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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第九十八話『行方知れず。』

本日投稿分の最終話になります!!



ロロの歌う、

物語の様に長い歌が終わった。


「悪い狐も、裏切る鼬も出てこなかった」


スイがポツリと言った。


「わたしが、未だ小さい時に、

『おそろし谷の鬼火』の絵本を、

ユンタが読んでくれた。

とても怖い挿し絵が描いてあったのを、

よく憶えてる」


スイは、とてもゆっくりとした口調で、

記憶を思い返す様に、そう言った。


「わたしはね、夜中に目が覚めて、

トイレに行きたかったんだけど、

悪い狐が何処かから、わたしを見張っていて、

暗がりから、飛び出してきちゃうんじゃないかと思うと、

怖くて、ユンタを起こして、

トイレについて来てもらったんだよね。

でも、狐が、(ロウウェン)だったなら、

本当はそんなに怖く無かったのかも知れない」


「それ内緒にしてって言ってたヤツじゃーーん」


「あ。そうだ、忘れてた」


「ロウ兄の仲間が書いた歌じゃの。

誰じゃろな?ユン姉わかるかの?」


「さーー、わかんね」


「ただの助平爺にゃ、勿体無いの」


「ま。いいんじゃね?

あの絵本だけしか無いんじゃ、コイツ(ロウウェン)

可哀想じゃん」


◆◆


「んで。次はガコゼのヤローーだよ。

もう、すっかり遠くに逃げちゃったかなーー?」


「……まだ、そんなに遠くへは行ってないよ。

このまま追いかける……?」


「当たり前ーーー」


「……でも。もう、たくさん人が来てるよ?

ガコゼの事、取り囲もうとしてる……」


「はーー!? 誰!? 抜け駆け!?」 


「……(ハツ)に言われても。多分、イファルの兵隊……?

シャオのお父さんじゃないかな……?」


「クアイ君? なんだよーー。

ビビってた癖にーー」


「……私に言われても」


「今更なんですけど……」


「どしたの?シャオちん」


父様(クアイ)に、転移魔法で、

送って貰えば楽だったんじゃないでしょうか……?」


「…………」


◆◆◆


「クアイちゃんが、

はらを括って動いたと云う事は、

王宮の方でも、何か動きがあったのかの」


「ガコゼの罪状が、

明るみに出たのかも知れないね」


「手間が省けたの。

こげ(こんな)騒ぎになったんじゃけ、

聖域教会も、ガコゼを(かば)わんくなるじゃろな」


「マオライの言葉を使うまでも無かったかな」


「言葉の精霊か。

精霊魔法にゃ詳しく無いが、

凄まじいのと契約しとったんじゃの」


「うん。

子供の頃に、初めて契約をしたのがマオライなんだ」


「精霊に、固有の名称は無いもんかと思うとったが」


「わたしも、名前を名乗っているのは、

マオライしか知らないなぁ」


「やれんの。

強うて、顔も()えし、

儚げな雰囲気もグッとくる。

スイちゃん。

わっちの嫁にならんかの」


「ヤエファは、シャオと結婚するんでしょ?」


「すんなり選べりゃ、苦労はせんの。

ところでの、スイちゃん」


「なに? 嫁にはならないよ?」


「違う。

先刻(さっき)から気になっとるんじゃがの」


「うん」 


「リクちゃんは何処へ行ったんかの?」


「え? リク?」


その時まで、

その場に居る誰もが、

リクの姿が見えなくなった事に気づいていなかった。 

 

世界と世界の隙間に、

いつの間にか入り込んでしまった様に、

異世界(日本)から来た少年の姿は、

忽然と消え失せてしまっていた。


「……参ったな。

リクの魔力が……、消えちゃった……」 


◆◆◆◆

次話から、

新章に移行していきます!


明日の投稿も、

夜にします!

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