手に取ると、柑橘系の香りがふわりと広がった。

 それだけで、少しだけ安心できた。

 郁は、タオルを丁寧に洗いながら、ふと考えた。


「汚れって、恥ずかしいものじゃない。

 でも、放っておくと、不安になる。

 だから、“整える”ってことが、大事なんだ」


 洗面台の鏡には、自分の顔が映っていた。

 昨日よりも、少しだけ落ち着いた表情。


「……臭いが気になるなら、換気扇を回す。

 粘りが残るなら、水じゃなくて洗剤を使う。

 それだけで、身体が“整ってる”って思える」


 郁は、タオルを絞りながら、そっと息を吐いた。

 羞恥ではなく、整えるための工夫。

 それは、“自分の身体を守る”という感覚の始まりだった。



◆守るという感覚


 午後。

 郁は、研究室のロッカーを開けながら、そっと下着の替えを確認した。

 予備のショーツが、折りたたまれて袋に入っている。

 それだけで、少しだけ安心できた。


「……昨日の夜、ちゃんと洗ったはずなのに。

 でも、朝になっても、少しだけ残ってた。

 だから、今日は予備を持ってきた」


 それは、羞恥を避けるためではなく──

 “整える”ための準備だった。

 郁は、鏡の前でスラックスの前を整えた。

 布の張りは、昨日よりも落ち着いている。

 でも、下腹部の違和感は、まだ完全には消えていない。


「……反応すること自体は、自然なこと。

 でも、整えておくことで、安心できる」


 トイレの個室では、換気扇の音が静かに響いていた。

 郁は、そっと扉を閉めて、鍵をかける。

 その動作も、少しずつ“自分のペース”になってきている。

 便座に座る前に、トイレットペーパーを一枚手に取る。

 拭く前に、そっと確認する。

 それは、身体を“守る”という感覚の始まりだった。


「……汚れを放っておくと、不安になる。

 でも、整えておけば、安心できる。

 それだけで、外に出るときの気持ちが違う」


 郁は、そっと息を吐いた。

 服装も、下着も、トイレの使い方も──

 すべてが、“自分の身体を守る”ための選択になっていた。

 それは、羞恥を越えた先にある、静かな意志だった。



◆鳥飼の視点


 放課後。

 準備室の窓から、夕方の光が差し込んでいた。

 棚の影が長く伸びて、ふたりの間に静かな空気が漂っている。

 郁は、椅子に腰を下ろしながら、そっと口を開いた。


「……最近、下着を替えるタイミングとか、気にするようになった。

 粘りとか、臭いとか、放っておくと不安になるから」


 鳥飼は、頷いた。


「それ、すごく大事なことです。

 僕も、先生の……との交換から、服装とかトイレの使い方とか、見直しました」


 郁は、少しだけ目を見開いた。


「……見直した?」


 鳥飼は、静かに言葉を選びながら続けた。


「はい。たとえば、トイレの個室では、必ず換気扇を回すようにしてます。

 あと、下着は、通気性のいいものに変えました。

 粘りが残ると、肌に張りついて不快になるので、洗剤も種類を選ぶようにしてます。

 荷物は増えちゃいましたけど」


 郁は、そっと息を吐いた。


「……それって、“守る”ってことなんだね」


 鳥飼は、微笑んだ。


「そうです。

 身体を“整える”っていうのは、ただ清潔にするだけじゃなくて、

 “安心して過ごすための準備”でもあるんです」


 郁は、鏡の前でスラックスの前を整えたときのことを思い出した。

 あのときも、違和感があった。

 でも、整えておくことで、少しだけ安心できた。


「……自分の身体を守るって、こういうことなんだね」


 鳥飼は、頷いた。


「はい。

 それができるようになると、外に出るときの気持ちも、少しだけ変わります」


 ふたりの間に、静かな光が差し込んでいた。

 それは、夕方の光でもあり──

 “守る”という言葉の意味が、少しずつ輪郭を持ち始めた瞬間でもあった。

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