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断罪された悪役令嬢に、ひきこもりが転生。貧乏平民からの無双。リリカ・ノクスフォードのリベリオン  作者: 織部


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玉座の裁き

残り三話。よろしくお願いします


「それでは、候補者は前へ、第一王子ハインリヒ」

「はい!」 がっしりとした大男。まるで熊だ。クルミの同級生で、彼女がダンジョン探索を一緒に行ったくらいだ。悪い人ではないだろう。


「第三王子 ディナモス」

「はい!」 なぜか、美形の彼の顔色が良くない。

 貴族の一部から心無い言葉が飛ぶ。

 第二王子たちを囮にしたとか、勇者の責務を果たさず逃げたとかだ。


「第四王子 ナエル」

「申し訳ありません。光栄なことですが、辞退をさせていただきます」

 だが、そこにいる貴族たちから、驚きの声はあがらなかった。

「そうか、本人にその気が無いなら認めよう」


「シシルナ島 ドノバン」

「はい!」 私の予想に反してドノバンは、候補者を辞退しなかった。

 三人が、並んで立っていた。


「あらためて、説明しよう。新しい国王を選ぶのは、三つの点からだ。一つ目、試練をやり遂げていること。二つ目、光魔術を支えること。三つ目、聖女の推薦をもらえることだ。これは同点の場合は、ここにいる全員で多数決だ」


 ドノバンは国王になりたかったのか? 私には不思議に思える。しかもこれは出来レースだ。

「まずは試練。この点については、全員が合格だ」

「次に、光魔術だ。使えるレクサルが死に、ナエルが辞退。つまり、ここにいる者の中で使えるのは、ディナモスだけだな」


 ディナモスは下を向いた。わかりやすい男だ。不正を嫌うし、自分を恥じているのだ。

「違います」

 小さな声が聞こえた。


「何か言ったか? ディナモス、お前らしくない」

「違います。私は使えません」

「だが、わしもこの目で見たことがあるぞ!」

 国王が、問いただした。非常にまずい事態だ。勇者の証を自ら嘘だと話すのは。


「国王、その話。実は、レクサル王子から私も聞いておりまして。黙ってくれと言われてましたが……まさか、自分からお話なさるとは立派なことですな」

 セリオが叫ぶ。


「俺も聞いたぞ!」

「やっぱり偽者だったのか……俺たちを騙していたのか?」

 貴族たちから心無いヤジが飛ぶ。まるで用意していたように。自白をするつもりなら、ディナモスはナエルのように最初から辞退をしなかったのだろう。


「私は自ら光の剣を使えると言ったことも勇者だと名乗ったこともござません。それだけをお伝えしたかったのです」

「うむ。お前の言う通りだな」国王は暖かい目で王子を見た。


「ですが、誤解を招いたのも事実。従いまして、候補を辞退いたします」

 予想外の展開に、会場は騒然となった。

「鎮まれ!」宰相が叫ぶ。


「これで、残りはハインリヒとドノバンだ。聖女様に選んでもらうことになる」

 まずい、まずい、まずい。ソフィアとドノバンは仲が良い。だが、彼女が会場に姿を現していない。

「聖女様は、この場には来られません。あらかじめ、ご記入頂いたお名前を読み上げます」


 宰相は封筒を開けた。彼は目を見開く。ディナモスならば無効。この場での選挙となる。

「聖女様は、ハインリヒ様を選ばれました」

 私は、安堵の溜息をついたが、ドノバンが悲しむ姿を見たくなかった。


「そうか、後を頼んだぞ。少し休む」

 国王が退出し、新国王になるハインリヒが演説を始めた。


「まず、私はこれまでの歴史ある王国の体制を維持したいと考えている。そこで提案だ。セリオ侯爵こちらへ。セリオ家は、独立などせず、宰相を務めると言うのはどうだろうか? お前の優秀な息子からも聞いているが」


「ほほほ、それは悪く無いご提案ですな」

 ハインリヒが、手を出し、セリオが答える。

「それともう一つ。王国という国家に敵対する勢力には、厳格に処罰を下す」


 一瞬だった。

「手を手を離せ!」

「うるさい、死ね。ジュリアンが死んだのもお前のせいだ!」

 ハインリヒに捕まれたセリオは、セリオの優秀な息子によって斬られた。


 ドノバンやディナモス、ナエル、クルミたちが一斉に動き、その会場にいる数人の貴族や付添人たちが、その場に斬られたり捕まったりした。


 あまりの素早い予想外の行動に帝国側の者は誰も対応できなかった。

「え? どういうこと?」


 だが、冷静に思い出せばわかる。これは最初から全て仕組まれた芝居だったのだ。武器を持ち込ませず、セリオと一緒になって行動する人物を見極め、不意を狙う。


「リリカの手は汚させないよ。どうだい男子会の考えた作戦は? みんな演技上手いだろう? でもチャンスは与えたから恨まないでね」 


 笑顔満開のドノバンを私は思いっきり殴った。

「いたたた。国王とソフィアが待ってるから行こう」

 私は、ドノバンに連れられて、謁見の場に向かった。


「来たな。どちらから、爵位を与えようか? 父さんの方が良いと思うけど?」

 ハインリヒは、国王に言った。

「そうだな。わしの最後の仕事にさせてもらうよ」

 気力を振り絞って国王は立ち上がった。


「リリカ・ノクスフォード。バルト・ノクスフォードの子よ。ノクスフォード家の名誉を回復し、王国の四大公。東部公爵として、その所領も全て与える」


「え? それは多大なる評価では?」

「あなたはそれだけのことをしてるじゃない。王国に潜入してる帝国のスパイ組織を壊滅させて、王国の貴族との関係を明らかにした。それにこの王城を取り囲んでるセリオ軍は貴女の指揮下に落ちてるんでしょ? クルミに聞いたわ」


 ソフィアが言い、みんなが頷いた。


拙著をお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、ご評価をいただけると幸いです。

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