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その世界のつわものたち  作者: あいの
第二章 現在と、過去
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第98話 参大魔道士と時の魔法使い

 

 参大魔道士はたった1人の戦力で国を滅ぼす事が出来ると噂されている。


 だが、この1000年間でそれを実行した者は誰もおらず、噂はあくまでも噂までと今はされていた。


 ただ、理由はあった。


 それは、奴がいるからであった。


「やあ、参大魔道士になったんだね。お祝いを言いに来たよ」


 ミヨク。時の魔法使い。


 それまで都市伝説くらいにし考えられていなかったミヨクの存在を認識して、参大魔道士に成った者たちは今の自分のレベルが井の中の蛙だった事を思い知らされるのだった


 嗚呼……馬鹿くさい……。本当にいるんだ時間を止めるとかってアホレベルの魔法を使う魔法使いが。しかも不死とかっていうアホを通り越して超アホな魔法使いが。だったら参大魔道士って大した事ないじゃん。


 と。


 そして、それが参大魔道士たちに分岐点を作った。


 それでも覇王を目指して新法大者を目指す者と、覇王は諦めて隠居気味にまたは天下り気味に国の戦力の幹部として迎え入れてもらう者に。


 それが国に参大魔道士という規格外の強さを持った者がいる理由であった。


 ──ただ、国の幹部となった参大魔道士は戦わない者がほとんどであった。


 強すぎるからだ。魔力が高すぎて敵国とはいえ戦えない者たちや町を容赦なく巻き込んでしまうからだ。“今の時代”を生きる参大魔道士たちは、無闇な殺しや町の崩壊を望まない者たちが多かった。


 ただ当然に抑止力にはなった。他国に対して、あの国には参大魔道士が居るのだから迂闊に攻めるのは止めておこう。という気持ちにはさせた。


 参大魔道士の新たなる名刺。もしかしたらこの世界の国に参大魔道士が1人ずつ在中するのならば、それで戦争は激減するのかも知れなかった。


 今の時代を生きる参大魔道士はあまり戦わない。覇王を目指す事を諦めた瞬間に、だったら覇王に成るつもりもないのに戦争で大勢の人間の命を奪う事もないだろう、と考える者がほとんどだったからだ。


「やあ、参大魔道士になったんだね。お祝いを言いに来たよ」


 ──但し、恐らくミヨクはそんな深い事を考えて行動はしていないのだが。



 ◇◇◇



 そんなミヨクだが、現在は引きこもりだった…….。


 1000年以上も生きているのだからあらゆる事に興味が無くなった──と本人はよく言うのだが、それは長年生きた上で後付けされた都合の良い言い訳のようなもので、その実ミヨクは1000年前からどちかと言えば好奇心が旺盛な方ではなく、出不精の引きこもり寄りの性格であった。


 故に後にゼンちゃんとマイちゃんという存在を作ったのだから。そうする事で不死という暇から解放される為に。自身の養分的な感じで。


 だが死後による時間の巻き戻りで15歳となった現在のミヨクはゼンちゃんとマイちゃんに時間(魂)を与える事が難儀な状態であり、故にミヨクはゼンちゃんとマイちゃんに時間を与える事ができる18歳くらいまでは、何もする事がなく引きこもり状況であった。


 ──いや、端的に言ってしまうと彼は単に何もしたくなかった。毎日を食事をしては寝てをただひたすら繰り返して、だらだらと、そっとしておいて欲しいと思いながら過ごしていた。


 ミヨクは基本的にそんな奴なのだ。世界で最高レベルの魔法使いで、不死という無敵の人間でありながら、根本的には何もしたくないダメな奴なのであった。


 なので、


 これでも一応は主人公の1人なので、


 何もしないという訳にはいかないので、


 そんな堕落だけが許される筈もないので、


 唯一、割と活発的だったミヨクがまだ不死になる前の話をしようと思う。


 彼が人生にまだ飽きてなかった頃の話を。


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