第一話 都会民セールスマンの転生先はド・田舎でした
俺は、現代の日本でセールスマン(主に、アフターサービス)だ。普段大都会で、数多くの取引先をめぐり、くそ忙しい日々を送っている。
かつてないほど暑い日が続いたこの夏、外回りで頭がくらくらしていたところに、取引先から電話がかかってきた。横断歩道を渡る手前で対応しようとスマホを取り出した。スマホ片手に見ていた歩行者用の信号が青に変わった、となぜか錯覚してしまい、走ってきたトラックにぶつかって、俺は死んだ。
ちゃんちゃん
・・・
そうなるはずだった。
気が付いたらうっそうとした森の中に寝転がっていた。
大都会の横断歩道に転がっているはず、が、なぜ?
そっと起き上がってみたが、頭は打っていないようだ。
からだもぐるっと見渡して立ち上がってみるが、どうやらどこにも怪我はない。
しかし、普段見慣れたスーツ姿ではない、よくわからない服を着ていた。
「どこだ・・・ここは」
すると、どこからともなく、声が聞こえる。
「おう!目覚めたか。私はすべての宇宙、すべての次元、すべての生命を統べる、自分で言うのもなんじゃが、めっちゃ偉い神様じゃ☆彡」
「はい?」
(いや、まて、自分。そもそも、東京のど真ん中で、セールスマンをしていたような、この俺がトラックにはねられて森の中で寝てる時点でおかしいだろ。)
「続けていいかの?」
そう神様(自称)に尋ねられたので。
俺は、その時点でソレ以外頼れるものもないので、とりあえず
「はい。」
と答えた。
そうすると、また神様(自称)が話し始めた。
「それで、おぬしはあんまりな死に方をしたから、いっちょ助けてやろうと思ってな。そこの茂みの先にお前のための小屋を建ててやった。どうじゃ?まあ。のんびり暮らすとよい。じゃあの」
そうして神様(自称)の気配は消えた。
神様(自称)に言われた通り、茂みの先に行ってみると、ちゃんと木で組まれた小屋を見つけた。
小屋の中には、かまどとトイレ、机・椅子がおかれていた。
仕事がクソ忙しくて疲れ果てていた自分には、
(はねられてよかった、の、かな。)
とてつもなくおかしい状況ながらどこかそう思う自分がいた。
(…ていうか。ここどこだよ?なんもねえじゃねえか)