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断罪された悪役令嬢に、ひきこもりが転生。貧乏平民からの無双。リリカ・ノクスフォードのリベリオン  作者: 織部


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風紀委員会


「風紀委員室」――

 その名前だけで、なぜか微妙に身構えてしまう。いや、正直に言えば、ちょっと危険な香りすら漂っている。


 私はサリバン先生に命じられ、学園警備の集合場所としてこの部屋の存在を教えられた。扉の前に立つと、自然と背筋が伸びる……いや、伸びすぎて肩がこる。


「ここか……。なんだかゲームの中で見たような気もするけど……まあ、明日に回すのもアリか」


 ぼそりと呟いた瞬間、背後から鋭い声。

「リリカ様、早く入ってください。風紀委員会を始めますよ!」


 振り向くと、扉を軽く押さえながらエマがにこやかに微笑んでいる。

「え、どうしてエマがここに?」


「学園の情報通ですから。それに、リリカ様のメイドです。新聞部も兼任していて、学園内の出来事はほぼ把握済みです」


 胸を張るエマ。……いや、噂好きなだけじゃないの? と突っ込みたい気持ちが湧く。


 私は眉をひそめる。自由登校、服装自由、髪型自由の学園に、風紀委員なんて必要なのか? 本当に意味不明すぎる。


 学園内の警備は基本、巡回パトロールが中心。暴力沙汰を起こすのは一部の馬鹿王族だけ。外部の侵入は騎士団担当なので、私たちは「散歩ついでに警備」という超ゆるスタイル。


……でも、この部屋の名前が「風紀委員室」とかつけるから嫌な予感しかしない。


 窓の外を見れば、平和そのものの光景。

 中庭では生徒たちが笑顔で歩き回り、花壇の花々は春の光に照らされて輝く。守るものは確かにあるけど……いや、大事件起きるわけないじゃん。


 風紀委員会が始まった。正規メンバーは三人。

「散歩だから、トモオかパーシー、どちらかをリーダーに任せるわ!」


「それって……ズルくないですか?」

 うるさいな、まったく。


「私は忙しいの。それにパーシー、君なら生徒会への報告もできるでしょ?」

「それなら喜んでやります!」


 “聖女に会える”ことを知ったパーシーは、完全にやる気スイッチON。目がギラギラしている。


「もしかして、この部屋、私たちの自由に使っていいんですか?」

 心がちょっと躍る。秘密基地……長年の夢だった場所だ。


 だが甘かった。夢見心地は一瞬で吹き飛ぶ。

「落とし物を探してほしいんです」

「水道が詰まっているので、配管工事を手配して」

「妻が浮気しているかもしれません、調査してくれませんか?」


 ちょ、待て。これ、完全に学校総務の仕事じゃねえ。いや、学園よろず相談所やん。

 生徒も先生も次々来て、トラブル持ち込み放題。


「エマ、これ、どういうこと?」

「風紀委員の仕事です。ここには風紀五訓も掲げてありますから」


 エマは手際よく書類を作って職員室に消えた。

 パーシーは落とし物探し、トモオは身辺調査。残された私は、一人ぽつん……いや、完全に放置されてるじゃん!


「……まあ、いいか。管理監督者だってサリバン先生が言ってたし」

私は扉に『誰もいません。外出中です。御用の方は後日』と書いてボードを掛け、ソファに横になり昼寝を試みる。


だが、ボードの文字など意味ないかのように、扉を叩く音が鳴り止まない。

「いるのはわかっています。開けなければ壊します」


 別に私は籠城してるわけじゃない。なのに……いや、どういう状況だ。


仕方なく鍵を回し、扉を開ける。

「すいません、風紀委員は全員出かけています」

私は目を逸らして答える。


「あら、じゃあ目の前にいるのは?」

「事務員です。カグラさん」

そう、尋ねてきたのはナエル王子のメイド長。借金なんてしてないのに……。


「冗談下手ですね、リリカ様。風紀委員って、ちゃんと書いてありますよ」

今日決まったばかりなのに。


扉横のネームボードを見る。

『風紀委員長 パーシー 一の委員 トモオ 二の委員 リリカ 新聞委員 エマ』


 私以外、外出中か休みを示す赤表示。私も『リリカ』を赤にひっくり返す。


「カグラさん。今日は、私、風紀委員はお休みです。もう少しで他のメンバーも戻りますし、中でお待ちになりますか?」


……いや、絶対ろくでもない依頼だ。扉壊されたら困るので部屋で待っててもらう。


「どうぞ、お召し上がりください」

 紅茶と茶菓子を置くカグラ。


 気づけば、作業用のデスクにいた私はソファに腰掛けて紅茶を味わう。さすが、できるメイド長。

「うん、美味しい」

 瞬間、眠気が吹っ飛ぶ。向かいにカグラが座っている。……完全に罠。


「これです」

 カグラはポケットから昼間見たナエルのネックレスを取り出す。


「ナエル王子のお母様の形見……ですよね?」

「はい、とても大切にされています」

「修理ですね。王国御用の職人に頼むのが無難でしょう」


 私は一瞬で解決策を思いついたフリ。

「そんなことで相談に来るわけないですよね」

「ええ……」

 私は頭をかく。


「実は贋物です。ナーシル砂海連邦の秘宝ではなく、ただのガラス。ナエル王子も知っています。そして、なぜかレクサルも」


 ああ、だからレクサルが馬鹿にしていたのか。

 秘密をばらされたくなければ、カグラをよこせ――ということね。


「じゃあ、捜査すれば?」

「それが、明るみに出れば私の首はもちろん、王子の立場も危うくなります。助けてください」

「なぜ風紀委員に?」


 カグラは壁の風紀五訓を指差す。

『秘密厳守――素晴らしい考え方です。よろしくお願いします』


 私は深く息を吐いた。……やっと登校した初日にこれか


お忙しい中、拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。又、ご感想をお待ちしております。

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