表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪された悪役令嬢に、ひきこもりが転生。貧乏平民からの無双。リリカ・ノクスフォードのリベリオン  作者: 織部


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/92

帝国の改革派


その日の夜。

あのお方が帰ってきた――氷雪のドラゴン、ティア様。

普段は鷹の姿をとり、人の世界を気ままに歩かれる神聖な存在だ。


「お入り下さい」

私は立ち上がり、扉を開けて部屋に招き入れる。

「夜食はどうされますか? おにぎりでよろしいですか?」


「いや、夜食はもっと軽い物にしよう。マリスフィアで食べ過ぎた。今、減量中だから、ケーキか何かで」

……いや、ケーキも十分カロリーあるんだけどな。

(私と違って体型は変わらないし……ドラゴンって羨ましいな)


私は侍女のエマにケーキとお茶を用意させ、机に並べた。ティア様は皿を前に、どれから食べるか悩んでいる様子だ。


――そんな姿を見ると、神聖さを忘れそうになる。

「やっとお話が聞けます。帝国のこと」

私は急いで切り出す。こういう機会を逃したら、二度と聞けないかもしれない。


「ああ、帝国ね。幻影の魔女は帝都近くの森に住んでいる。政治には興味が無いんだ。いや、魔女は誰も興味ないけどね」

「それじゃあ……」


「ははは、ちゃんと王城に忍び込んで聞き耳立てたから、バッチリだよ」

……この神聖なドラゴンはいったい何をしているんだ。


「スパイのやり方は、大昔、盗賊ギルドの者に聞いたからね」

ティア様は部屋の中を得意げに飛び回りながら説明する。


ティア様の情報によれば、帝国は現状派と改革派に真っ二つに分かれ、改革派は力をつけつつある。皇帝が現状派なので、微妙なバランスの上に成り立っているという。


「どうだい、すごいもんだろう!」

「それで、父を殺した首謀者は?」

「改革派の誰かだろう。王国の力を削ごうとしているんだ」


――正直、それくらいは私でも予想できた。

「うーん……」

私が考え込んでいると、ティア様はおかしそうに笑った。


「簡単だよ。改革派の大臣クラスを全員殺せばいいんだ」

……簡単だ。でも失敗すれば戦争になる。彼らの狙いはまさにそこだろう。


暗殺の準備をしているなら、反撃されることも覚悟しているはずだ。

「それで、ミオ様は何と?」

「復讐の仕事は君たちに譲るって言ったじゃないか? 


 マリスフィア侯爵の魂は輪廻の中にいる。彼の魂が、どこで転生するのか見張るのに忙しいのさ」

「そんなにすぐに?」

「こればかりはわからない。数年か、数十年か、数百年か。でも、場所について言えば、縁のある地に生まれ落ちるんだ。魔女にとっては耐えられる時間さ。いや、それこそが魔女が生きている理由さ」


――でも、きっと私は転生しない。

「ところで、ティア様、ナーシルの秘宝と言われる宝石、知ってますか?」


「ドラゴンが宝石や黄金が好きというのは誤りだよ。物欲なんて見下すね」

(いやいや、ティア様、物欲はないけど食欲の方は……)


「砂の魔女様の作ったガラスの」

「はぁ、あれはただの魔術を貯める瓶だろう?」

「やはり、そうですよね。ところでティア様は、ナーシル砂海連邦のことはお詳しいですか?」


「いや。なるほど、そういうことか。全くドラゴン使いの荒いやつだな。アルのところに行ってくるよ!」


「違う、そう言う意味じゃないんだけど……」

「いえ、お手間を取らせる訳には」

「ははは、任せておいてくれ!」


――そう言うと、ティア様は雪山へ飛び去った。

おかしい。雪山に数百年と籠っていた出不精のドラゴンが、こんなに行動的とは。



数日後の放課後、私は久しぶりにバイト先の王立税務局に顔を出した。

タヌキ、じゃなくてラクーン特捜部長が声をかけてきた。


「リリカさん、久しぶりですね」

「すいません、なかなか出社出来なくて」

「いえ、学校も始まりましたし、暇な時に手伝ってくれると助かります。事務仕事のみで……」


私が、クルミと黒船商会を襲撃、いや特別監査で暴れたことに文句を言いたいのだろうが、彼女が侯爵になってしまった以上、今更文句も言いづらいのだ。


「ところで、ラクーン特捜部長、私たちが捕まえた黒船商会を釈放したらしいですね。取調べはどうしたんですか?」

「保釈金積まれたのでね」


この野郎、私相手だと誤魔化せると思っているのだ。

「そうですか。仕方ないですね、と私は思いますが、クルミ侯爵は納得されますかね?」


「いやぁ……ここの職員だったんだ。理解してくれるはずだ」

「気が早いですね。ラクーン特捜部長、今日、退職の挨拶に来たのに」


彼がその声に、恐々振り返った。

「何で、何でここにいるんだ!」

「冷たい上司ね。叙任式があったから王都に来てのよ。少し話をしましょう」


クルミだ。半ば無理矢理、二人で屋上の休憩室に連れて行った。

「やはり、ここは落ち着くわね。誰も来ないし……」


そして、クルミはバックからいつものボトルとカップを取り出した。

コーヒーのおいしい匂いが部屋に漂う。

「わかったよ、何が聞きたいんだ! 侯爵殿」


ラクーンは覚悟を決めたようだ。いや、強いものには巻かれようと決めたのだろう。

「誰の指示なの? 嘘は嫌いよ。頭が回らないなら、チョコをあげるわ。リリカもどうぞ!」


「俺が言ったのは秘密だぞ。第二王子とセリオ侯爵だ」


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ