友たち
姿を現した者たちは様々な姿をしていた。
そこで私は私はどんな姿をしているのか初めて気になったがとりあえず今は目の前のことに集中した。
(すまないね。貴方は我々よりも圧倒的に強いし"保有力素"も多いからみんな怯えてしまっていてね。とりあえず挨拶と自己紹介を・・・・・と思ったけど貴方はまだ話せないんだったね。着いておいで。)
そう狼は言って姿を現した方向の森へと歩き出した。
私は素直にその言葉に従い後ろをついて私も歩き出した。
数分歩きたどり着いたそこは私にとっての洞窟。
つまり狼にとっての寝床であり家だった。
周りにある樹を用いて作った家なのだろう。
大きさは狼が大きくなった状態でも自由に動き回れるほどの大きさ。
真ん中に入り口があり両脇には屋根は三角で横を向いている。
(どうだい立派な棲家だろう。)
狼はどこか嬉しげに言った。
家の中は色々あるが特に目を惹くのは大きな本だった。
(ん?どうしたんだい。何か気になるのでもあったかな?・・・・・ああ、これは本というものだよ。)
狼はまたどこか嬉しげにそう言った。
(では貴方と話をする為にもまずは言葉について教えようか。言葉とは今私が話しているこれだ。言葉は相手と意思疎通する為にある。意思を相手に伝える方法ならいくつかあるが言葉があればさらに伝えたいことをわかりやすくすることが出来る。さてでは私の言いたい事を完全に理解してもらう為に言葉を学ぼうか。)
そこから一日ほどかけて言葉を学びいろいろな概念についてもなんとなくわかっていたことがはっきりとわかるようになった。
(さて言葉を理解してもらったところで自己紹介をしようか。私の名前は『ルビア』またの名を『水の守護者』で、貴方も同じだと思うけどある日目覚めたらこの森にいたからこの森で生まれたと言ってもいい。我々家族の中では年長者だ。・・次はこの本について説明しようか。)
そう言って狼改め『ルビア』は私に自分のことを紹介してくれた。
そしてちょうど私も気になっていたこの大きい本について説明してくれるようだ。
(この本は私の昔の友たちが贈ってくれたものだ。我々とは違う種族。"人族"という種族だ。私はここで生まれたと先ほど言ったね。この森で生まれたからここは私の家だがある日ふと思ったんだ。この森の外はどうなっているのかと案外私と似た外見、または異なる外見をした者たちがいるのではないかと。そうして旅をしながら出会ったのが友たちだったんだ。)
ルビアはどこか懐かしむようにそう言った。
(友たちとの旅は楽しかった。そして友たちとの別れの時この本とこの家を贈ってくれたんだ。)
そうしてルビアは大切な思い出を語ってくれた。