プロローグ
これは夢……。
そう、夢だ……。
僕はどこにいるんだろう?
床は石畳、周囲はもやがかかり、少し暗い。
僕はただ歩いている。
何に向かって?
わからない。
でも、歩いてる。
僕はエドモンド。
村の鍛冶師であり、剣士であり、魔法も使える。
自分で言うのもなんだけど結構強いんだよ?
素材として勉強したから魔物についての知識も豊富だ。
村の警備隊長をやってる叔父さんに小さいころから鍛えてもらったんだ。
神官である幼馴染のリリアのお父さんには魔物について教えてもらった。
鍛冶師である父さんにも教わって……ようやく最近になって鍛冶師として認められて仕事をし始めた。
いつか未知の素材を求めて世界を旅するんだ。
でも、今は剣を持っていない。
なのに知らない場所を歩いている。
窓もない。
……となると、夢としか思えない。
夢に違いない。
そう……夢だ。
僕は寝る前まで剣を鍛えていた。
父さんに任せてもらったんだ。
父さんも鍛冶師なんだけど、お店の仕事もあるし、まとまった数の剣の製作の仕事を僕にくれたんだ。
村の警備隊が使う剣の更新の仕事。
自分たちの安全にもつながる仕事だ。
それなのに今はよくわからない場所にいる。
そうだ。
今日はもう遅いと思って寝ようとしたんだった。
つまり、やっぱりこれは夢だ。
こっちに何かあるのかな?
この方向にしか進めない……。
足は勝手に動く。
突然辺りが明るくなる……。
いや、違う。
明るく輝くものが落ちている。
あれはなんだろう。
とても明るい。でも不快感はない。むしろ暖かい。
いつもあれを見つける……。
いつも?
そう、いつもだ。
ここ最近、毎日夢の中であれを見つけてる。
ものすごいもののようでいて、ずっと昔から持っていたようなもの。
とても暖かく、穏やかなもの。
僕は今日もそれを拾う。
すべてが光に包まれる。
同時に僕は幸福感に包まれる。
心に満ちる暖かさ、幸せな感覚に抗えない。
これが何かもわからないのに。
この夢を見始めてから、気分がいい。
仕事も順調だ。
最初はそれがこの夢の効果なんだと思っていた。
でも、それだけなのかな?
夢の中で素晴らしいものを手に入れた。
現実でも何か起きるんじゃないか?
そうに違いない。
夢の中で光り輝くものを拾うなんて、良いことがあるに決まってる。
そう思うよね?
何を見つけるのかな?
僕はどこに行けるのか?
楽しみだ。
今日もまたこの夢は醒めてしまうのかな?
この夢は現実になるのだろうか?
期待感でひっくり返りそうだ。
あぁ、夜が明ける……。