おはよう
『そこは未だ人類が到達していない地。
そこは未だ太古の生物が跋扈する地。
そこは未だ古代の力が宿る地。
世界樹も届かぬ空に浮かび世界を回る天空大陸。
太陽の光すらも拒む暗黒の深海。
緑が繁茂し耳長族も受け付けぬ鬱蒼とした巨森。
これらは纏めて世界三大魔境と呼ばれ、未だどこも少ししか探索できていない。しかしそれでも我々人類は挑み続ける。なぜならまだ見ぬお宝があると、浪漫があるとわかっているから。
ただこの『アステリア』は広い、とにかく広大な世界だ。だから三大魔境も我々人類が発見できた中で、最大級の魔境のことを言っているだけでまだまだ未発見の魔境はたくさんあることだろう。
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「グルル〜、ガア〜〜。」
まだ眠くて欠伸をして、何回か瞬きながら目を開けると、視界へ入ってきたのは真っ暗な空間だった。
しばらくぼ〜っと眺めていると、だんだんと目が慣れてきたのか真っ暗だったのが、若干明るさのある黒になった。
そこで気づくべきだったんだ。自分の姿に。
それで今度は起き上がろうと上になっている左手を地面につけて左肩を上げ、そして右手も地面につけて腕に力を入れて、体を持ち上げるために息を吸って「グッ」と、声を出しながら体を持ち上げてその連動で、後ろの両脚も上げた。
立ったら尻尾までの全身をふってそれで改めて体全体を覚まして、薄らと明るい白色の光が入り込んで壁の色もだんだんと明るくなっている方へ向かい、ゆっくりと歩いてゆく。
しばらく歩いていると少し先の方に光が見えた。
そして眩しさに目を細めながら洞窟から外に出ると、まず目にしたのは遠くのちょっと右に少し濃い黄色になっている、太陽だった。
次に目にしたのは、またこれもどこまでも広がる鬱蒼とした森であった。
その二つを見て私は、無性に吠えたくなり大きく息を吸って
「グガアーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
と、どこまでも響くような大きな吠え声を出したのだった。
ちなみにここまでほぼ無意識だった。
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そしてそこにはまだ見ぬ恐ろしく強力な生物たちが存在するだろう。
―――――元ヘカトンケイル級(SS)探索者 テオ・ライト著
第一章 冒険の始まりより一部抜粋』