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リンカーネイトリンカーネイトリンカーネイト  作者: にがつのふつか
第三章 『指切り姫と西方と忘れられた古い唄』
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第九十五話『言葉の精霊。』

本日の最終投稿分です!





「こうも、次から次へと仕掛けられたんじゃ、

目紛(めまぐ)るしうて仕方無いのう。

お嬢ちゃん、その玩具(おもちゃ)はどっから出したんじゃ?」


「“違うよ……”!!!」


───キィィィイイイイイイイイインッッ!!!!


スイが言葉を発した瞬間、

鼓膜を突き破りそうな、嫌な高音が発生し、

その場の全ての者が思わず耳を塞いだ。


「う……うるさッッッ!!!!?」


「ちょ! マジうるせーし!? 

スイ! なんなんソレ!? 知らんけど!」


「“あー……、あー……”!!!!」


「ス……、スイ!? 凄い音なんですが!?

私達の声聴こえてますか!?」


───ピィィイイイイイーーーッッッ!!!!!

キィィィイイイイイイイイイーーーッッッッ!!!!!

 

「スイちゃん。喧しうてやれんの。

もうちょいどうにかならんのかの?」


スイは首を傾げながら、

拡声器のボリュームのツマミを、

左右にくるくると回して動かしていた。


「“おかしいな……。あれ?何でだろ……”」


スイが、そう言っている間にも、

凄まじい音が鳴り止む事は無かった。


「『スイ。逆だ。

そっちの目盛りでは無いのだ』」


突如として、聴き覚えの無い男の声が聴こえた。


「“あ……。ほんとだ”」


スイが、声の言う通りにツマミを動かすと、

ようやく音が静まり、

耳を塞いでいた他の面々は安堵の表情を浮かべた。


「“調整が難しいんだ”」


「『(やつがれ)は、

幾度と無く説明しているのだが。

それを、

(スイ)が、ちゃんと聞いて無くて、

憶えていないのだと思う』」


「“それは認めるけど。わざわざ、

こんな覚え(にく)い造りにする必要があったのかな?”」


何処から聴こえて来るのかも判らない、

男の声と、スイは世間話でもする様子で、

淡々と会話をしていた。


「お嬢ちゃん。

そりゃ一体、何かのう?

喋る魔法具?意思を持っとるんか?」


「“違うよ”」


「違うんじゃ」


「おい! おい! 

猫娘!! スイの持ってる、アレ、何だヨ!?」


「知らねーーー。マジで何だアレ」


「ユンタさんでも知らないんですか?」


「うん。知らない。けど……、

とりあえず、めっちゃ喋ってるね……」


「喋ってますね……」


「でも違うってスイちゃん言ってるッスよ?

あの道具が喋ってる訳じゃないんスかね?」


「えーーー……、

じゃーーこの声何なのーー……、

おばちゃん怖いーーー……」


「『ユンタ』」


「えーーー……、名前呼ばれたんですけどーーー……」


「『(やつがれ)は、

君の事を、ずっと前から知っているのだ。

シャオの事も、ロロの事も』」


「じ……、自分の事も、ご存知なんスか?

あなたは一体、誰なんスか?」


「もしかして、精霊の(かた)でしょうか?」


「『そうなのだ。

(やつがれ)は、

スイと契約を交わした精霊だ』」


◆◆


「精霊?

こげ(こんなに)

ハッキリと喋る精霊がおるもんなんか?」


ロウウェンが驚いた様子でスイに訊いた。


「え?知らない?」


「知らん」


「そうなんだ。普通に認知されてるものだと思ってた」


「『知らないだろうと思うのだ。

(やつがれ)と契約したのは、

スイの他に、そう何人もいなかった』」


「やれんの。

お嬢ちゃんの妙な魔法の正体も、

この精霊じゃな。

これが、よいよ(本当に)奥の手かのう」


「そうだよ。

ところが、(ロウウェン)には効かなかったけどね」


「その手にしとる道具が、魔力を増幅させるんかのう?

先刻(さっき)よりも、威力が上がっとるかも知れん」


「うん。

これ(拡声器)は、そういう用途をするものだ」


ちいと(少し)、増幅したくらいじゃ、

ワシの身体はどうにも出来んけの」


「解ってる。だから、

わたしはロロに呪歌を歌ってもらったんだ」


「今更、魔力を回復したところで、

効かんかったら意味が無いじゃろ?」


「やっぱり聴こえてなかったんだね」


「ん?」


「わたしは精霊使いだから、風の精霊を使って、

先刻から皆にお願い事を言って回ってたんだ。

ヤエファの幻術も、

シャオとレイフォンがそれに乗じる事も、

少しだけ、演技をしてもらう様に」


「何を言っとるんかのう」


「ロロにも伝えた。

わたしじゃなくて、リクに呪歌を歌ってくれって」


「リク?」


(ロウウェン)は、やっぱり強すぎたんだ。

でも、

魔力を感知する事は苦手な様だ。

感知する事が苦手でも、

攻撃されたところで、君には問題が無いからだ。

だけど、

無敵に近い防御が、自動で行われるので、

ほとんどノーガードで攻撃を受けてしまう癖がある。

つまり、

君は隙だらけで、防御が下手と云う事だね」


「それが解ったところで」


「それが判れば充分さ。

君のザックリとした感知じゃ、

(リク)の微量な魔力には気づけなかった」


「もう一人おったんか。

ワシが気づかん様な、弱いのが出て来て、

どうなると云うんかのう」


「ヤエファ」


「ん?」


「ヤエファの言う通りだね、

()()()は遅れて登場するんだ」


「そうじゃの」


ヤエファはニヤリと笑った。


「リク。君の出番だ。」


「…………」


一瞬、間が空いた。


「あれ? おーい」


「…………」


「何をしてるのさ? 

折角、カッコよく登場出来る様にしてあげたのに」


「もうッッ……! バカッッ……!!

ロウウェン(あんなの)

俺がどうこう出来る訳無いだろがーーー!?」


「ちょっとリク君! 何言ってんスか!?

折角回復したのに!!」


「俺が弱いの知ってるだろーー!?」


「リクさん! 往生際が悪いんですけど!!」


「死にたかねーんだよ!?」


「にゃはは」


「笑ってないで助けてよ!!?」


ロウウェンは拍子抜けして、

その様子を眺めていた。


「やれんの。どんなんが出てくるかと思うたら、

本当にいなげ(しょうもない)な餓鬼が出てきたのう」 


「へ……、へへへ……」


リクは愛想笑いを浮かべて、ロウウェンを見上げた。


(ゴミでも見るみたいな眼で見てらっしゃる……)


「お嬢ちゃん。こりゃ、どういう事かのう?

ワシゃ、女と子供は殺しとう無いけ、

この坊主をさっさと引っ込めてくれんか?」


「引っ込める?どうして?」


「言うたろう。殺しとう無いからじゃ」


「わたしは、(ロウウェン)に、

リクが殺せるとは思えないけど」


ロウウェンの身体が炎に包まれ、

片方の腕が撃鉄代わりに引かれる様に構えを取った。


───『支配者の焔槌(ルーラーズハンマー)!!』


───『技能賃貸(スキルレンタル)を発動します』


リクは恐怖の余り、眼を閉じたまま、

開ける事が出来ずにいた。

ロウウェンの炎にあっという間に焼かれ、

自分が死んだ事に、

気づいてないのかと考えてしまう程に、

リクにとっては長く感じられる間だった。


しかし。

それは、本当に刹那の一時(いっとき)だった。


ロウウェンの最大火力を誇る攻撃は、

その炎の威力を発揮する事は無かった。


空振りをした様に、リクの眼前に振り(かざ)されただけで。


(炎が……出よらん……!?)


───『スキルの獲得に失敗しました』


───『補助スキル“発動妨害”を修得しました』


ヤエファの考察通り、

リクの能力(スキルレンタル)には、

発動時の成功判定の是非を問わずに、

対象の能力の発動を無条件に封じると云う、

機能異常(バグ)を持ち合わせていた。


幾度かのスキル発動に因る、

習熟判定が行われ、

そのバグを派生させた補助スキルとして、

彼に刻み込まれる様に、一つの能力となった。



「『(やつがれ)は、

気が狂いそうな程の長い時間を生きてきたが、

こんな小僧の手を借りる事になったのは、

初めてなのだ。大変、遺憾だ』」


『“マオライ。

攻撃が当たらなくて、

本当はイライラしていたんでしょ”』


スイはそう言うと、大きく息を吸い込み、

拡声器のマイクに口を当てた。


精霊の声が、スイの声と、

重なり合う様にして、

その発する言葉に、確かな意味を宿し、

意味を宿した言葉は、

込められた魔力と共に放たれていった。


───『“穿て(シィシュアン)”!!!!!!!!』


全てが刹那の合間に、起こり、そして終わっていた。


ロウウェンの防御スキルは発動せず、

変化をする事に慣れていた彼の肉体は、

()()()()()()()に、

穿たれ、その胸に大きな穴を開けていた。


◆◆◆

今日もありがとうございましたー!


明日も3話投稿しようと思いますが、

投稿時間をまとめて、夜に予定しています!



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